倉敷、そして甲子園のドラゴンズ戦は3連勝。今季の対戦成績を五分に戻した。神宮でのスワローズ戦は残念ながら1勝2敗と負け越し。とはいえ今節は4勝2敗とまた前節から「貯金」を2つ増やし、2位のジャイアンツとの差は8.0と前節より1ゲームリード。一時は10ゲーム差をつけた。苦手にしている両チームとの連戦でもトータルで勝ち越した意味は大きい。不安材料はないわけではないが、がたがたといく前にここらで歯止めをかけてほしいところだ。伊良部が5月の月間MVPに選出された。この調子で6月も連続受賞といってほしいところだ。
◎ドラゴンズ10回戦……10−5
アリアスがウィルス性の腸炎で欠場。4番一塁で登場したのは八木裕。岡山出身のベテランがご当地倉敷で大活躍。苦手の野口から、初回、赤星がセンター前ヒットで出塁し、すかさず盗塁。八木はレフト前に運んでまず1点先制。2回には矢野がセンターオーバーの三塁打を放ち、沖原の内野ゴロの間に生還して2点目。3回には四球の今岡を赤星が送り、金本のショートゴロは井端が今岡にタッチをしにいくもからくもかわしセーフ、井端は一塁に送ったが金本もセーフでフィルダースチョイスとなり1死満塁のチャンス。ここで八木が今度はライト前に見事な流し打ちでランナーを2人返し、4点差に。5回にはセンターオーバーの三塁打を放った金本をまたまた八木がレフト前のタイムリーで返して5点目。野口を5回でKOした。代わった久本から6回に赤星がタイムリーで6点目。今岡敬遠で打席に入った赤星の意地だ。一方、井川は毎回のようにランナーを出しながらも要所を締めて6回までは無失点でもちこたえたけれど、7回につかまった。1死満塁からクルーズにライト前タイムリー、渡邊には押し出しの四球と2点を取られる。ここで安藤と交代。安藤は谷繁の内野安打でさらに1点を失ったが、関川、森野と代打攻勢できたドラゴンズ山田監督に対し、いずれもフライに打ち取って切り抜けた。8回には1死一三塁からアレックスの内野ゴロでさらに1点を失って2点差に迫られる。ここで打線が踏ん張った。岡本から1死満塁とチャンスを作る。またま今岡敬遠で勝負相手にされた赤星が今度もやってくれた。交代した左腕の山北からセンター前に2点タイムリー。金本内野安打で再び満塁とし、八木がこの日5打点目となるとどめのレフト前タイムリーで2点をたたき出し10点目。9回登板した谷中は渡邊にホームランを打たれたが、なんとか逃げ切った。井川はムーアと並ぶハーラートップの7勝目。
◎ドラゴンズ11回戦……5−2
紀藤から2回に打線が爆発。八木、桧山が連打。矢野のセンター前ヒットで八木が一気にホームをついて先取点。片岡がレフト前に落として桧山もホームイン。沖原が送り、今岡が内角のボール球をうまくセンター前に運んで2者生還、一気に4点を奪った。藪は3回まで無失点もぴりっとしない内容。4回にアレックスに2ランを打たれたところで目が覚めた。続くクルーズ、谷繁、渡邊を3連続三振に切って取る。3回から後は紀藤ののらりくらりの投球に抑えられていたが、6回に片岡がライトスタンドに運ぶだめ押しソロホームラン! 8回途中から安藤、9回からウィリアムスを投入し逃げ切りをはかる。ウィリアムスは2安打を許し苦しい投球だったが、代打高橋光をセカンドゴロ併殺に打ち取って無事切り抜けた。6回表の赤星のダイビングキャッチなど、守備も気合いのはいった試合だった。
◎ドラゴンズ12回戦……2−1
伊良部がもう少しで完封というほぼ完璧な投球。奪三振は11。140kmのフォークなんてそう簡単には打てません。被安打は9と多かったけれど、どんなにランナーが出ても点を取られそうな気がしない。打線は平井から2回に二塁打の矢野を久慈がレフト線の大きな三塁打で返し、まず1点。6回にはヒットの桧山と四球の片岡の2人のランナーを矢野が送り、代打八木が敬遠で打席には久慈。ここで久慈はレフトへ浅い飛球を打つが、三塁走者の桧山は思い切ってホームをつき、2点目。最終回、谷繁のホームランで完封は逃した伊良部だったが、打たれて苦笑いと余裕の投球内容。お立ち台では伊良部と久慈が大小コンビでユーモラスな味を出した。これで甲子園では10連勝。チーム新記録を達成した。
◎スワローズ12回戦……7−4
