愛すれどTigers


ムーア、藪乱調で連敗

 大阪ドームで2試合、甲子園のデーゲームで1試合と今節はサッカーのワールドカップの関係で変則日程となった。これでローテーションの感覚が狂い、井川を除く両チームの投手がリズムをつかむことができず乱打戦となった。結局1勝2敗とタイガースは負け越したが、これが通常通りの日程だったらどうだっただろうか。プロ野球の連盟は自ら首をしめているとしか思えない。後味の悪い1週間であった。世の中はにわかサッカーファンばかりではないはずである。

◎カープ8回戦……7−0
 井川が完封。被安打は3。相手に三塁を踏ませない見事なピッチングであった。速球は走り、チェンジアップも効果的に決まってカープ打線は手も足もでない。一方、佐々岡は2回にアリアスの先制ホームランを浴びると、関本の三塁ゴロを新井がエラー、平下がヒットでつなぎ、井川が投手横を抜く2点目のタイムリー。今岡も続きセンター前ヒットで3点を先取した。5回には一死からアリアスが二塁打、桧山もセンター方向に打ち返して二塁打で追加点、さら関本はライト戦にうまく運び三塁打で桧山を返す。代打の八木も二塁打で続き、さらに1点。広池、玉木とつないだカープのリリーフ投手を打ちこみ6点のリード。6回にも二塁打の濱中がラミーレスの暴投で生還、とうとう点差は7点に広がった。この日、桧山が5月の月間MVPに決定した。めでたいずくめの勝ち星であった。
◎カープ9回戦……5−9
 偵察メンバーの代打で登場した町田がいきなりムーアからホームラン。初回先頭打者代打ホームランという珍記録で幕開け。ムーアはこの後も前田の2点タイムリーなどでいきなり3失点。続く2回にも町田のタイムリーで追加点を取られる。2回裏、苦手高橋へタイガースが反撃、桧山のヒットなどで満塁とした後、矢野のタイムリーで走者を一掃、さらに今岡もセンター前に弾き返して同点に追いつく。これでムーアは調子を取り戻したかに思われたが、5回に前田のバットを折りながらショート後方に運ぶタイムリーでとうとう勝ち越しを許した。さらに新井に2点二塁打を打たれたところで降板。続く金澤も木村一にタイムリーを打たれ、高橋の併殺の間にも走者を返し、9点目。6回、浅井のタイムリーで1点を返したものの、玉木、小林、小山田の継投の前に後続を断たれた。ムーアにしろ高橋にしろ、結局自分の投球ができていなかった。
◎カープ10回戦……5−9
 藪が2回に先取点を取られた。新井、木村一、福地の3連打でまず1点。これは3回裏に長谷川から平下が打った二塁打を足場に矢野の二塁ゴロを福地が一塁に悪送球する相手のエラーと今岡のボール球を叩っ切るような打撃のレフト前タイムリーで2点取って逆転。さらに満塁とチャンスを広げアリアスを打席に迎えたが、キャッチャーフライ、桧山も凡退して点差を広げられず、これが響いた。逆転した直後の4回表、福地、野村のタイムリーで再び逆転されてしまった。5回表、先頭の緒方に二塁打を打たれたところで交代……。そのあとは遠山、金澤がなんとか押さえて点差を広げることなくきて、6回裏に矢野のタイムリーで追いついた。それなのに7回から登板した福原が8回につかまる。金本のレフト前ヒットを平下が後逸してランナーを二塁に進めてしまう。あとはワイルドピッチあり、前田の幸運なヒットありで勝ち越しを許した。これで福原の緊張が増したか木村一の犠牲フライでさらに1点を失う。橋本につないだが、代打のロペスがタイムリー2点打。さらに伊達からは木村拓がタイムリー……。悪夢のような8回であった。9回裏にアリアスが2ランを放ち追撃したが時すでに遅し。点を取られ始めるとストップできないリリーフ陣にも課題が残った。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 両チームどの投手も変則日程で調整ミスをしてるのに、この男だけは違う。何があっても変わらないマウンド裁きはみごとの一語。
野手……桧山進次郎 点は取っているが、決め手がないタイガース打線の中で、死球の後遺症もものかは軽打でヒットを連発する桧山の頼もしさよ。5月の月間MVP受賞は当然の結果である。

 同じことを何度も繰り返すけれど、この変則日程には我慢ならん。次節は3連戦のあと2連戦という日程なのでなんとかなるけれど、どうしてここまでサッカーに遠慮せねばならんのだ。二軍でのホークス戦で片岡が先発出場し、ホームランを放ったとのこと。エラーの後の投手へのフォローができるベテランの復帰でなんとかこのなだれ状態に歯止めをかけてほしい。

(2002年6月10日記)


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