愛すれどTigers


濱中、矢野、ホワイト骨折で離脱

 長期ロードの滑り出しは倉敷と広島でのカープ戦。ここを2勝1敗と勝ち越して上々のスタート。ところがナゴヤドームのドラゴンズ戦で落とし穴が待っていた。初戦に濱中がダイビングキャッチを試みた際に左手親指を骨折、2戦目には守備で内野手と交錯したホワイトが左足尺骨を、デッドボールを受けた矢野が左腕尺骨をそれぞれ折ってしまい、今季の残り試合出場は絶望に。1勝2敗と負け越し、今節も3勝3敗にとどまったが、それよりも相次ぐ主力の怪我で戦力はがた落ち。まさしく「死のロード」になってしまった。なんということだろう。

◎カープ16回戦……0−1
 先発の藤田太陽は5回途中までを自責点0で抑えた。その5回裏、先頭の西山にフォークを打たれてライト前ヒット。黒田のバント、緒方の一塁ゴロの間にランナーは三塁に進む。東出を四球で出したあと、打者はディアス。三塁正面のゴロに打ち取ったが、片岡が弾いてボールを見失い西山がホームイン、この1点が決勝点となった。完全に抑えきった内容だけに、このエラーは気の毒。藤田は結局ここで交代となってしまった。打線は苦手の黒田の前に完封負け。何度かチャンスは作るが、肝心のところでフォークにやられた。負けたとはいえ、藤田、吉野ら若手投手陣に光明が見えてきた。
◎カープ17回戦……9−2
 カープの先発は若手のホープ河内。その速球に序盤は手こずるが、4回表、五番にはいったベテラン広澤がライトスタンドに放り込む今季第1号ホームランで先制。続く5回には今岡がやはりライト打ちのソロホームランで追加点。そして7回、ついにやってくれました。今岡のタイムリー二塁打で1点を加え、交代した小林から濱中がプロ入り初の満塁ホームランをライトスタンドへ。先発川尻は前半は完封ペースの余裕の投球内容。7回裏に前田に打たれたホームランの1点のみで交代。大量点に守られた8回裏、リリーフの福原がいきなりに連続ヒットあびるなどして1点をとられ、すぐに吉野に交代。最後は伊達が締めて連敗ストップ。左投手相手ということで関本を3番に入れ片岡を外す右打者中心のオーダーを組んだが、これが成功した。
◎カープ18回戦……7−4
 カープ先発鶴田を初回から打ち込む。赤星と平下の連続ヒットでチャンスを作り、濱中のサードゴロは新井のエラーを誘ってまず1点。続く片岡もセンター返しのタイムリーヒット。ムーアはその裏に金本のタイムリーで1点を失ったが、打線の援護はこの日は強力。2回表、矢野とムーアのヒットに続き今岡がレフトスタンドに運ぶホームラン。結局鶴田はこの回で降板。3回には代わった広池から矢野が3ラン。この7点で試合は決まったかに思われたが、ムーアは不安定な投球。3回は無死一二塁からディアスに痛烈な三塁ゴロを打たれるが、三塁関本がサードベースを踏み二塁に送球、二塁今岡から一塁片岡に転送され、チームとしては31年ぶりとなるトリプルプレーを完成させた。ムーアは守備にかなり助けられている。しかし、4回には新井に2ランをあび、6回表、先頭の緒方を歩かせて降板。そのあとは谷中、金澤、吉野の中継陣が踏ん張り、谷中が緒方にソロホームランを打たれただけで抑える。一方、打線は5回以降は天野、小林、玉木にノーヒットに封じられてしまい、課題を残した。最後はバルデスが締め、連勝を決めた。
◎ドラゴンズ18回戦……2−1
 先発は星野。緩急をつけたおなじみのピッチングがうまく決まり、3回裏に福留のタイムリーで先制されたものの、6回を1失点に抑える好投を見せた。一方、タイガース打線もドラゴンズの朝倉からなかなか点が取れない。4回表、濱中のサードゴロを立浪がエラーし、続く広澤は四球。ノーヒットでためたランナーを平下のライト前に打ち返すタイムリーで返し、同点に追いついた。しかし、4回裏、渡辺の右中間のライナーを飛びついて取ろうとした濱中が着地の際左手親指を強打して骨折……。今シーズンの残りの出場は絶望的に。7回表、平下のヒットと矢野の四球でチャンスを作り、好投星野の代打に上坂を送るという賭けに出る。これが当たった。レフト前に弾き返す決勝タイムリー! このあとは金澤、福原、吉野、バルデスの小刻みなリレーで虎の子の1点を守り抜いた。余談だが、ドラゴンズの攻撃で大豊が登場した時、球場全体から大きな拍手が起こったが、これはドラゴンズファンだけてなくタイガースファンの拍手もあったように思う。