石川を初回から攻め立てる。赤星が二塁打、金本が四球。2人の走者がダブルスチール。4番の八木が犠牲フライでまず1点。しか、ムーアは今回もぴりっとしない。ラミレスのタイムリーですぐに同点にされた。その後は石川もムーアもランナーを出しながらなんとかしのぐ。均衡を破ったのは4回の矢野。死球の桧山を塁におき、レフトスタンドへ2ランホームラン。5回にはムーア、今岡が連続ヒット。赤星の送りバントはなんと俊足で内野安打になる。金本が犠牲フライを打ってさらに1点追加。これでムーアは波に乗るかと思われたが、2死一塁からラミレスに2ランを打たれて1点差に迫られた。その後も連打を浴びたがなんとか切り抜ける。しか、つかまるのは時間の問題と見た星野監督は6回からポートを投入する。これが裏目に出た。浜名に右中間に三塁打を打たれ、飯田のタイムリーであっという間に同点に追いつかれてしまう。飯田には盗塁を許し、宮本にはヒットを打たれる。たまらず谷中にスイッチ。谷中はなんとか抑え、7回には吉野につないでなんとか流れを断ち切った。そして8回、桧山が鎌田からライトスタンドへきれいにすくいあげ、決勝ホームラン。さらに矢野がヒットで続き、今岡のタイムリーで2点差に。9回には昨年までのチームメイト成本から桧山が2連続打席のホームランを、今度はライナー性の完璧な当たりでライトスタンドへ運んだ。8回から登板の安藤が9回も投げ切り、今季4勝目。2位との差はこの時点で10ゲームになった。
◎スワローズ13回戦……0−2
下柳と佐藤秀の投手戦。佐藤秀の低めをていねいにつく投球に打線がつながらない。下柳は毎回のように三振を奪う力投。しかし、6回、ベッツにヒットを打たれてラミレスを迎え、球は真ん中寄りに甘く入り、レフトスタンドに運ばれる。五十嵐亮、高津の継投に打線も湿る。高津からは片岡、八木の連打でチャンスを作ったが、矢野が三振、濱中がショートゴロに打ち取られ、追いつくことができなかった。久々に先発出場した藤本は気負いすぎてノーヒット。
◎スワローズ14回戦……3−4
新人久保田が先週のジャイアンツ戦に次ぐ力投。初回、ベッツに先制タイムリー、4回にも二塁打のラミレスが野選などで三塁に進み佐藤真の内野ゴロの間に生還して2点目を失った。それでも5回表、ベバリンから矢野が二塁打、片岡が四球、久保田が送ってチャンスを広げ、今岡がレフト前に2点タイムリー。試合は振り出しに。7回、久保田は飯田の犠牲フライでまた点を失い、嫌なムードに。若松監督は逃げ切り体勢で8回、五十嵐亮を投入。ここで金本がライトスタンドへ同点ホームラン。久保田は9回まで投げ切ってマウンドを降りた。延長10回から安藤が登板。今節3試合目の登板となる安藤には疲れの色が。10回、宮本に二塁打を打たれ、ラミレスを敬遠、鈴木と勝負したが歩かせてしまう。フルタにもう少しでサヨナラ押し出しの死球になりそうなきわどい球を投げたりしながらもここは三振でしのぐ。11回表、河端から先頭の八木がヒットを打つが、代走の秀太と桧山の間のエンドランは失敗、桧山はワンバウンドの投球を空振りし秀太は盗塁死。矢野のヒットで希望をつないだが、片岡三振でチャンスはついえた。11回裏、先頭の佐藤真にヒットを許した安藤は、城石のバントでランナーを進められ、代打小野を迎える。小野の当たりはふらりとセンター前に落ち、サヨナラ負け。神宮でのスワローズはしぶとい。流れをつかみそこなっての連敗である。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……伊良部秀輝 他に誰がいる?
野手……矢野輝弘 井川にしても、藪にしても、下柳にしても、むろん伊良部も矢野のリードでどれだけ救われているか。矢野がホームランを打った試合は負けないというジンクスも楽しい。
次節はドラゴンズと福井、岐阜で2連戦の後、甲子園に帰って2位のジャイアンツを迎え撃つ。怪我をした選手が復帰してきてタイガースに食らいついてくるジャイアンツをここで突き放しておきたいところ。ドラゴンズもリナレスの復帰で調子を取り戻しつつある。開幕から独走してきて疲れも見えるナインだけに、ここが踏ん張りどころか。アリアスの欠場が少しずつ響いてきているのかもしれない。先発起用された関本がそれに応えられなかったりするだけに、濱中の先発復帰も待たれるところだ。
(2003年6月9日記)