甲子園でジャイアンツに3連勝! 怪我人続出で下位打線は二軍選手というジャイアンツだが、こういう時に一気に突き放しておかないと。これで開幕からジャイアンツ戦は負けなしの5連勝。19年ぶりの記録であるという。1日おいて甲子園でスワローズ3連戦。こちらは2勝1敗。苦手チームではあるが、着実に勝ち越し。これで今節は5勝1敗。2位のジャイアンツに3.5ゲーム差の首位。まだ独走とはいわないが、昨年の今ごろは同じ首位でも2位との差は1.0ゲームしかなかったのだから、快調にトップを走っているといっていいだろう。気分爽快でありますね。
◎ジャイアンツ4回戦……8−6
先発のムーアは5回まで快調に投げる。それに答えるように、打線も着実に加点。桑田から初回は金本の二塁打、2回は片岡のソロホームラン。3回も金本がタイムリー。5回にも金本の二塁打で1点ずつじわじわと真綿で首を絞めるようにジャイアンツを圧迫していく。4回表、二塁に二岡、一塁にペタジーニとランナーを出し、ダブルスチールを決められる。矢野が二塁に悪送球し、二岡が一気にホームインで1点は返された。これで楽勝かと思われたが、なんと6回表、思わぬ落とし穴が。ペタジーニを意識しすぎたムーアは二岡に死球を与えるなどして無死満塁に。甘く入った変化球をライトスタンドに運ばれ、一気に逆転されてしまった。その裏、桑田から片岡が同点に追いつくライトオーバーの二塁打。これで桑田はKO。しかしムーアも立ち直れず7回表、斉藤に勝ち越しタイムリーを許してしまい、降板。このままずるずるいくか心配されたが、8回、リリーフの岡島にタイガース打線が牙をむいた。濱中、桧山の連続ヒットでチャンスを作り、矢野がセンター前にしぶとく弾き返し、同点。藤本を歩かせたところで代打は八木。投手は久保。ここで八木は三遊間を抜けるかという当たり。二岡はよく押さえたがどこにも投げられず、内野安打でとうとう勝ち越し。久保はこの回2度目のワイルドピッチでさらに1点追加。新人の久保には甲子園の歓声がプレッシャーとしてのしかかってきたようだ。9回はウィリアムスが締めて逃げ切り。中継ぎで好投した安藤が今季初勝利。なお、片岡のホームランはプロ入り通算150号の記念弾であった。
◎ジャイアンツ5回戦……6−2
井川の立ち上がりは悪かった。初回、ペタジーニを前にいきなり満塁のピンチ。しかし、ここはペタジーニのバットをへし折る内野ゴロゲッツーの間の1点にとどめる。2回には高橋尚にスリーバントスクイズを決められ2点差に。しかし、今季のタイガース打線は、ここからが勝負。この日は私は外野スタンドで応援していたが、負ける気がしなかった。3回裏、苦手の高橋尚をせめたて一死三塁。ここで今岡が犠牲フライをセンターに打ち上げまず1点差に詰め寄る。これで流れはタイガースに。4回裏、濱中が四球を選ぶと、桧山がレフト前ヒットでつなぎ、打席には片岡。ライト前に運んで同点にする。続く矢野の打球は美しい放物線を描いてレフトスタンドへの2号2ラン。あっさりとひっくり返す。6回裏には二塁打の金本、ヒットの濱中をおいてまたまた片岡がセンター前に弾き返し2点を追加と突き放す。井川は毎回ランナーは出すものの要所を締めて8回まで投げ、最後はウィリアムスが代打清原を三振に切ってとるなどして完璧なリリーフ。完全に相手を見下ろした試合運びの連勝である。
◎ジャイアンツ6回戦……3−1
