愛すれどTigers


新記録!YB戦13連勝、そしてGに引導

 甲子園のベイスターズ戦で2連勝、東京ドームのジャイアンツ戦も2連勝。今節4連勝で勝ち越し25、2位ジャイアンツに11ゲーム差をつけた。さらに、6月の勝ち越しも決めた。タイガースの強さはとどまるところを知らない。東京発の週刊誌ではなんとか弱らせようと星野監督の悪口を「担当記者匿名座談会」と称して掲載するが、番記者なのに初歩的なことを間違っていたりするおそまつぶり。あのねえ、私たちは18年も辛抱してきたんやから、今年くらい喜ばさせてくれよ。負け続けていてもひたすら応援しつづけるというファン心理はジャイアンツファンには理解できないのかもしれないが。たまにはみじめさにひたりながら明日に一点の光明を見い出そうという人生の妙味を味わいなさい、といいたい。

◎ベイスターズ13回戦……5−4
 流れからいうと負け試合。井川が初回、いきなり鈴木尚に先制の二塁打を打たれる。2回裏には苦手の先発三浦からアリアスが、4回裏には金本がそれぞれソロホームランを打って勝ち越すが、5回表、その打線の援護を支え切れない。投手の三浦にヒットを打たれ、金城、種田とヒットが続いて1死満塁に。ここで鈴木尚がレフト前にタイムリー、同点に追いつかれる。さらにT・ウッズのセンターへの犠牲フライで勝ち越された。しかし、赤星は三塁に送球、二塁から走ってきた種田を刺して追加点はくいとめた。8回表には二番手の金澤が種田にセンター前に運ばれ、続く鈴木尚にまたもやヒットを打たれる。しかしここは赤星が三塁を狙った種田を刺し、なんとか流れをつかもうとする。T・ウッズにセンター前に運ばれたところで吉野にスイッチ。左打者の佐伯にレフト前に運ばれてだめ押しの1点を失う。小川はレフトフライに打ち取ったものの、村田にもレフト前に運ばれ、二塁走者の田中一は一気にホームへ。ここで金本がホームにストライク返球で田中一を刺し、最低の1失点で切り抜けた。9回は今季発登板の川尻がマウンドに。2死満塁のピンチで打席には田中一が。レフトを襲う鋭い打球を金本が背走、グラブの先におさめ、なんとか食い止める。この守備の執念が打線にも移った。完投目前の三浦から先頭の桧山が四球を選ぶ。片岡がライト線に運んでチャンスを広げた。ここで投手はデニーに交代。アリアス死球で満塁。打席には矢野。ワンスリーからストライクを取りにくる球を見逃さず左中間へ。一塁ランナーのアリアスまでがホームへ全力失踪し、なんと逆転サヨナラ勝ち。ベイスターズのベンチでは勝投手目前だった三浦が虚ろな目で座ったまま動けず、だめ押しのはずの打点をたたき出した佐伯は突っ伏して肩を震わせていた。……5年前、ベイスターズが優勝した年は、タイガースがカモにされ、このような負けを繰り返していた。禍福はあざなえる縄のごとしというが……。
◎ベイスターズ14回戦……8−2
 初回、今季初先発の富岡の初球を今岡がたたいて右中間へ二塁打。赤星も初球打ち、レフト前に運んで今岡を迎え入れて先制。なんとたった2球で1点だ。赤星が今季29個目の盗塁を決めるとすかさず桧山がレフト前へタイムリー。ここのところ負けが続いていたムーアを援護する頼もしい先制点だ。ムーアは3回に種田のタイムリーで1点差に詰め寄られたが、打線がこれを助ける。5回裏、立ち直ったかに見えた富岡を片岡の死球、アリアスのライト前ヒットで攻め立て、矢野の左中間への二塁打で2点追加。7回表、ムーアが先頭の代打万永にヒットを打たれると、星野監督は躊躇せず久保田をマウンドに送る。久保田はここはきっちり抑えてゲームの流れを相手にやらない。7回裏からマウンドに上がったホワイトサイドから片岡、アリアスが連打してチャンスを作った。矢野はバント失敗で結局センターフライ。しかし、代走の秀太が三塁に盗塁を決めると藤本がスクイズ。無警戒のホワイトサイドは三塁ランナーをあきらめて一塁に送球するが、これが悪送球となり、一塁走者のアリアスも一気にホームイン、2点を追加した。今岡、赤星も連打でさらに2点を加え、7点差とリードを広げる。久保田はT・ウッズにソロホームランを打たれたが、体勢に影響はなく、休養たっぷりで登板したウィリアムスは9回をきっちり抑えて対ベイスターズ戦13連勝が確定した。これは特定チームへの連勝としてはチーム最多記録。ムーアも久々の8勝目でハーラートップの井川に並んだ。
◎ジャイアンツ15回戦……16−5
