倉敷と甲子園のベイスターズ戦は初戦を落としたものの2勝1敗。千葉マリンスタジアムのスワローズ戦は最終戦は落としたが2勝1敗。今節は4勝2敗と3カード連続の勝ち越しで首位を奪回。もたつくジャイアンツとの差は1.5と開く。井川、ムーアの軸がしっかりしているのに加え、ローテーションの谷間に投げた横田で勝つなど、伏兵が日替わりヒーローになる強さがある。6月戦線もいいスタートを切れてよかったよかった。
◎ベイスターズ10回戦……4−6
アリアスがベイスターズ先発の杉本から初回に先制2ラン。しかし、二番手の東に手を焼き追加点が取れない。藪は3回に三塁打の石井琢を鈴木尚のタイムリーで返され、1点差に詰め寄られる。そして5回、またも鈴木尚にしてやられた。高めの球をバックスクリーン横に運ばれる逆転2ラン。このリードをベイスターズは小刻みなリレーで守る。一方、タイガースはベテランの伊藤と遠山をつぎこんだが、7回に小川の三塁打などで3点を奪われ傷口を広げる。7回には濱中のタイムリー、9回にはクローザーの斎藤隆を攻め立て今岡のタイムリーで1点ずつ返したが、7回の3点がきいて逆転はならず。安藤はリリーフで調整登板。2回をノーヒットに抑えたので、これが次の登板につながれば、と思わせたのだが。
◎ベイスターズ11回戦……3−2
井川が2回、伏兵小池に2点タイムリーを打たれた。あれよあれよという間にランナーがたまっての先制点だけに、嫌な予感がした。しかし、そのあとは尻上がりに調子を取り戻し、6回まで投げて2失点で切り抜けた。タイガースの反撃は3回、先発の後藤から濱中が打ったソロホームランで始まる。放物線を描く、田淵を思わせるホームランだ。6回、好リリーフの細見を攻め立て1死満塁。井川の代打平下を告げると、ベイスターズは河原にスイッチ。実は竹下を投入するつもりが森監督はつい河原を指名してしまったそうで、調整不足の河原から代打の代打、八木が初球を狙う。レフト前に弾き返してとうとう同点。代わった前田を打てずにこの回は同点に終わる。福原が7〜8回を完璧に抑えると、打線もそれに応えた。7回、前田から濱中がレフト前に、アリアスがセンター前にヒットを放つと、首位打者桧山が右中間に運んで決勝点をもぎ取った。締めはバルデス。1安打は許したものの、2三振の好投で久々のセーブ。首位のジャイアンツが敗れたため、タイガースはこの試合の結果、首位に返り咲いた。
◎ベイスターズ12回戦……3−2
濱中とアリアスの2者連続ホームランが初回に出て、いきなりエース三浦を窮地に追いこむ。しかし、さすがにそのあとは速球の威力を取り戻し、フォークも冴えて9回までタイガース打線は完全に抑えこまれた。一方、タイガースの先発谷中は4回に三安打をあびロドリゲスのタイムリーで1点を取られる。6回に先頭金城にヒットを許したところで移籍初登板の橋本と交代。橋本も佐伯にレフト前に運ばれて降板、それでも伊藤が初戦の汚名を返上するていねいなピッチングで後続を断ち、なんとかリードを保った。8回にリリーフに立ったのは福原。前日とはうってかわってぴりっとせず、グランの犠牲フライでとうとう同点に追いつかれた。9回から登板の金澤が好投し、試合は延長戦に。10回裏、マウンドには木塚。矢野、吉田と倒れて2死。ここからの反撃は見事だった。今岡がレフト前にヒットを放つと、斎藤がライト前ヒットでつなぐ。そして濱中は敬遠気味の四球。これにアリアスが燃えた。ファールを続けて好球を待ち、9球目の速球をレフト線に運ぶ。今岡が万歳してサヨナラのホームイン! アリアスはヒーローインタビューで「Never
Never Never Surrender!」と絶叫した。
◎スワローズ9回戦……3−1
