甲子園の後半戦開幕カードはカープ戦。２戦目をバルデスの乱調で失い１勝２敗。横浜球場のベイスターズ戦もリリーフの失敗で２戦目を落として１勝１敗１分。今節は２勝３敗１分とひとつ負け越しに終わった。それても、藪、井川、ムーアの三本柱は安定した投球を見せ、勝てなかったものの川尻、カーライル、藤川もそれぞれそれなりに結果を出した。特に横浜での３戦目、敗色濃厚な試合を追いついて引き分けたのは大きい。まだまだあきらめないという姿勢が大切なのである。
◎カープ１３回戦……３−０
先発藪が７回を散発の５安打無失点に抑える好投。特に４回の一死満塁のピンチに木村一を三塁ゴロに打ち取り、ゴロをさばいた片岡も軽快なフィールディングでこれをさばいた。打線もこれに応える。３回、二塁打の今岡を田中が送り、アリアスがセンター横にタイムリー二塁打で返して先取点。続く桧山もセンター返し、アリアスが積極的な走塁でホームインして２点目。苦手の長谷川を攻略した。７回には二番手小林を攻める。代打広澤が貫禄の四球を選べば、代走高波はすかさず盗塁。今岡のショートゴロの間に三塁に進むと、ここで代打平下がセンター前にぽとり落ちるヒットで追加点を奪った。あとは金澤、バルデスが２イニングずつ完璧なリリーフを見せて理想的な勝ちパターン。この勢いで３試合いけるかと期待させたのだが。
◎カープ１４回戦……２−３
井川は８回を投げて１失点。４回表、先頭の東出にヒットを許し、続くディァスを四球で出してしまった。ロペスのライト戦の当たりは決して鋭いものではなかったが、それが幸いしてタイムリー二塁打に。打線は黒田の前に三振の山を築く。低めのコントロールがよく。内野ゴロもよく打たされた。しかし、疲れの見えた８回裏、井川の代打平下が四球で出塁、今岡が送れば、田中がレフト戦に流し打つ二塁打で同点に。アリアスもライト戦に流し打ちで勝ち越しのタイムリー。もう１点欲しかったが、それてもバルデスで１イニングを押さえれば連勝という流れではあった。ところが、そのバルデスが先頭のディアスにヒットを打たれ代走の福地に盗塁を決められるともういけない。新井を三振に打ち取って二死までこぎつけたが、代田浅井に外角の甘い球を狙われてレフト戦に持っていかれ、一気に逆転されてしまった。９回裏は小山田を攻めて一死一二塁とサヨナラのチャンスを作ったが、期待の今岡が二塁ゴロ併殺におわり、連勝はストップしてしまった。
◎カープ１５回戦……１−６
雨の降る中、タイガースがミスを連発して大敗。川尻は３回に金本のホームランで先制されたが、５回まではランナーを許してもうまく後続を断つ好投を見せた。しかし、６回に連打をあびてランナーをためると谷中にスイッチ。その谷中が緒方に２点タイムリーを打たれてしまう。谷中は７回にも矢野の三塁悪送球などを含む味方のエラーにも足を引っぱられてさらに２点を失い、試合は一方的に。カープの若手河内がイキのいい投球でタイガース打線をアリアスのホームラン１本に抑えこんだ。片岡が５回にトンネル、９回にファンブルと打席の失敗を引きずるようにエラーをするなど、主力にこうミスが出ては試合も引き締まらない。４位に後退してしまった。
◎ベイスターズ１６回戦……９−１
先発のムーアは決していいできとはいえなかったが、ベイスターズ打線の元気のなさに助けられて６回にヤングの犠牲フライで１点を失ったのみ。打線はベイスターズの吉見をとらえる。２回表、先頭の桧山が死球で出ると濱中がヒットで続き、矢野が三塁線に引っぱり先制の二塁打。続くムーアもライト前ヒットで濱中を返して２点目。今岡、沖原、片岡とヒットが続き、この回４点。矢野がホームインしたが審判はアウトの宣告。これに星野監督が激しい抗議をする。３回にも桧山がホームインしながらまたまたアウトの判定で２度目の抗議。こういう判定が流れを相手にやるところだが、４回に満塁から片岡が押し出しの四球を選ぶなどして３点を追加。７回には三番手東から上坂の二塁打と今岡の犠牲フライで２点を加える。リリーフの谷中、遠山もこの天下では楽に投げられ、連敗をストップさせた上に３位を奪回した。
