愛すれどTigers


アリアス爆発3試合5発!

 広島市民球場で2試合、倉敷で1試合の対カープ戦は2勝1敗と勝ち越し。甲子園に帰ったスワローズ戦では1勝2敗と負け越し。あわせて今節3勝3敗の五分となった。開幕から1ヶ月近く、そろそろ疲れが出る頃。例年ならここらでずるずると連敗したものだが、今年はなんとか五分で踏みとどまっている。4月の勝ち越しも確定し、首位を保っている。投手に疲れが出てきたところでアリアスがホームラン連発、3連勝の立て役者となった。

◎カープ3回戦……7−11
 雨の中、スライド登板の安藤は初めての体験でフォームを崩しているように感じた。2回裏、カープ打線がその安藤に襲いかかる。金本の四球、前田のヒットでランナーをため、続く新井はショートゴロ。これを藤本がホームへ悪送球。なれない球場の湿った土が気になったか。まず1点を取られる。木村一にフルカウントからストライクを取りにいく球を打たれてさらに1点。長谷川のタイムリーで3点目。とどめは木村拓のホームランでこの回5失点……。3回裏は、四球の前田、死球の新井を塁に背負い、緒方にライトスタンドに運ばれなんと8点差に……。これで勝負あったかと思わせたが、苦手長谷川にタイガースも逆襲。5回表には死球の山田とヒットの今岡を藤本のうまい流し打ちの二塁打で返してまず2点。さらに6回表、桧山のプロ入り通算100号ツーランホームランと相手のエラーに乗じてためたランナーを山田の併殺の間に返す1点で3点差まで追い上げる。そして、リリーフの金澤が好投し、カープ打線に追加点を許さない。ところが7回裏から登板した川尻は打ち取った当たりがヒットになるという不運が続いて1点を失う。それでもタイガースはあきらめない。8回表、濱中と松田がヒットで出塁し、それを坪井と今岡がそれぞれ内野ゴロで返して2点差に追い上げる。が、反撃もここまで。8回裏に伊達が投げた棒球をディアスが逃さず11点目となる2ラン。打線はよく粘ったのでよいが、中継ぎ、特に伊達があまりに無造作にストライクを取りにいく。福原との入れ替えも考えるべきところにきたのではないか。
◎カープ4回戦……6−3
 藪は2回裏に緒方にレフトスタンドに2ランを打たれて先取点を許すが、それ以外は安定した投球。カープ先発苫米地からは持ち前の速球につまり序盤3回は1安打しか打てなかったが、4回表、アリアスが濱中を塁において同点ホームラン。さらに5回表先頭の今岡がセンター前ヒットで出塁し、片岡が二塁打で続く。桧山の当たりはセンター返し、セカンド木村拓が飛びついて取り一塁に送球したが間に合わず内野安打。今岡が勝ち越しのホームをふむ。続く濱中はセンター前に運び片岡もホームインして2点目。藪は5回裏に木村拓のタイムリーで失ったものの、8回表までなんとか踏みとどまった。7回表には桧山の二塁打で1点、さらにアリアスの三塁ゴロをディアスがこぼしもう1点と3点差をつけた。8回裏には一死一二塁のピンチを藪がつくったが、星野監督はここでバルデスを投入し、併殺できりぬける。9回もきっちり抑えたバルデスは5セーブ目。アリアスの一発がみごとにきいた。
◎カープ5回戦……10−5
 先制したのはタイガース。カープ先発横山から2回にホワイトが弾丸ライナーでレフトスタンドに運ぶホームラン。谷中は大胆な内角攻めが姿をひそめ、3回裏に浅井、新井の連続タイムリーなどで3点を失い、降板。これは嫌なムードだと思ったが、アリアスがすぐにひっくり返してくれた。死球の桧山、内野安打の濱中を塁におき、レフトスタンドへぶち込む6号3ラン。6回には二塁打の桧山をアリアスが今度は二塁打で返す。谷中をついだ金澤はそのあとをきっちりと抑え反撃を断つ。アリアスは8回には7号ソロ、9回には8号3ランとこの試合8打点の荒稼ぎ。最後はバルデスが締めて2連勝。アリアスが打つ事がチームに活気を与えている。