藪は初回に1死満塁のピンチ。しかし、ここは後藤の犠牲フライの1点に抑え切って、あとは8回途中まで安定したコントロールを見せた。ジャイアンツの先発は移籍のランデル。ランナーが出るとそちらばかり気にする投手で、4回裏、桧山と片岡を歩かせて矢野のタイムリーで簡単に同点に追いつかれた。そして5回裏、ヒットの赤星の足が気になり金本に甘い速球。そこをライト前に弾き返す。赤星は一気に本塁をつき、勝ち越し。濱中と桧山は抑えられたが、好調片岡がレフトオーバーの二塁打でさらに1点を追加。藪が8回表二岡を抑えると、左打線に対しては吉野、次いで安藤と中継ぎがきっちりつなぐ。最後はウィリアムスがランナーは許したが無失点に抑えて逃げ切り8セーブ目をかせいだ。星野監督はこの日の勝利で監督通算850勝。ジャイアンツ戦で節目を飾るところが星野さんらしい。
◎スワローズ7回戦……6−3
伊良部は4回に真中の犠牲フライで1点を先制されるが、逆転の虎はそんな点はものともしない。4回裏、すぐにホッジスを攻略。無死満塁で藤本が同点の犠牲フライ。うまい流し打ちだった。伊良部が送ってチャンスを広げ、今岡がライト前に流し打ち。このヒットで2者が生還し一気に3点。5回には、この日久々の先発アリアスがセンター前に弾き返す技ありのタイムリーで1点追加。6回には二死から赤星が歩き金本が内野安打と足でホッジスを攻め立て桧山のタイムリーでさらに1点を追加。8回にはリリーフの金澤が3安打を喫して2点を奪われるが、安藤がつないで代打の切り札福川を内野フライに切って取り難を逃れる。8回に赤星のタイムリーで1点を追加し、あとは安藤が9回も投げ切ってプロ入り初セーブ。好調の片岡が脇腹痛で欠場しても、アリアスが復調のタイムリーを打つなど、今年の層の厚さはたいしたものだ。
◎スワローズ8回戦……2−5
下柳は初回にラミレスの二塁打で1点を失うが、その裏、プロ入り初先発の花田から不調だった濱中がレフト前に同点タイムリーですぐに追いつく。4回表、下柳は真中の犠牲フライでまた1点リードされたが5回裏、三塁打の藤本を今岡が犠牲フライで返してまた同点に。金本の完璧な当たりが浜風に押し返されてホームランを損したという一打、これが花田に運を運んだか。6回からはタイガースは継投策。柴田はベッツを打ち取ったが、続く伊代野が打たれた。ラミレスを三振にとったのでほっとしたのか、鈴木、真中、城石に連打を浴び、二死から3失点。星野監督はここでは動かず伊代野を続投させた。新人は打たれて覚えろ、そういう姿勢なのか。結局、五十嵐亮、河端、高津とつないだスワローズのリレーに打線は沈黙。連勝は4でストップした。なんとなく捨てゲーム臭い試合。勝ち過ぎによる反動をなくそうとでもしているかのような感じもする。
◎スワローズ9回戦……4−0
逆転の虎は、この日は先制。初回、石川からいきなり今岡がヒットで出塁すると、赤星がレフト前に運んでつなぐ。濱中が歩いて満塁。この日先発出場の八木が三遊間を抜く2点タイムリー。3回裏にはアリアスがきれいな流し打ちの二塁打で1点を追加。さらに6回、矢野が弾丸ライナーのソロホームランをレフトスタンドに叩き込み、4点目。こうなるとムーアは気持ちも楽に。スライダーが冴えて今季初の完封勝利はハーラーダービートップの5勝目である。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 毎試合、速球の切れもよくすばらしいリリーフぶり。今季初勝利にプロ入り初セーブ。先発復帰目指して一直線だ。
野手……片岡篤史 ジャイアンツ戦の連日の打棒爆発は見事。安定した打撃で確実にランナーを返してくれる。後半3試合に欠場したけれど、それでもG戦3タテの立て役者である。
今季唯一負け越しているドラゴンズが、5位に低迷。2位から5位までは毎日順位が変わる団子状態である。そのドラゴンズ、そしてダントツ最下位のベイスターズと6連戦が待っている。この調子なら、次節も勝ち星を積み上げられそうだ。今年のタイガースには去年の今ごろのような焦りがない。ここで一気に団子集団を突き放しておけば、優勝が視界に入ってくる。
(2003年5月5日記)