◎ベイスターズ１７回戦……６−９
カーライルは初回に佐伯、２回に鈴木尚にそれぞれタイムリーを打たれて２点を失う不安定な投球。しかし、打線がベイスターズの杉本をとらえる。３回、内野安打の矢野をカーライルが送り、今岡のヒットで返して１点差。田中がヒットで続いて片岡が連日のタイムリーで同点に。アリアスの犠牲フライで逆転。４回には矢野の併殺の間に三塁ランナーが生還して差を広げる。三番手横山から６回に矢野の二塁打で２点を奪い、完全に勝ちパターンにはいる。しかし、調子を戻したかに見えたカーライルは６回裏中村に死球を与え、田中一にヒットを打たれたところでとうとう降板。石井琢を迎えたところで弓長が登板したが、実は左打者には弱い弓長は四球を与えてしまう。急遽マウンドに上ったのは金澤。しかし、種田に走者一掃の二塁打を打たれてしまい１点差に詰め寄られる。暴投で同点にされ、ヤングを歩かせ佐伯のタイムリーで勝ち越され……。一気６点攻撃で逆に２点差をつけられてしまった。あとは８回から斉藤隆を投入され、なすすべなく敗れる。あの６回、何が起こったのか。テレビで見ていて唖然呆然。もったいない試合を落としてしまった。
◎ベイスターズ１８回戦……３−３
若手の関本の一振りが暗雲を吹き払った。プロ入り初先発の藤川は４回に小川にタイムリーをあびて２点を失い降板。中継ぎ登板の谷中も５回に３安打を許して１失点。打線はホルトの重い球に手こずっていたが、８回、田中がセンター前ヒットで出塁しすかさず盗塁。そして打席には片岡。一塁ゴロにしとめられたが、佐伯がこれを一塁に悪送球し、田中が生還してまず１点。アリアスがセンターに打ち返すタイムリーで１点差に詰め寄る。しかし、ベイスターズは小刻みな継投で勢いに乗るタイガース打線を断ち切る。そして９回のマウンドには切り札斉藤隆。２死に簡単に打ち取られ、万事休す。ここで代打の関本が甘く入ったボールをレフトスタンドに運んで同点に追いついた。いや気持ちいい一発。試合は延長戦に。１２回表、竹下から関本が二塁打を放ち、勝ち越しのチャンスを迎えたが、代走の高波は三塁に盗塁を試みアウト。バルデスまでつぎこんで引き分けた。前日の嫌な敗戦のあとだけに、これを落とすとずるずると後退しそうな感じがしただけに、関本のこのホームランは貴重である。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……藪恵壹 前半戦最後の試合でつかんだ辛抱の投球術を今節も披露してくれた。これで次回のジャイアンツ戦にも希望が見える。
野手……田中秀太 沖原と併用でショートの定位置を争っているが、コンパクトに振る打撃と思い切りのいい守備で再三チームを助けている。激しい競争でやる気に火がついたか。
次節は甲子園に戻り首位を走るジャイアンツと対戦。エースの上原を欠き、先発の柱がいないだけに藪と井川でとにかく２つは取りたいところ。二軍で調整していた赤星が一軍に合流するという朗報もある。坪井は今季絶望ということで故障者全てがかえってくるわけではないが、赤星の復帰は大きい。田中、沖原、関本らの内野の定位置争いも熾烈。今節苦しんだ分を次節にぶつけてほしいものだ。
（２００２年７月２２日記）
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