シーズン終了直前に大量の投手を解雇した時点で、ドラフトでは投手をたくさん取るのだろうと予測はしていたが、11人使命したうち8人が投手で、そのうち5人が左腕という徹底ぶり。確かに左の強打者が多いセントラル・リーグでは左腕投手は重要だ。遠山、弓長、西川らベテランを切った以上、若い左腕投手、しかも即戦力がほしいのは当然といえるだろう。自由獲得枠の専修大の江草仁貴、社会人野球から中村泰広、三東洋、新井智と5人のうち4人は即戦力の期待がかかる。もっとも、今季の吉野のように即戦力の期待がかかりながら入団後数年かかって開花した選手もいるから、特に下位指名の投手は時間がかかると思っていいだろう。
さらに、山田捕手、伊達投手との交換でファイターズから中村豊外野手とともに移籍してきた下柳剛投手もいる。こちらはホークスから移籍してきた佐久本投手とともに実績的には申し分ない。特に下柳は先発でもリリーフでもいけるという利点がある。井川、ムーアとともに先発陣を形成してもよいし、新外国人投手のウィリアムズ(こちらも左腕!)がキャンプ、オープン戦で調子をあげてこなければ石毛あたりとダブルストッパーとして起用してもよい。計算できる左腕として両ベテランにかかる期待は大きい。
今季シーズン途中から移籍してきた橋本、2年目を迎える中林、145kmの球速を誇る高校出身のルーキー田村領平を加えると、未知数の選手も多いが、左腕投手の層は格段に厚くなった。それだけに、これだけの左腕が出そろうとなると、これはもう左腕王国の誕生が近いという期待ができるではないか。
もちろん、龍谷大の杉山直久、常盤大のトルネード久保田智之の両右腕もこれら左腕に割って入れる力量の持ち主だと思われる。打線の援護さえあれば、若手の多い投手陣も余裕のある投球ができるだろう。星野監督の優勝への野望が形を整えてきた。あとはキャンプでどれくらい力をのばせるか、である。そしてFAでの中村内野手の去就、今後の焦点はそこに絞られてきた。
(2002年12月2日記)