大阪ドームに帰ったドラゴンズ戦は3連敗。これは、星野監督になって初めて同一カード3連敗である。横浜球場でのベイスターズ戦の初戦にも負けて前節のジャイアンツ戦から数えると今季初の5連敗。連敗は5でストップさせたものの、1勝2敗で今季は1勝5敗と大きく負け越した。これで、長期ロードの成績は4勝11敗。それでもマジックの対象となったチームが負け続け、マジックナンバーは17となった。怪我人が続出し、まさに「死のロード」となったが、実は9月前半に優勝できるペースだったりするのである。
◎ドラゴンズ22回戦……1−4
先制したのはタイガース。苦手の平井から、4番に起用された広澤が今季第1号となるホームランをバックスクリーン左に叩き込む。久保田は序盤3回は5三振を奪う好投を見せたが、4回以降息切れ。4回には立浪の犠牲フライで簡単に同点にされ、5回にはサードアリアスの悪送球で先頭打者の出塁を許すと、谷繁のヒットでピンチを広げ、二塁走者アレックスを牽制した野口の送球が走者に当たりボールはそれて外野へ。荒木のショートゴロの間に三塁走者の生還を許した。6回にはリナレスのタイムリー二塁打などでさらに2点を失う。結局7回を投げて4失点と不本意な内容で久保田は降板した。打線は平井に翻弄され、結局3回以降は得点できず。5回、1死三塁で今岡が打ったヒット性のライトライナーを、その当たりの強さから一度飛び出しかけて帰塁し、タッチアップの遅れた三塁走者の藤本がホームであっさりとアウトになるという走塁ミスがあとあとまで響いた。この試合で久々に矢野が出場。いきなりヒットを打って場内をわかせた。
◎ドラゴンズ23回戦……2−6
期待のルーキー杉山がプロ入り初登板初先発の栄誉。しか、初回は緊張で腕が縮んでいた。先頭の井端を歩かせると、続く関川の投手強襲ヒットでランナーをためる。福留の外野フライで三塁までランナーをやると、立浪の一塁ゴロをベースカバーのもたつきでダブルプレーに取れず先制点を許した。2回は落ち着いて三者凡退にしとめたが、3回、山本昌にヒットを打たれたのをきっかけにランナーをため、福留の二塁打で2点を追加された。タイガース打線はベテラン山本昌の前に三振、そしてフライの山。4回、2試合連続となるホームランを広澤が放ったけれど、直後の5回表、杉山が井端にタイムリー二塁打を浴びて簡単に返され、とうとう降板した。やはりルーキーの三東がリリーフに立ったがコントロールに何があり、四球のあと福留にタイムリーを打たれてさらに1点を失う。三東は続く6回にも荒木のタイムリーで1点を失い降板した。6回裏、赤星の二塁打で久々にタイムリーによる1点は奪ったものの、反撃もそこまで。9回には無死から金本、広澤の連続ヒットでチャンスを作ったが、大塚が登板するとあっさりと3人で片付けられた。タイガースはこれで長期ロードの負け越しが決定した。マジック対象のカープが敗れたため、20とマジックが減った。
◎ドラゴンズ24回戦……3−7
伊良部がいきなり初回に福留のホームランで先制される。負けじと金本もかつての同僚紀藤からレフトスタンドへ同点ホームラン。しかし、伊良部は2回表、アレックスを歩かせた上に盗塁され荒木のタイムリーで再びリードを許す。3回表には四球を連発し満塁とされてリナレスに2点タイムリーを打たれた。3回裏、打席に入った伊良部はボールの判定にいらつきタイガースOBの真鍋審判と口論になるという荒れっぷり。4回裏には金本がライトスタンドに大きなホームランを放って2点差としたが、5回表、伊良部はすぐにアレックスのタイムリーで1点を失い、この回限りで降板した。タイガース打線は紀藤のていねいな投球に翻弄された。二番手の山北から7回裏、アリアスのヒット、三番手の落合から沖原の四球でチャンスを作る。藤本が一塁手の横を抜けるライト前タイムリーで反撃を開始。代打上坂が三振に打ち取られると、マウンドにはバルデスが。今岡が四球を選び、満塁と攻め立てる。ドラゴンズは岩瀬にスイッチしたが、打席には代打の神様、八木。しかし、八木は外角を強引にひっかけてサードゴロに終り、反撃は幻と消えた。8回表には渡邊のバント失敗のフライを追いかけて矢野とアリアスが交錯、矢野はこの試合は出場を続けたが、翌日から再び欠場する怪我を左手におった。9回表にはここまでパーフェクトリリーフを続けていた石毛が、悪い癖の四球病で自滅し2失点。マジックも20と変わらず。
◎ベイスターズ23回戦……4−10