 先発高橋尚から初回に今岡がいきなりホームラン。4回にはアリアスがライトへ軽く打った打球がスタンドインして2ラン。伊良部はその裏清原の二塁打で1点を失うが、後続を断ち切る。5回表、アリアスが2打席連続のレフトへのソロホームランでまた3点差に。楽勝かと思われた試合だが、伊良部は6回に清原のライト前タイムリーで2点差とされ、7回には伏兵鈴木のライトへの2ランを浴びて同点に追いつかれる。ここまで、3回表には今岡が三塁走者のときに走塁ミスでアウトになったり、6回裏にはレフト金本へのフライをショートの藤本が深追いしすぎて交錯し落球するなど凡ミスも目立ち、ジャイアンツのペースかと思われた。ところが、8回表、三番手の久保に打線が襲いかかった。先頭の桧山はセンターバックスクリーンに運ぶ勝ち越しホームラン、アリアス三振のあと、矢野がよく選んで四球で歩くと片岡の二塁打で2点目。藤本はサードへのファウルフライに倒れたが、代打の八木がセンターオーバーの二塁打で3点目。ここで原監督は久保を諦め条辺へ。あと1アウトを辛抱し切れない采配にも助けられた。今岡のレフト線への当たりは二塁打となり4点目。赤星が歩き、金本はライト前タイムリーで5点目。条辺は1死も取れず降板、マウンドにはベイリー。桧山のライト前ヒットで6点目。アリアスもレフト前に運んで7点目。矢野のライトフライはなんとスタンドに入り3ランとなって10点目。片岡は投手強襲のヒット、藤本のショートゴロは二岡の緩慢な動きに助けられてセンター前ヒット。八木の代走で出ていた浅井に打席がまわり、三振。15人40分の怒涛の攻撃でタイガースがゲームを決めた。8回に登板したくぼたは1点取られたが、9回表には岡島から桧山が2ランを放ち、この試合16点目を入れる。吉野が締めてこの大味な試合は終った。しかし、ジャイアンツの選手の動きの悪さはどうだろう。リードが広がると、とたんにやる気をなくして必死にやって怪我をしたら損をするというような緩慢なものになる。こんなチームに逆転優勝などできるとは思われない。どんなに負けていてもベイスターズの選手の方がひたむきな姿勢を見せている。若手で次代を担うはずの二岡までがだらだらしているのだ。こんなチームに勝たせてはならない。
◎ジャイアンツ16回戦……5−4
 前回も好投された木佐貫から今岡が初回にレフト前ヒット。これを清水がお手玉し、今岡は二塁へ。赤星の一塁へのバントは動きの悪い清原が一塁へ悪送球し、今岡は労せずしてホームイン、赤星も三塁に進む。そこへ金本のレフトポール際への2ランが生まれ、いきなり3点。さらに3回には桧山、アリアスの連打でチャンスを作り、矢野がだめ押しのセンター前ヒットで2点追加した。下柳は内角をずばりと突いたかと思うと外角のボール球を振らせて面白いようにアウトを取っていく。6回裏、清水に2ランを打たれ、7回裏にも江藤、元木、阿部の連打で満塁のピンチを迎えた。ここでマウンドには久保田が上がる。代打斉藤はセカンドゴロに打ち取り、まず1死。この間に江藤がホームインして差は2点に。続く代打後藤は内角のフォークを空振り三振。矢野がこれを後逸し元木が生還して差は1点に。ここで久保田は踏ん張った。清水を内野ゴロに打ち取って1点差で食い止めた。8回まで久保田でしのぎ、9回裏にはウィリアムスが登板。元木、阿部、斉藤をきっちりと打ち取って逃げ切った。しかし、ウィリアムスに対し左の斉藤をそのまま打席に送り、これが外角のボール球をふりまわして追い込まれている。ネクストバッターズサークルで用意をしていたベテラン川相の心境やいかに。負けて悔しがるのは彼だけか。あとの選手はただ呆然とするのみ。自分たちが負けるのが信じられないという表情だ。これでは逆転優勝などできそうにもない。この連勝でジャイアンツの優勝はなくなった。そう断言してもよい。選手の表情と動きがそれを物語っている。慢心するものに、勝利の女神は微笑まないのだ。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 安藤が腰痛で登板できないピンチに、苦しい場面で起用され、大胆な投球でこれをしのいだ。よくやった、の一言に尽きる。
野手……矢野輝弘 ベイスターズ戦でのサヨナラヒットだけではない。ここで追加点がほしいというところで確実にランナーを返す。だから、勝てる。

 次節は甲子園と大阪ドームでカープ戦、横浜でベイスターズ戦と6試合。相性がいいからといって、気をゆるめることはないだろう。
 22日には新外国人投手のリガンが来日した。ここまで勝っていても、まだ戦力補強をおこたらない。リガンの実力は未知数だが、逆にタイガースの勢いをとめるようなことにならなければ……という風に考えてしまうところが長年しみついた悪癖なんだろうなあ。
 濱中は右肩の手術に踏み切った。今シーズン中の復帰は難しいといわれるが、なんとか日本シリーズにベンチ入りしてほしいものだ。将来ある4番に優勝の喜びを経験させておきたいのだ。

(2003年6月23日記)


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