長期ロード直前の甲子園6連戦。ベイスターズには連勝を16でストップさせられ1勝2敗。ドラゴンズ戦も初戦嫌な負け方をしてずるずるいきそうな雰囲気だったが、井川が悪い流れを断ち切る完封で3連敗を防いで2勝1敗。今節は3勝3敗の五分で終えた。ベイスターズ戦の敗戦につまらぬ輩が応援グッズをグランドに投げつけベイスターズの多村に当たりそうになるというトラブルもあり、嫌なムードではあったが、また上昇気流に乗り始めた感じである。これで優勝マジックは29となった。
◎ベイスターズ18回戦……3−6
先発の伊良部は今季最悪の出来。初回にT・ウッズに2ランを浴び、2回には金城のタイムリーと多村の3ランで4失点。2回6失点で早々とマウンドを降りた。タイガース打線はホルトの荒れ球に手を焼き5回までほぼ完璧に抑えられた。6回、今岡、桧山がそれぞれタイムリー2塁打を放って3点返しホルトをKOしたが、反撃もそこまで。山田、福盛、竹下、加藤のリレーの前にチャンスは作るがタイムリーが出ず逃げ切られた。タイガースのリリーフ陣は、金澤、藪、谷中、吉野といずれも無失点。特に藪は敗戦処理ながら腐らず好投し、先発復帰を期待させる内容であった。9回裏、最後のバッターとなったフジモトのレフトへのファールフライを多村がダイビングキャッチしたが、つっこんでくるところに応援バットが投げ付けられた。選手に当たれば怪我をしかねない暴挙である。こういう輩は甲子園入場禁止じゃ!
◎ベイスターズ19回戦……3−2
先発久保田は初回にT・ウッズの二塁打で先制されたが、7回途中まで10三振を奪う好投、タイガースに流れを引き寄せた。ベイスターズの先発はやはり荒れ球のドミンゴ。狙いをしぼれず苦労したが、4回、赤星、今岡の連続ヒットで無死二三塁とし、チャンスをつかむ。桧山とアリアスは連続三振に打ち取られたが、片岡のショートへの小飛球は石井琢がダイビングキャッチを試みるも取れず、同点タイムリー内野安打となった。5回表、2死から今岡が四球を選び、赤星がライト前に落としてつなぐと、金本がレフト線へ勝ち越し2点タイムリーを放つ。久保田は7回に内野安打と四球で降板、中継ぎの吉野が小川にタイムリーを打たれて1点差に詰め寄られたが、続く安藤が低めにきっちりと投げる好投で9回まで投げ切って勝ちを決めた。久保田は先発で初勝利。マジックは32に。
◎ベイスターズ20回戦……6−9
初回、ベイスターズの若田部をつかまえた。今岡が先頭打者ホームランを放つと、赤星と金本を塁において桧山がタイムリーで2点目、アリアス併殺の間に金本がホームインし3点目。片岡二塁打の後、矢野が4点目となるタイムリー。初回に打者一巡で楽勝かと思われた。しかし、下柳が2回につかまる。三連打で2点を返され、バントをはさんで二連打でさらに1点を追加され、2回途中で降板した。谷中は2回のピンチは併殺でしのいだが、3回に小川のホームランで同点に追いつかれ、さらに万永にまでホームランを打たれて逆転された。4回には多村に2ランを打たれて傷口を広げ、金澤と交代。ベイスターズは2番手の田崎が好投し、タイガースは反撃の糸口もつかめない。5回、山田に投手が変わり、片岡のレフト前タイムリーで2点を返し、さあ反撃、となる。しかし、金澤が6回表すぐに金城に2ランを打たれてまた3点差に。ベイスターズは小刻みな継投の後、加藤で逃げ切った。タイガースは新人左腕の三東がプロ入り初登板。2回をノーヒットに抑える好投で唯一の光明。谷中は二軍落ちすることになる。マジックナンバーは変わらず。
◎ドラゴンズ19回戦……0−4
ドラゴンズ平井の前に、ランナーは出してもタイムリーが出ない。ムーアは全体に球が高く、コントロールも決まらない。4回表、関川と柳沢のタイムリーで2点を先制される。柳沢はスクイズを失敗して三塁ランナーのアレックスに矢野がタッチをしにいった時、アレックスの肘が矢野の胸に当たり、乱闘騒ぎになったりもした。ムーアはこの回で降板し、そのまま二軍落ち。リリーフの藪はよく抑えたが、リガンが登板した7回、ランナーを二人おいてリナレスをショート頃に打ち取ったと思ったら、藤本が一塁に悪送球してさらに2点を失った。ドラゴンズは山北、岩瀬、大塚とつないで完封リレー。タイガースは今季初登板の石毛が1回をきっちり抑えてベテランの存在感を見せた。マジックはこの日も変わらず。悪い時のタイガースのパターンに陥りつつあり、ずるずるといきそうな、嫌な連敗である。
◎ドラゴンズ20回戦……5−0
井川が2安打完封。速球はコントロールよく決まり、チェンジアップで相手打者を攪乱するという、本来の持ち味が十分に出た。打線は岡本の前に初回満塁のチャンスを作るが片岡が凡退、以後は前日までの悪いムードに陥りかけていた。そこを救ったのが井川。4回裏、矢野を塁に置いて左中間へタイムリー二塁打で先制する。6回にはリリーフの野口から今岡の三塁打で2点を追加し、7回には遠藤からアリアスがバックスクリーンに飛び込む2ランを放ってだめ押し。悪いムードを完全に断ち切ってマジックを31に減らした。
◎ドラゴンズ21回戦……7−1
中4日の登板となった伊良部が、汚名を返上した。6回まで3安打無失点とドラゴンズ打線を寄せつけない。ドラゴンズ先発の平松に打線は初回から襲いかかる。八木、アリアス、矢野の連続タイムリーで初回に3点。3回にはバルデスを攻めて1死満塁で伊良部は投手ゴロ。お手玉をしたバルデスが焦って本塁に悪送球し、2点をもらう。4回には桧山がバルデスからライトスタンドに弧を描いて飛び込む2ランを放って試合を決めた。伊良部は完封を意識したか、7回に満塁から森野にヒットを打たれて1点を失ったが、後続を断って踏みとどまった。リリーフの安藤は調子が悪く2死満塁のピンチを作ったが、井上を三振にとって難を逃れた。最後はウィリアムスが締めて2連勝。マジックの対象はカープに移っていたが、カープは負けていたのでマジックは29に。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 悪い流れを断ち切る好投は、これぞエース。自らの連勝を12とのばし、村山実さんの記録を抜いた。次に目指すは御園生さんの作った13連勝のチーム記録だ。
野手……沖原佳典 サード、あるいはショートの守備がため、そして左投手の時は先発と便利屋のような使われ方。それでも出場したらきっちり結果を出している。こういう存在が大きいのだ。
がたがたといきそうでいかないのが今年のタイガース。いよいよ甲子園を高校生に明け渡して、長期ロードに出る。皮切りは神宮のスワローズ戦。ムーアの代わりにあがってきた夏男の川尻に先発ローテーションに入ってもらえれば、長いロードも乗り切れるだろう。
(2003年8月4日記)