愛すれどTigers


藤田太陽待望のプロ初勝利

 今岡がねんざのため登録抹消。誰かが復帰したら、入れ代わりに誰かが怪我をする。今年はそういうめぐりになっているのだろうか。広島市民球場のカープ戦では1勝2敗。甲子園のベイスターズ戦は1勝1敗。今節は2勝3敗と負け越してしまった。藤田のプロ入り初勝利で3連勝と上げ潮ムードだったが、井川の不調と今岡の離脱で勢いを止められた感じだ。来シーズンの目標は、全員が大きな怪我をすることなく出場することであるね。怪我人の代わりに出場した選手が一気にレギュラーを取ろうというような活躍を続けられればよいのだが、そこまでいかないのも厳しい。来季への課題がはっきりと出た週であった。そして、それでもがたがたと大きく崩れないという「成果」もあったとはいえるのだけれどもね。

◎カープ22回戦……10−2
 初回、高橋から一気に2点先取。赤星、片岡と連続ヒットを放ち、アリアスの犠牲フライでまず1点。沖原が歩いて満塁とし、上坂も押し出しの四球を選んで2点目が入る。これに応えたのが藤田太陽。8回まで3安打完封の好投。特にフォークボールが冴えに冴えてカープの打者のバットが空を切る。3回表、沖原が今季第1号のホームランを放って3点差に広げる。そして7回、赤星の二塁打を皮切りに、桧山のタイムリー、アリアスの3ラン、三塁打の上坂を山田がヒットで返し、今岡のだめ押し二塁打でこの回一挙7点のビッグイニングとなった。藤田は9回裏、金本に2ランを打たれて完封を逃したものの、プロ初勝利をみごとに完投で飾った。赤星は5安打の固め打ち、なかなか結果を出せていなかった2年目組が大活躍で3連勝。開幕7連勝の再来を期待したのだが。
◎カープ23回戦……1−4
 タイガースは佐々岡に完璧にやられてしまった。3回表はエラーで出たランナーを井川が送って今岡のセンターフライも緒方のエラーで関本が帰りノーヒットのラッキーな先取点。しかし、あとはランナーを出しても後続を断たれる。コーナーをていねいにつく投球にやられた。先取点をもらった井川だが、4回につかまった。東出を不用意な四球で出塁させ、緒方、金本に連続二塁打を浴びる。いずれも甘いコースに入った球。金本の同点打のあと、前田に右中間に叩きこまれる。前半の井川に見られた粘りがない。ここで波に乗れないのが後半戦のタイガースの辛いところだ。
◎カープ24回戦……3−6
 先発藤川は、今季最悪のでき。初回は緒方の二塁打、2回は新鋭栗原のプロ入り初ホームランを浴び、2点を先攻される。しかし、3回表、二死からヒットで出た赤星が盗塁、田中三振もカープ先発の鶴田の投球は暴投となり、振り逃げで田中は一気に三塁に進み、まず1点を返した。続く片岡はセンター前に弾き返すタイムリーで同点に追いつく。5回には平下のホームランで勝ち越し。これで流れはタイガースのものになったかと思われたが、5回裏、藤川が緒方に死球を与えたところでまた調子がおかしくなった。金本のヒットでピンチは広がり、前田と新井の連続タイムリーヒットでひっくり返された。この回、無念の降板。つないだ谷中も6回につかまり、2点を追加されてしまう。結局鶴田をなかなかマウンドから引きずりおろせず、もたせてしまった。最後には小山田に締められ、悔しい2連敗。この日から今岡が欠場したのも響いたか。
◎ベイスターズ24回戦……4−1
 川尻の見事なピッチングで連敗を止めた。初回に桧山のセンター返しのタイムリーで先取点をもらったが、2回に古木のプロ入り初ホームランを打たれて同点に。しかし、それ以降は7回に鈴木尚にヒットを打たれただけの2安打完投。スライダーの切れは前回の登板以上だった。ベイスターズの先発バワーズに2回以降抑えられていた打線も、4回に桧山のセンターへの完璧なホームランと、山田のレフトスタンドに運ぶ2ランでみごとに勝ち越し。千葉、秦といった若手投手に抑えられたのが気にはなったが、気持ちのいい試合で連敗をストップさせた。
◎ベイスターズ25回戦……4−9
 ムーアと吉見の両左腕の投手戦で始まった試合の均衡を破ったのはアリアス。4回裏、二塁打の桧山をおいてレフトスタンドへ先制2ラン。来季の残留をかけた一発で先制した。ムーアは5回までノーヒットピッチング。これは連勝かと思われたが、6回、吉見を四球で出塁させ石井琢に初安打を打たれたところでいらつきを見せ始める。代打中根には死球を与え満塁。種田は三振にうちとったが、鈴木尚に右中間を破られ、2点を失い同点に追いつかれる。そして8回、鈴木尚に同じコースに打たれて今度は打球がもうひとのびしスタンドイン。2ランを浴びてしまう。あとをつないだ伊達もつるべ打ちで、この回7失点。試合の流れというものの怖さを感じた。9回裏、アリアスが2ランを放って吉見に一矢報いたが、8回の大量失点は重く、無四球完投を許してしまった。これで5位のカープとはゲーム差がなくなり、辛うじて勝率で4位。厳しい展開になってきた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤田太陽 完封こそ逃したものの、とうとうプロ入り初勝利。これまで辛抱強く使い続けてくれた星野監督に報いた。この1勝ではずみがつけば、今後の登板にも期待が持てる。
野手……桧山進次郎 まさにタイガースのリーダーである。桧山不在時は今岡が踏ん張ったものの、桧山ほどの信頼感はなかった。よくここまでの選手になったものだと思う。

 9日、星野伸之投手が引退を発表した。FAでタイガースに移籍したものの、持ち味である緩急をつけた芸術的なピッチングを打線が助けてあげられなかったことに悔いが残る。今年も好投しても登録を抹消されるなど、満足な場が与えられなかったように思う。本人も残念だったろう。最終戦には甲子園にかけつけて、拍手を贈りに行きたい。
 次節から東京、名古屋でのロード9連戦。スワローズ、ジャイアンツ、そしてドラゴンズのAクラス3チームが相手となるわけだが、ここで底力を見せないとAクラスの目標などどこかにいってしまう。まさに正念場だ。藪が一軍に復帰するという嬉しい知らせもある。とにかくもうひと踏ん張りだ。

(2002年9月9日記)


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