愛すれどTigers


ルーキー対決、久保田熱投

 甲子園でのスワローズ戦はみごとに3連勝。特にルーキー同士の対決、久保田と高井の投げあいにはしびれた。3戦目からマジック対象がドラゴンズに入れ代わり、マジックは38に減る。1日おいてナゴヤドームで新たなマジック対象のドラゴンズ戦。こちらは2勝1敗と勝ち越し、マジックは34まで減った。藪やムーアがローテーションから外れるかもしれないというくらい、投手陣の競争も激しい。心配なのはドラゴンズ第3戦の最中にベンチ裏でもどしてしまったという星野監督の体調だ。

◎スワローズ17回戦……5−3
 先発の石川をとらえたのは3回裏。片岡と矢野の連打でチャンスを作り、藤本がライト前に運んでまず1点先制。井川が送ったあと、今岡がレフト前に2点タイムリー。先制点は一挙3点。1点で終らせないところが今年の強さだろう。井川は4回表に鈴木のタイムリーで2点差にされるが、その裏、すかさずアリアスが22号ソロホームランで突き放し、ヒットの片岡を三塁まで進めると藤本が犠牲フライを打って5点目。井川は7回表は鈴木に、8回表は岩村にそれぞれソロホームランを浴びるが、完投で12勝目。3勝目からこの試合まで10連勝したが、これは村山実以来の記録となる。マジックは2つ減って41に。
◎スワローズ18回戦……4−1
 苦手の佐藤秀を今岡がたたいた。3回裏、レフトスタンドへ運ぶ先制ホームラン。赤星が歩き、片岡のヒットなどで満塁のチャンスを作ると、アリアスが三遊間を破るレフト前ヒットで2点を追加した。5回裏、片岡に四球を出して矢野の二塁打で1点を失った佐藤秀はここで降板。タイガース・キラーの神通力が早くも消えた。伊良部はランナーを出してもあわてずにここぞというところでコーナーをつく投球をする。7回を投げて無失点で交代。安藤、ウィリアムスの必勝リレーで臨む。8回途中から登板したウィリアムスは9回表にラミレスのタイムリーで1点を失ったがなんとか逃げ切った。この試合で伊良部は井川、ムーアに続いて10勝目をあげた。また、7月の月間勝ち越しも決定。マジックは39。
◎スワローズ19回戦……1−0
 こういう試合は球場の、しかも内野席で見たい。先発はルーキー同士、タイガースの久保田は怖いもの知らずでぐいぐいとストレート中心の組み立て。スワローズの高卒ルーキー高井はコーナーにびしびしと決まる制球抜群の速球勝負。久保田は9回まで投げて10奪三振の無失点、高井は8回まで投げて7奪三振の無失点としびれるような投手戦。もうこうなるとどちらが勝ってもおかしくないし、もし負けたとしてもいいものを見せてもらったという気分になる。スワローズは9回から五十嵐亮が登板し、こちらも速球をがんがん投げ込んでくる。タイガースは10回からリガンが投げ、触発されたかのような速球勝負。11回裏、スワローズはこれも速球派の石井を起用、この回の先頭は代打の浅井、よく粘り、センター前ヒットで出塁。赤星のショートゴロの間に二塁に進み、石井のワイルドピッチで三塁へ。とっておきの代打矢野、そしてアリアスは敬遠。勝負の相手は沖原だ。沖原の打ったファースト前の打球は一塁手の前で大きく弾んでライト前に転がっていく。サヨナラ! この試合はいつもは控えの野口、中村豊、沖原が先発に名をつらね、野口は久保田の好投を引き出す好リード、中村豊はライト戦の打球をランニングキャッチ、そして沖原はサヨナラヒットと層の厚さを見せつけた。スワローズが敗れて3位に転落しため、マジック対象はドラゴンズに移り、1つ減っただけの38。しかし、それ以上に意味のある試合だった。
◎ドラゴンズ16回戦……7−1