◎スワローズ4回戦……11−6
 井川が2回表、岩村に先制ホームランを浴びた時は嫌な予感がしたが、この日のスワローズ先発山部はコントロールが甘い上に速球も走らず、打ちごろの球がそろう。2回裏、満塁のチャンスに「思い切って振れ」と星野監督にアドバイスされた井川が三塁線を高いバウンドではずむヒットを放ち、まず同点。今岡がレフト前に運んで2点追加と勝ち越し。片岡がライト前にヒットで1点加え、桧山の二塁打でさらに1点。とどめはアリアスの9号満塁ホームラン。なんと12人で9点というビッグイニング。3回裏には今岡のホームランも飛び出して10点目。しかし、井川は大量点のために逆に早く試合を進めようとしたのかストライクを取りにいく球をねらわれて3回と4回にランナーをためてはヒットを打たれる不安定な投球。結局7回を投げ切って遠山に交代。この遠山と続く伊達が甘いところにボールを集めて打たれ、2失点。最終回にこの日一軍登録された福原がなんとか締めた。楽勝の展開だけに、3回以降の失点は無駄そのもの。これでスワローズ打線が息を吹き返さねばよいがと心配したのだが……。
◎スワローズ5回戦……1−9
 星野が3回に4点を取られてしまった。捕手吉本の構えるところすべてに球がいっていたのだが、それをスワローズの打者にねらい打たれていた。つまり吉本のリードが相手に読まれていたということ。裏をかくのが星野の投球の妙味で、矢野がマスクをかぶっていたこれまではそれがうまく決まっていた。吉本一人の責任にはしたくないが、ここらで経験の差が出たということか。打線も初回に入来から二塁打の今岡を藤本がバントで送り片岡の深いライトフライで先取点を取るが、そのあとは古田の老獪なリードに翻弄され、ヒットは出てもここというところで返せずスミ1に終わる。8回に登板した伊達は逆球ばかりでどうしようもない。カウントを悪くして球を置きにいったところを狙い打たれている。敗戦処理とはいえ、これでは困る。そろそろ藤田や藤川あたりと交代して調整させてもよいのでは。
◎スワローズ6回戦……1−3
 ムーアが打たれた。2回表、城石に打たれたタイムリーは気を抜いたような高めの甘い球。山田のリードの詰めの甘さが悔やまれる。タイガース打線は古田のリードで球を左右に散らす前田の投球に手も足もでない。4回にホワイトの犠牲フライで1点を取るのがやっと。5回表には三塁に三木をおいてムーアは真中をサードゴロに打ち取る。片岡は三塁ランナーを牽制しながら一塁に投げたのだが、それでも三木はホームにつっこみ3点目。こは三木の走塁をほめるべきだろう。9回には高津が登板、きっちりおさえられて通算200セーブを献上した。古田はアリアスを徹底マークするリード。対する山田はこの試合のあと、すぐに二軍落ちを命じられた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……金澤健人 中継ぎで好投。速球を主体にした安定した投球で先発投手が崩れてもゲームを壊さない。伊達がここのところ失敗続きなだけによけい金澤の好投が光る。
野手……ジョージ・アリアス ホームラン9本打点22で現在リーグ2冠王。悩める主砲がとうとう爆発した。ブルーウェーブ時代の思い切りのよいスイングがよみがえった。

 なんといってもアリアスのホームラン量産に尽きる。アリアスのホームランが出れば必ず勝つというパターンができつつある。あとは片岡が自分のバッティングを取り戻せば、好調の今岡が塁に出てクリンアップで返すという攻撃パターンができあがる。次節は前回勝つことのできなかったドラゴンズを甲子園で返り討ちだ。藪、谷中らが少し調子を落としているだけに、今度は打線が助けてやらねば。

(2002年4月29日記)


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