愛すれどTigers


アリアス復帰も「貯金」0に

 札幌ドームでのベイスターズ戦は苦しみながらも1勝1敗で切り抜けたが、神宮球場でのスワローズ戦は2連敗。3戦目を台風で流したのが痛い。若手投手陣を起用せざるをえない展開で、藤田、藤川と敗戦投手にはなったが、少しずつ上向きになっている。来季をにらんだ試合が続くが、アリアスがこの状況で復帰したのは大きい。さっそく1ヶ月ぶりのホームランを放ち、大砲健在を見せてくれた。今節1勝3敗でとうとう開幕以来初めて5割ちょうどとなった。苦しい戦いは依然続いている。

◎ベイスターズ22回戦……0−3
 ベイスターズ先発グスマンの前に2安打完封。荒れ玉で狙いをしぼり切れず、ボールを見ていったらストライクがきたりと攻めあぐんだ。途中出場の上坂が2安打。これまでくすぶっていただけに、ここで存在感をもっと見せてほしい。先発川尻は初回に二塁打の石井琢をロドリゲスのヒットで還されて先制点を奪われる。4回にもグランと金城の連続タイムリーで2点を失い5回途中でマウンドを降りた。しかし、伊達や吉野のリリーフ陣は気合いのこもった投球で無失点。この積み重ねが今後に生きることを願う。なお、この日首位ジャイアンツに34の優勝マジックナンバーが点灯した。
◎ベイスターズ23回戦……4−1
 ムーアは初回に鈴木尚の内野安打で1点を失ったもの、その後はよく立ち直って6回以降はノーヒットに抑える好投。ベイスターズの先発はホルト。3回、エラーで出塁の中谷を今岡のタイムリーで還して同点、そし4回、片岡がライトスタンドに鋭い当たりの勝ち越し2ランホームラン! 7回にはムーア自身がタイムリー二塁打を打って4点目。ムーアは9回にもヒットを放ったが、そのムーアに代走の梶原康。つまりなまじ代打を出すよりもムーアの方が頼りになるということだ。最後はバルデスが9回を締めて連敗を3で止めた。なお、この日ホワイトが負傷治療のために帰国。来季残留は微妙か。
◎スワローズ20回戦……1−6
 先発藤田がペタジーニにやられた。2回に先制のソロホームランを浴びると、4回には3ラン。その後も土橋のタイムリーで1点を奪われて4回5失点という今季最悪のできで降板。続く面出もラミレスのタイムリーで1失点。打線はスワローズの山部にのらりくらりとかわされて6回でわずか3安打。ここは古田のリードにやられた感じかな。唯一の得点はこの日一軍に復帰し即4番に座ったアリアスの20号。星野監督曰く「意地のかけらや」。若手を先発で起用しても藤原、中谷ともノーヒットで途中交代。老獪な古田のリードには若手では厳しいということか。
◎スワローズ21回戦……2−3
 初回、3番に座る平下がスワローズ先発の蒲田からレフトスタンド最前列に飛び込む先制2ランを放つ。この後6回に今岡がヒットを打つまでノーヒットに抑えられただけに、いかに神宮球場とはいえこのホームランは大きかった。先発藤川は、それに応えて6回を1安打に抑える好投。このままいけばプロ入り初勝利は確実と期待されたが、7回、稲葉、ペタジーニ、岩村に四球を出して1死満塁のピンチを招く。星野監督は辛抱強くここは続投させる。しかし、古田、土橋の連続タイムリーでとうとう同点に追いつかれてしまった。代打城石の打球はライトフライに。犠牲フライで逆転されるかと思われたが、高波がみごとにホームで刺す。捕手中谷のブロックもよかった。しかし藤川は先頭打者への四球の怖さを実感したことだろう。この後、タイガースはリリーフの谷中が好投、スワローズも石井、五十嵐亮、河端とつないで試合は延長戦に。11回表、先頭打者の今岡がヒットで出塁したが平下のセカンドライナーで飛び出してダブルプレーと運もない。11回裏、ここまで好投の谷中がとうとう疲れを見せた。先頭の宮本にセンター前ヒットを打たれて吉野にバトンタッチ。この吉野が稲葉、ペタジーニと連続三振をとり、金澤にスイッチする。ところが金澤はコントロールが一定せず甘く入った球をラミレスにヒットされ、岩村敬遠で迎えた打者は米野。古田の控え捕手の伏兵にやられた。センター前に弾き返されサヨナラ負け……。今岡が猛打賞の活躍を見せても、続く赤星がことごとくバント失敗。これでは得点には結びつかない。昨年の新人王もスタメン落ちの危機か。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……トレイ・ムーア 投打に活躍し、連敗ストップ。勝ち星も9つを数え、10勝目も見えてきた。連敗が続いても、こういった計算できる投手がいるからこそ5割を維持できるといえる。
野手……高波文一 こうも打てないと守備で貢献している選手に光を当てたくなる。今季は守備固めでの出場が多いが、好返球で走者をアウトにすることがたびたびあり、存在感を見せている。足も速いし……これで打撃がよければと思わずにはいられない。

 次節は地元に帰って大阪ドームで相性のいいカープとの対戦。ここで気分を変えてほしいところだ。そしてはずみをつけて東京ドームに乗りこんでもらいたい。まだ5割のラインはたもっているのだ。次節で大きく負け越すようだとこのままずるずるいく恐れもある。「結局同じか」と言われてほしくないのだ。中谷のはつらつとした動きや平下の球に食らいつく姿勢が他の選手にもほしい。レギュラークラスでは今岡がよくやっている。赤星や上坂クラスがこれに続いてほしいのだが。

(2002年8月19日記)


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