 下柳は初回に立浪のタイムリーで先制を許したが、この1点だけで6回まで投げ切って試合をきっちり作った。さすがはベテランだ。2回表、かつては苦手にしていた野口からこの日先発4番の八木が二塁打を打つと、アリアスがセンターオーバーの二塁打であっさり同点にする。矢野はライト前に流し打ってアリアスを進め、沖原の内野ゴロで返して逆転した。3回には今岡が16試合連続安打となるヒットで出塁し、赤星もレフト前ヒットで続く。ここで不振の金本は内野フライに終るが、八木が連続打席となるタイムリー二塁打で2者を返し、アリアスがレフト前ヒットでつなぐと桧山が畳み掛けるタイムリー。さらに矢野の犠牲フライでこの回4点目。4回には不振の金本にもタイムリーが出て7点目。あとは安藤、吉野、そして最後はなんと藪が登板、ドラゴンズ打線をきっちりと抑え込んだ。これでマジック34。どんどん減っていって怖いくらいだ。
◎ドラゴンズ17回戦……3−15
 今岡が平井からいきなり初回先頭打者ホームラン。しかし、ムーアは球が高めに浮いてそこを狙われる。2回裏、森のタイムリーで同点を許すと、3回裏には立浪、森野のタイムリーなどでこの回一気に4点を失い、ノックアウトされた。4回表、片岡がセンター方向に大きなホームランを打って1点を返したが、抵抗はそこまで。谷中はよく抑えたが、6回途中から登板した吉野が2死二塁から福留、立浪、リナレス、アレックス、谷繁と5人連続の四球を出し、押し出しのみで3失点。7回から登板の佐久本は谷繁の3ランを含む7安打を集中して浴び6失点。それでも続投。8回には福留のソロホームランを打たれて大量15失点となった。9回から登板した小山から八木の犠牲フライでなんとか1点取り、翌日につなげる得点をあげた。マジックは変わらず34。まあこれくらい大敗したらかえって諦めもつくというもの。
◎ドラゴンズ18回戦……8−1
 ドラゴンズの先発は若手の岡本。初回、緊張したのか持ち前ののびる球が投げられない。今岡を歩かせ赤星にもライト前に弾き返される不振の金本の投手ゴロでひと息ついたところを桧山がフォークをうまくすくいあげてセンターオーバーの2点タイムリー二塁打。片岡も三遊間を破るヒットで桧山を返し、この回いきなり3点。2回裏に井川は好調の森野にタイムリーを許したが、3回以降は散発の2安打に抑え切る危なげない投球。2回途中で降板した岡本のあとを受け、野口、山北とつないでくる。その山北をとらえたのは4回、今岡の右中間スタンドに運ぶホームランでまず1点。赤星、金本とヒットが続き、片岡のセンター返しのヒットで2点をさらに追加した。7回表には小山をせめて今岡、金本のタイムリーでだめ押しの2点。井川は完投ペースだったが、大事をとったか大量得点差でウィリアムスを投入。当たり前のように抑えて、前日のお返しをした。井川は藤村富、村山と並ぶ11連勝。マジックは34に。試合中、星野監督は体調不良を訴えてベンチ裏で嘔吐、マッサージを受け手なんとか試合終了時にはベンチに戻ったが、まだあと1ヶ月以上あるだけに気がかりだ。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 しびれました、高井とのルーキー対決。もういうことなし!
野手……今岡誠 連続試合安打を18とのばし、絶好調は変わらず。今岡がヒットを打つと、ほかの打者も引っぱられていくのだ。

 次節のベイスターズ戦からは長期ロード前の甲子園最後の6連戦。今年まだ1つしか負けてないベイスターズ、そしてマジック対象のドラゴンズとあたる。どこまでマジックを減らしていくのか。おそるべしタイガース!

(2003年7月28日記)


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