不思議とベイスターズから勝利のない井川が、この日も乱調。初回、アリアスのエラーがらみでランナーをためるとT・ウッズの二塁打であっさり2点を失う。続く鈴木尚にもヒットを打たれ、内川のライト前ヒットでさらに1点を追加された。とどめは村田の3ラン……。まさかの初回6失点でゲームは決まってしまった。2回裏、三浦からアリアスのソロホームランで1点は返したが、その裏、T・ウッズにタイムリーを打たれ、この回限りで井川は降板した。3回表には三塁だの野口を今岡がタイムリーで返すが、その裏、二番手の金澤が相川にライトスタンドに運ばれてまた1点を失う。金澤は4回にも石井にホームランを打たれ、傷口を広げた。吉野は無失点で切り抜けたが、四番手の三東が8回に2四球のあとバントでランナーを進められ、金城の犠牲フライで10点目となる得点を与える。打線は4回から7回まで三浦からチャンスを作ることができず、中継ぎのデニーにも8回を抑えられた。9回、加藤から金本の二塁打と、八木のヒットで無死一三塁のチャンス。浅井の内野ゴロの間に金本ホームインで1点を返す。サード村田の悪送球で浅井もセーフ。アリアスはライト前にヒットを打つが、八木はホームで刺されてしまう。秀太の内野ゴロて浅井がホームインしこの回2点目も、代打久慈は三振でゲームセット。点の取り方も取られ方もすきっとしない試合で5連敗。しかし、マジック対象のスワローズとドラゴンズがそろって負けたためにマジックは減って19。
◎ベイスターズ24回戦……8−0
久々にすっとする勝ち方。ルーキーの堤内から初回いきなり金本が先制2ラン。2回には藤本と今岡のヒットなどでチャンスを作り、赤星が犠牲フライを打って1点追加。金本を歩かせた堤内は降板。二番手の田崎から広澤が二塁打で2人返してこの回3点。先発の下柳は調子よく飛ばし、5回を5安打無失点。完封ペースかと思われたが、6回に2死を取ったところで降板を命じられた。まだ投げたそうにしていたが、せめて6回を投げ切ったところで交代でもよかったのでは。6回には富岡からアリアスの二塁打と野口の犠牲フライで2点を追加し、8回には福盛からアリアスが2試合連続のだめ押しソロホームラン。投げてはリガン、ウィリアムス、安藤とつないでベイスターズを完封した。連敗もストップし、マジックは18に自力で減らした。
◎ベイスターズ25回戦……2−5
久保田が中4日登板。しかし、初回にT・ウッズの3ランでいきなり先制された。それでも、斎藤から4回に金本が2試合連続のホームランで1点を返し、反撃ムードを作る。6回表、ヒットの今岡に続き、赤星が右中間を破る三塁打で1点差に迫り、なおも同点のチャンス。しかし、金本は浅いレフトフライ、広澤は三振、アリアスは敬遠気味の四球で野口に期待がかかったがサードゴロに終り、チャンスを生かせない。強い時期だとここから一気に大量得点というケースであったが、これが現状。久保田は2回から立ち直り、6回まで無失点で切り抜けた。続くリガンもピッチャーライナーをお手玉しながら背面で捕るようなサーカスプレーで観衆をわかせ、無失点。安藤が締めれば最終回には逆転もあるかと期待されたが、この日は制球がままならず、中村の2点タイムリーを許してしまった。ベイスターズは斎藤から加藤、デニーとつなぎ、ドラゴンズから移籍のギャラードが9回をぴしゃり。かえすがえすも6回のチャンス、1点止まりが悔やまれる。ただ、マジック対象のスワローズとカープがそろって敗れ、マジックは17に。相手が勝手にこけてくれるのだからありがたいわけではあるが。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 連敗をストップさせる好投。できれば完投させてやりたかった。
野手……金本知憲 夏男の本領発揮。6試合で4ホームランと低調な打線の中での復調は好材料。
長期ロードで4勝しかできなかったのに、この間にマジックは12と減っている。それだけ他球団がタイガースを助けている、といえる。怪我人続出で苦しいタイガースだが、ツキは残っているのだ。いよいよ次節は甲子園に帰ってジャイアンツ、スワローズと6連戦。「甲子園に帰るとほっとする」とあの野村前監督をして言わしめた長期ロードが終ったのだ。それにしてもこの低調がマジック点灯後でよかった。6月にこれがきてたらと思うとぞっとする。まあ、6月に来ないように踏ん張った反動ととれなくはないが。
オフシーズンのドラフトで狙っている早稲田大学の鳥谷内野手に対し、ジャイアンツのナベツネオーナーが「入団してからヤンキースにトレードすると約束してもいい」という、トレード前提の指名の協約違反発言をしたという。しかも川島コミッショナーは「聞いていない」と事実上の黙認。星野監督の怒りももっともだ。こういう発言に対しては自由獲得枠停止処分くらいが適当であると思うのだが。
(2003年8月25日記)