愛すれどTigers


トンネル脱出! 2試合連続完投勝利

 タイガースが甲子園に帰ってきた。桧山も怪我が治って一軍に戻ってきた。なのに、ドラゴンズ戦では1敗1分。スワローズ戦も初戦を落として2分をはさむ5連敗。勝てそうな試合をものにできず、負ける時は大敗と嫌なムードになりかけたのを、川尻とムーアが救った。2試合連続完投勝利で2勝1敗と久々のカード勝ち越し。今節は2勝2敗1分と五分の星となり、悪い流れを少し引き戻した。さあ、トンネルは脱出した。勝負はまだ終わっていない。

◎ドラゴンズ21回戦……1−1
 ベテラン星野と若い朝倉の投手戦。星野は5回に渡辺、大西に連打をあび蔵本の犠牲フライで失った1点のみ。タイガース打線は朝倉の速球に5回2死までノーヒット。なんと初安打は星野の内野安打であった。しかし、1点を守ろうとして落合、岩瀬、ギャラードとつないだ山田監督のもくろみは9回裏に崩れた。ギャラードと相性のいい代打浅井が先頭打者でヒットを打つと、アリアスもセンター返しのヒットで続き、さらに片岡が死球を選んで満塁に。ここで代打は八木。あせるギャラードの内角攻めも手元が狂って死球で押し出しとなり、同点に追いついた。しかし、その後は広澤、沖原の連続三振でサヨナラ勝ちはならず。試合は延長線に入ったが、11回表、雨脚が強くなり中断。一度野手は守備についたが結局降雨コールドで引き分けた。この試合、腰痛手術から復帰したハンセルが今季初当番、1イニングをきっちり投げてその存在をアピールしてみせた。
◎ドラゴンズ22回戦……1−12
 井川が5回につかまった。紀藤の二塁打、荒木と福留への連続四球で満塁とし、立浪にライト前に弾き返されて2失点。結局6回途中で降板した。そのあとは伊達、吉野、藤田と出る投手が次々と打たれて12失点という乱調ぶり。救いは前回1死もとれずに降板した舩木が9回に登板し2三振無失点と結果を見せたことと、9回裏、中谷がプロ入り初安打で完封を逃れる1点を叩き出したこと。ドラゴンズは大差をつけた余裕か、山北、山井、小笠原と若手の継投でタイガース打線を抑えこんだ。井川で勝てないというのが重い雰囲気を作っている。若手の奮起を期待したい。
◎スワローズ22回戦……4−5
 藤川に今度こそ初勝利をというタイガース打線の意地が見られた。5回裏、スワローズ先発の鎌田に襲いかかる。アリアスが二塁打を打ちチャンスを作ると、代打広澤が先制タイムリーをライト前に運ぶ。今岡、赤星の連続タイムリーで一挙3点。これで試合はタイガースのものかと思われた。ところが、代打の関係で捕手が中谷から山田に代わったことが影響したのか、藤川は7回につかまった。三連打をあびて満塁とし、ここで降板。代わったハンセルが小野と宮本にタイムリーを打たれ、あっという間に同点に追いつかれる。これでまた藤川の初勝利はお預けになった。スワローズは松田、五十嵐亮、石井とつなぐ必勝リレー。タイガース打線は手も足もでない。タイガースも吉野、谷中、バルデスと継投で抑えようとしたが、延長11回表、バルデスが2死から城石、真中に連続ヒットを打たれ、宮本に決勝タイムリーを鵜たれてしまった。最後は高津に締められる。優勝争いに踏みとどまるチームと目標を見失いつつあるチームの差がでたか。
◎スワローズ23回戦……4−1
 最多勝を争うホッジスから、初回に打線が牙をむく。2死から片岡が四球を選ぶと、桧山の二塁打で先制、アリアスの三塁打で2点目、平下のタイムリーで3点目。初回に援護をもらった川尻は、スライダーとチェンジアップを自由自在に決め、ボール球を相手にふらせる最高の投球。2回、岩村に打たれたホームランの1点だけに抑える。6回には二塁打で出塁したアリアスが山田の併殺崩れの間にホームインして貴重な追加点をあげた。川尻は完投勝利。なんと2年ぶりとなる。川尻の好投は、まさに嫌な雰囲気を断ち切るもの。若い投手たちもこの日の川尻の配球はおおいに参考となったことだろう。嬉しい連敗ストップである。
◎スワローズ24回戦……3−0
 先制ホームランをアリアスが2回に放った。右中間に流し打ったホームランは珍しいが、こういうバッティングを心掛ければ結果は必ず出るはずだ。軟投派の石川には以前痛い目にあっているだけに、効果的な一発だった。4回には片岡、桧山のヒットで作ったチャンスを沖原が生かした。内角どん詰まりのあたりはレフト前に落ちるテキサスヒット。この追加点で先発のムーアはかなり楽になったはず。しかも、スワローズは4番のペタジーニが初回に死球を受けると途中で家に帰ってしまった。冗談ではなく、本当に東京行きの電車に乗ったらしい。ペタジーニがいないというのは大きい。6回には河端のワイルドピッチでさらに1点をいただき、ムーアは球は走っていなかったが両サイドをうまくついた投球で完封勝ち。これで今季10勝めとなったが、タイガースの外国人投手ではキーオ以来だ。この勝利でベンチのムードもよくなった。ムーアはヒーローインタビューで「シンジラレナーイ!」とやって場内をわかせた。悪のりしたアナウンサーが「吼えて下さい」とリクエストしたが、さすがに恥ずかしげに「ワオ」とだけ言って照れ笑い。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……川尻哲郎・トレイ・ムーア 文句なしである。この2連勝がいかに大きいかは、今季が終わってからわかるだろう。
野手……今岡誠 チームのムードが悪くても、いいところでヒットを打ち、そして再三のファインプレーで投手を助け、トンネル脱出にむけてナインを引っぱった。

 次節は相性のよいカープ戦、そしてベイスターズ戦と続く。連続完投でいい流れができた。その流れを続けるには格好の対戦相手だろう。藪が二軍戦で登板し、次節にも一軍復帰が期待される。ベテランがここにきて活躍している。次は若手がつなげる番だ。まず5割復帰、そして3位奪回を目標にこの9月にスパートをかけてもらいたい。

(2002年9月2日記)


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