愛すれどTigers


追いついては突き放され……3位転落

 先発投手が先取点を取られる。やっとのことで追いついてさあこれからというところで突き放される……。今節はその繰り返しで福井、富山のカープ戦で2敗、甲子園に戻ってスワローズ戦で2敗。西京極は雨で中止になったが、これは救いの雨か涙雨か。「貯金」は3に減り、順位は辛うじて3位。選手に焦りが見られる。こんなはずではなかったという、そういう焦りだ。わずかながら歯車がずれているという感じである。

◎カープ11回戦……2−4
 先発は井川。初回に金本の二塁打で1点を、7回に町田のタイムリーで1点と2点は失ったものの、できそのものはそれほど悪くはなかった。対する打線はカープの黒田の前に7回まで3安打とほとんど完璧に抑えられる。速球を弾き返すことができない。しかし、8回、濱中、平下と内野安打で出塁し、今岡がレフト前にもっていってまず1点、続く代打八木もレフト前に運んで同点に追いついた。ここで一気に逆転と意気込んだが、片岡は内野ゴロに切って取られる。代打が出た関係で投手は福原にスイッチ。得意の速球はどこへやら。変化球を狙い打たれる。8回裏、カープ浅井のサードへの当たりは片岡が弾いて内野安打。続く木村拓がバントで送り代田は兵動。ここ2年ヒットのない打者のプロ入り通算4安打目はなんとレフトの頭をこえるタイムリー二塁打……。金本にもタイムリーを打たれてさらに2点差に。9回はカープ小山田から先頭のアリアスが二塁打を打ったものの、後続を断たれて連敗は3に。
◎カープ12回戦……2−3
 谷中と佐々岡の投手戦。4回、緒方にホームランを打たれたものの、この日の谷中は内角攻めが決まって久々に好投。6回表、二死からこの日から3番を打つMr.二塁打今岡がライトへ二塁打。これをアリアスがレフト前ヒットで返し同点。さあ、勝負はここからと思われた6回裏、谷中はエラーで出たランナーを併殺に切って取り、ここで踏ん張るかと思われたが、木村拓にライト前ヒットを許し、緒方にこの日2本目のホームランを打たれて2点差に。9回表、小山田に襲いかかるタイガース打線。片岡、ホワイトとヒットをつらね、矢野が送ってチャンス到来。ここで代打八木が期待に応えるレフト前ヒット。一番の濱中に逆転打の期待がかかった。しかし、不調の濱中は無理に引っぱりにいって三塁ゴロ併殺で試合終了。投打の歯車が噛み合わないまま4連敗。とうとうスワローズに追いつかれて同率で2位になった。
◎スワローズ12回戦……5−9
 ムーアは今季最悪の出来。2回にラミレスの2ラン、三木のタイムリーなどで4点を失う。スワローズの先発藤井には古田の巧みなリードもあって7回まで桧山の2本のタイムリーだけの2点に抑えられた。3回からムーアも少し調子を取り戻したが、6回の表、またまたラミレスに2ランをあびてKOされた。7回には伊藤が佐藤に2ランを打たれて8−2と完敗のムード。ところが、代わった寺村からこの日2番の片岡がセンターオーバーのホーム人を放つと、今岡もレフトスタンドにホームラン、桧山はニューマンからこの日3打点目となるライトスタンドに突き刺さる1イニング3本塁打の逆襲。しかし、時すでに遅し……。9回表にペタジーニの二塁打でとどめを刺されてとうとう3位に転落した。スワローズのホームランは全て2ラン、タイガースのホームランは全てソロ。同じ3本塁打でもこれでは勝てない。
◎スワローズ12回戦……5−9
 不調の濱中がスタメンから外れ、センターは平下、ショートには田中が入る新オーダー。藪は初回いきなり真中に二塁打を打たれ、ペタジーニの2ランであっさりと先制される。しかし、3回裏、スワローズ先発ホッジスから田中が内野安打で出塁すると、桧山はセンター前に打ち返して1点差となるタイムリー。さらに4回裏、ヒットの矢野を藪が送って田中がセンター返しのヒットで同点タイムリー。試合はふりだしに戻ったはずなのに、藪がここ数試合のビデオでも見せるように5回表に真中の二塁打でまたリードを許す。6回表にはペタジーニにこの日2本目のホームランを打たれてKOされた。8回裏、五十嵐亮から桧山がライト前に弾丸ライナーのヒットを放つと、復調気配のホワイトがライト線に二塁打で返して1点差に。代打の八木は四球を選び、押せ押せムード。ここで濱中が代打に送られるが、またまたひっかけてショートゴロ。名誉挽回の代打という監督の演出に応えられなかった。この日は島野コーチが三塁ベースコーチになるなどなんとか喝をいれようとしたが、あと一歩及ばず。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……該当者なし 先発は先取点を許し、中継ぎは同点から打たれ……。わずかに久々の一軍登板の吉野が光った程度。
野手……八木裕 4回代打に立ち、2安打1四球2打点と絶好調。久々に「代打の神様」の感触を思い出させた。ふがいないチームにベテランは静かに喝をいれている。

 投手は、それなりに抑えている。打線も全くの不調ではない。なのに勝てない。これは気持ちの問題か。冒頭にも書いたが、こんなはずではとあせる気持ちが空回りしているのだと思う。だから、投手が先取点さえ取られなければ再び勝ち始める要素はある。あとは序盤戦のように夢中になってプレーしてほしい。色気をみせると運は離れてしまう。あくまで無心に、自然体に。次節は変則日程最後の週。得意のベイスターズとの3連戦のみだ。ベイスターズは最近好調だが、精神的に優位にたてる相手だけに落ち着きを早く取り戻してほしいものだ。

(2002年6月24日記)


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