◎ドラゴンズ19回戦……4−5
 先発は井川。1回裏、井端にいきなり二塁打を打たれ、荒木のバントでランナーは三塁に。立浪のレフト前の飛球を追って、田中とホワイトが交錯、ボールは二人の後方に落ちて二塁打となって先取点を奪われた。このプレーでホワイトは左足尺骨を骨折し、退場。3回表、山井から片岡がライトスタンドに逆転の2ランを放ち、一度はリードする。しかし、この試合の井川はイニングごとに出来不出来の差が激しく、5回につかまる。二死をとったあと、井端にこの日2本目の二塁打をあびると、荒木にレフト前に運ばれて同点に追いつかれる。さらに6回、大西のタイムリーで勝ち越しを許し、この回限りで降板した。7回表、ドラゴンズは必勝を期して落合を投入してきたが、打線がつかまえた。先頭の上坂がセンター前に鋭い当たりのヒットを打って出塁、田中が送り、打席には矢野。左腕に四球をくらい、尺骨骨折で退場した。今岡が投手強襲のタイムリーヒットを放ち、同点に追いついた。さらに代わった岩瀬がワイルドピッチで三塁走者が生還してこの日二度目の逆転。リリーフの谷中は7回はきっちり抑えたが、8回に大西にタイムリーを打たれて降板。後続は吉野が断ち切った。そして9回裏には金澤が登板。簡単に二死をとったが福留、谷繁の連打と渡辺への四球で満塁に。打者大西のところでなんとワイルドピッチ。捕手の吉本はこれを取れず、暴投サヨナラ負けというなんともいえない結果に終わってしまった。敗戦以上に、2日間で主力3人が負傷欠場に追い込まれるという事実が重くのしかかってきた。
◎ドラゴンズ20回戦……1−5
 この日の先発オーダーは、5番に沖原、7番に新人の藤原を入れるという緊急事態。藤川は今日こそプロ入り初勝利をという意気ごみが空回り。初回に2四球という乱調ぶりで満塁にし立浪に先制2点タイムリーを許す。しかし、2回以降はまずまずの投球。ところが打線が山本昌の前に凡打の山。要所を締められ得点できない。6回裏、先頭のブレットを三振に打ち取ったが、その球を吉本が後逸。なんとブレットは二塁までいってしまった。続く山本昌の送りバントは藤川がお手玉してどこにも投げられない。ここで捕手は吉本から中谷に交代。藤川は井端を歩かせ、荒木に強い当たりのライトライナーを打たれたところで面出と交代した。面出は福留と谷繁にタイムリーを打たれ、5点差にまで広がる。星野監督はこのあと梶原康ら若手を起用し、来季をにらんだような戦い方に。8回、赤星のタイムリーでなんとか完封は免れたが、主力を大量に欠いたタイガースの苦しさがはっきり現れた試合であった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……星野伸之 先発投手陣が若返っている中で、ベテランの復帰は心強い。藤田や藤川を引っぱるのはこの星野と川尻なのだ。
野手……濱中おさむ ハッスルプレーで骨折とはついていないが、怪我をしないでダイビングする方法もあるはず。新庄はこれがうまかった。カープ戦の満塁ホームランなど期待していた矢先だけにこの欠場は痛すぎる。

 次節は札幌遠征などで5試合。若手に経験を積ませるような起用法になっていくだろうが、藤原や梶原康などはこれをチャンスとみて思い切りのいいプレーをしてほしい。また、捕手も中谷を先発起用する方針だというが、山田にも再度チャンスを与えてほしいところだ。まだAクラスのチャンスは大いに残っている。どんな形でもいいからAクラスに入ることが来季につながると思うのだ。星野監督にとっては正念場だろう。そして、この危機を乗り切ったところに来季への展望があるはずだ。
 それにしてもここまで怪我人が多いというのはどういうことか。前監督の練習方法になにか問題があったのだろうか。

(2002年8月12日記)


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