甲子園のカープ戦は、藪の先発で始まったが早々に中止。沖原と中村豊が雨中のダイビングでファンをわかせた。翌日からは大阪ドームで2連戦。皮肉なことにドームの時は晴れていた。ここを1勝1敗で切り抜け、横浜球場のベイスターズ戦で3連勝。今節は4勝1敗。今季通算50勝に達した。ジャイアンツは自力優勝がなくなる。もはや優勝は確実といっていいだろう。それにしても、本当にこのチームは私の知っているタイガースだろうか。誰かだましているのではないだろうな。もし夢ならさめないでおくれ。
◎カープ10回戦……7−0
井川が完封勝利。なんと大阪ドームの空気が薄く酸欠に近い状態になりながらベンチに戻るとボンベで酸素補給をしていたそうだ。カープの先発黒田をとらえたのは3回裏。藤本のヒット、井川の四球でチャンスを作り、今岡が高いバウンドでサードの頭を越すタイムリーを放ち、先制する。赤星も叩き付け、投手の頭を越す。二塁手の木村拓がこれを弾き、井川が一気にホームインして2点目。金本併殺でもランナーは三塁に残り、桧山が左中間に弾き返して3点目。続く4回裏には四球の片岡、二塁打の矢野を塁に置き、藤本が見事なセンター返しで2人を返し、2点追加。セカンドに進んだ藤本は果敢に三盗。これを今岡が犠牲フライで返してさらに1点追加。6失点の黒田はこの回で降板した。菊地原には抑えられたが8回には横山から金本がタイムリー二塁打で7点目を奪う。井川は前半はもたついていたが、後半は本来の速球が走り出し、最後まで投げきった。これが今季初完封。
◎カープ11回戦……4−7
先発は初戦に先発したが雨で流してしまった藪。3回に木村拓の二塁打と浅井のショートへの内野安打で2点を先制される。しかし、逆転の虎はしぶとい。3回裏、苦手のブロックから今岡がヒットで出ると赤星が送り、金本のセンター前ヒットで1点を返した。続く4回裏、四球の片岡を矢野がライトへ大きな当たりの三塁打で返し、同点に追いつく。ここで一気にひっくり返せなかったあたりに、まだカープへの流れが残っていると見ていて感じる。それでも藪は粘りの投球で6回まで抑え、試合を作っていく。6回裏、桧山とアリアスの連続ヒットでチャンスを作ると、なんと片岡はバント。藤本は右中間に三塁打で一気に2点を奪いリードする。ブロックは藤本に対する判定が不満で暴言をはき、退場。かわいそうなのはライトのハーストで、打球を追って突っ込んでいき打撲かなんかで倒れているのに、ブロックの抗議のせいでカープベンチはそれに気づかずしばらくほったらかしにされてしまった。変わった天野を攻め切れず、追加点はならず。7回から久保田が登板。8回につかまる。緒方にレフト戦に二塁打を打たれると、続く木村拓にも二塁打で1点差に迫られる。浅井の当たりはショートゴロだが、藤本が懸命に一塁に送球するも間に合わず内野安打。新井にヒットを打たれて同点に追いつかれた。シーツにバントを決められて金澤にマウンドを譲った。その金澤は野村、廣瀬の連打と森笠の犠牲フライで3点を失い、一気に突き放される。カープは小山田、永川とつなぎ逃げ切られた。久保田を引っ張り過ぎたのが敗因。安藤が復帰するまでは、中継ぎが少し苦しいか。連勝は6でストップした。
◎ベイスターズ15回戦……11−5
斎藤から初回、金本がライトスタンドへ先制の2ランをぶち込む。伊良部は2回裏、相川にソロホームランを打たれ、1点差に。4回表は桧山のきれいな流し打ちのホームランで2点差に突き放す。その裏、伊良部は連打を食らって相川のライト戦へのヒットで1点を失うが、古木はホームで刺して1点差にとどまった。5回には今岡がレフトスタンドに飛び込むソロホームランでまた突き放す。伊良部は5回に失策がらみでピンチを作り、中根のヒットなどで同点に追いつかれた。6回表、二塁打の桧山を矢野がレフト前に落ちるヒットで返してなんとか勝ち越す。6回からは久保田、安藤を投入し流れを戻していく。そし7回、木塚を攻め立て古木のエラーもあって無死二三塁。この間、金城が不整脈で突然守備位置で倒れるという事故もあった。金本の投手ゴロは河原がホームに投げるも間に合わず、野選となって今岡が生還しリードを広げた。ベイスターズが田崎をつぎこむと、アリアスがレフトスタンド最上段にぶち込む3ラン! 矢野も続いてセンターバックスクリーンへだめ押しのソロホームラン。7回裏、久々の登板の安藤は緊張からか1点を失うが、8回には新外国人のリガンが登板し、速球をきかせて三者凡退のデビューを飾る。9回にも1点を取って勝利を確信づける。最後はウィリアムスがヒットを打たれたあと石井、佐伯、中根と3連続三振で締めた。
◎ベイスターズ16回戦……5−3
ムーアはぴりっとせず、初回T・ウッズのタイムリーで先制を許した。一方打線は元タイガースキラーの川村に対し3回まで1安打に抑えられたが、4回、アリアスの場外ソロホームランで追いつくと、6回には片岡のタイムリー、そして矢野の2ランで勝ち越した。それでもムーアは6回裏につかまった。多村、古木の連続ヒットで降板し、久保田がマウンドに。小川の二塁ゴロ、佐伯のレフト前ヒットで2点を返され1点差に迫られる。7回表、変わったデニーから平下が今季第1号の代打ホームランを放ち、試合を決めた。あとはリガン、ウィリアムスがきっちり抑えてベイスターズ戦15連勝で、早々とこのカードの勝ち越しを決めた。
◎ベイスターズ17回戦……6−2
下柳が2回裏に種田のホームランで戦意を許し、打線もドミンゴの前に3回を完全に抑えられる。しかし、4回表、赤星と金本のヒットなどでチャンスを作ると、アリアスが3試合連続となる逆転3ランをレフトスタンドに運び、ペースはタイガースに。下柳は4回裏にはT・ウッズのホームランで1点差とされるが、6回までリードを保ったまま抑える。ドミンゴは7回につかまった。2死から藤本のセーフティバントをドミンゴが取れず出塁させると、代打平下は死球。ここで今岡がセンターオーバーの二塁打で中押しの2点を返した。8回表には河原から桧山もホームラン。7回からは、吉野、安藤、ウィリアムスのリレーでベイスターズ打線を抑え込んだ。この日の勝利で、タイガースは50勝に到達。ベイスターズの選手は気持ちが空回りしてボール球でも打ちに行こうとしている。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 ずっと不安定だった井川の今季発完封は、後半戦から調子が上向いてくるというコンディション調整の成功か。久々にインタビューを受ける表情も誇らしげだった。
野手……ジョージ・アリアス 横浜球場での3試合連続ホームランにはしびれた。ここにきて調子は全開。
次節は甲子園でドラゴンズ、スワローズとの5連戦。歩の悪い両チームからいかにして勝ち星を拾うか、がカギ。リガンも初登板し、その実力を見せてくれた。こと今年については何をやっても当たるという当たり年である。
(2003年6月30日記)