この試合はムーアの独り舞台。主力打者3人を欠くスワローズ打線を得意のスライダーで幻惑、初回こそランナー2人を許してピンチを招いたが絶好調のラミレスを投ゴロに抑えると、あとは要所を締めて8回4安打1失点と危なげない内容。打線は若き奪三振王坂元の前に4回まで8三振といいところがなかったが、5回、桧山が投手強襲のヒットで初めてランナーに出ると、関本が二塁打で続き、矢野敬遠で満塁に。しかしムーアはライト線に思い切り引っぱり、三人の走者が一気にホームイン。ムーアも三塁に到達! 8回に疲れが見えたムーアは佐藤のタイムリーで1点を許すが、9回はバルデスが登場。なんと2安打1四球で1死満塁のピンチを招く。しかし、副島を浅いライトフライ、代打本郷を三振に打ち取りなんとか逃げ切った。
◎スワローズ10回戦……7−3
星野の故障で苦しいローテーションだったが、なんとテスト入団の横田を先発に起用。初回、スワローズ先発の前田を攻め立てたのは2死からのクリーンアップトリオ。濱中の内野安打、アリアスのレフト前ヒットで走者をためると、桧山がレフト前に流し打ちでまず1点。そしこの日ホワイトにかわって先発出場の八木がレフトスタンドに糸を引くような当たりの3ラン! この4点を意識したか、横田は初回、無死満塁のピンチ。ここでアリアスのエラーやラミレスのヒット、古田の犠牲フライなどで3点を取られてしまう。それでも度会を二塁ゴロに抑えてなんとか1点差で切り抜けた。そのあとは6回2死からラミレスにヒットを打たれるまでノーヒットに抑え切ったのはすばらしかった。特にフォークが冴えたようだ。ワンポイントの橋本が岩村を抑え、新戦力がそれぞれいい役割を果たす。打線は4回に寺村、ニューマンから横田のプロ入り初安打となる二塁打を足場に岩村や浜名がエラーを連発してくれたこともあり3点をもぎ取ってリードを広げる。最後は好調金澤が登板、3回1安打無失点の好投でプロ入り初セーブ。スワローズの拙攻や失策に助けてもらったもの、ローテーションの谷間の貴重な勝ち星を拾った。
◎スワローズ11回戦……1−7
ホッジスの荒れ球に狙いをしぼり切れず、8回に完封を免れる田中のタイムリーで1点を取っただけ。なにしろ古田は真ん中に構えていてもホッジスが球を勝手に散らし、それを打線が打ち損ねているのだからこれでは点は取れない。先発の安藤はいい球はあるのだが勝負球が甘く入ったところを狙い打ちされ、3回途中まで投げて5失点。4回連続で先発失敗となった。捕手は矢野の故障で浅井が先発したが、こちらのリードも単調で相手に読まれてしまっている。二人そろって出直しだ。リリーフの伊藤もこの日は調子が出ず連打を食らって2失点。負けるべくして負けた試合である。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……横田久則 ライオンズの元ローテーション投手も、ここ数年は故障でいいところがなく、マリーンズを自由契約になってタイガースにテスト入団してきた。その苦労が実った。今後も夏場の連戦が続く時期に先発投手として登板の機会があるだろう。この復活勝利を生かして一気にローテーションを狙ってほしい。
野手……ジョージ・アリアス 15試合連続ヒットで打率は.273に。先制ホームラン、つなぐヒット、そしてサヨナラヒットと今節はとにかく打ちまくった。落ち着きが出てきて、4番打者としても頼れる雰囲気がただよってきたぞ。
矢野が返ってきたら、吉本が自動車事故で怪我をして欠場。その矢野も無理をしたか筋肉を痛めて2試合欠場した。こうなると、新人の浅井では代役としては荷が重い。カツノリも肩が弱いのが難点。それでもこうやって勝ち越したのだから立派なものだ。次節はサッカーのワールドカップの関係で3試合しか日程が組まれていない。ここは井川、ムーア、薮の3人を軸に先発グループもリリーフに投入できる強みを生かしてほしいところ。6月は変則日程が続くだけに、確実に勝ち星を計算できる投手がそろっているのは大きいね。
(2002年6月3日記)