愛すれどTigers


年間80勝到達!優勝まであと一歩

 広島市民球場のカープ戦で2勝1敗とし、マジックを4つ減らして甲子園に帰ったタイガースはベイスターズ戦でも2勝1敗。さらに2つ減らした。今節は4勝2敗。マジックナンバーは5に。セットアッパーのギャラードから矢野が逆転サヨナラ2ランを打ったベイスターズ戦など、神の見えざる手がタイガースを後押ししてくれているかのように見えた。まさに優勝まで秒読み体勢である。

◎カープ20回戦……7−4
 先発の伊良部はこの試合もいまひとつ。初回、木村拓と緒方に連打を浴び、シーツのライトへの犠牲フライで先制される。しかし、打線が援護する。2回裏、先制された直後に高橋から放ったアリアスのライトへのきれいな流し打ちのホームランでで同点。4回にもアリアスはレフトスタンドへの放物線を描く美しいソロホームランで勝ち越す。その直後、伊良部は四球二つでランナーをためて森笠のセンター横への二塁打で同点に追いつかれた。打線はそれでもしぶとく高橋を襲う。赤星が四球を選ぶと、金本のライト前ヒットで一三塁。このチャンスに片岡は一塁ゴロ。赤星が俊足を飛ばしてホームに駆け込み勝ち越した。ここでアリアスがレフト前にヒットを放ち金本を迎え入れて2点差に。7回表には二番手の西川から金本が四球を選び片岡がセンター返しのヒットとチャンスを作った。ここで西川から交代した天野にアリアス、矢野、秀太が三連打を浴びせて一気に3点追加。5点差をつけて試合を決定づける。伊良部は5回まで投げて降板。6回からはリガン、吉野とつないでカープ打線を封じる。9回に登板した金澤が朝山に2ランを浴びて降板、ここで登板した安藤がきっちり抑えて勝利を決めた。伊良部はセの全チームから勝ち星をあげ、マジックは9に。アリアスは3年連続30ホームランの大台に乗せた。この試合、主審の渡真利が途中で動悸をうったえ途中交代。18年前にタイガース優勝のウイニングボールをつかんだ人だけに、古巣の優勝目前で興奮したのか?
◎カープ21回戦……5−4
 初回、井川がリタイア。木村拓、緒方のヒットで1死一三塁として迎えたシーツの投手ゴロを取った際に左膝を痛めてそまま降板した。三塁ランナーはこの間にホームインし、先制される。急遽マウンドに登ったのは金澤。前日のお返しとばかりに好投する。タイガース打線は長谷川の力のある球に差し込まれ、チャンスを作れない。しかし、3回表、負傷欠場の今岡に代わり先発出場していた秀太がライトスタンド最前列に辛うじて飛び込むプロ入り2本めのホームランで追いついた。金澤は4回につかまる。四球を連発したあと長谷川にレフト前のタイムリーを打たれて1点の勝ち越しを許した。そのあと登板した石毛が5〜6回をなんとか無失点に抑えると打線は7回に二番手の玉木をつかまえる。代打広澤がヒットを放つと、秀太がバントで送る。赤星が打ち取られ、打席には金本。ここでカープは金本を敬遠。燃えたのは4番片岡。センター横に逆転の2点タイムリー二塁打! さらにアリアスが2試合連続の2ランをレフトスタンドに。7回にはリガンが、8回の安藤をはさんで9回にはウィリアムスがそれぞれ1点を取られて1点差に迫られたが、9回は新井のバスター失敗の投手ゴロ併殺でピンチを切り抜け、なんとか逃げ切った。この試合、赤星が2つの盗塁を決めて球団新記録、そして目標の背番号に並ぶ53個目の盗塁を決めた。勝ち投手は移籍初勝利の石毛。そして、マジックは7に。
◎カープ22回戦……1−4
 先制したのはタイガース。2回表、野口がブロックから移籍第1号ホームランをレフトスタンドへ運ぶ。下柳は5回までは2安打を許したのみの完封ペース。しかし、6回に先頭のブロックを四球で出塁させ、緒方の逆転2ランを許す。星野監督が一番嫌う先頭打者への四球、しかも投手相手。しかし、7回表、タイガースはすぐに反撃。片岡の二塁打を足掛かりにアリアスが四球を選び、野口は死球。無死満塁のチャンスを作った。しかし、満塁にして開き直ったブロックは、代打矢野を一塁へのファールフライ、続く代打広澤を二塁への併殺打に打ち取る。下柳は8回にも急造二塁手沖原の一塁悪送球などで2失点。最後は永川に2死から野口、沖原、中村豊の3連打で満塁のチャンスを作り代打八木に一発逆転の希望を賭けたがあえなく三振。連勝は7でストップ。マジックは7のまま動かず。
◎ベイスターズ26回戦……4−3
 久保田と三浦の投手戦。久保田がベイスターズ打線を4回まで2安打に抑えれば、三浦も5回まで1安打無失点。先につかまったのは久保田。5回表、先頭の石井を歩かせてしまう。村田にもヒットを打たれピンチに。三浦の一塁ゴロをアリアスが本塁へ悪送球し、2者生還、ミスで先制される。内川にもタイムリーを打たれ、3失点。久保田は6回まで投げて降板した。三浦をつかまえたのは6回裏。赤星が二塁内川のエラーで出塁すると、金本のセカンドゴロは大きく弾んで内川の頭を越し、ライト前ヒットに。これで赤星が生還。さらに8回裏、沖原、赤星のヒットでチャンスを作り、金本のセンター返しのヒットで沖原が返って1点差に詰め寄る。7回からは石毛、リガンのリレーでベイスターズ打線に追加点を許さない。そして9回裏、リリーフエースのギャラードが満を持して登板。ここで一軍復帰の桧山がライト前に完璧な打ち方でヒットを放つと、打席には矢野。ギャラードの初球を思い切り弾き返すと、打球はぐっとのびてバックスクリーンに飛び込んだ。逆転サヨナラ2ラン! 土壇場で飛び込んだ会心の当たりに甲子園が、そしてテレビの前のファンが酔った。星野監督もインタビューで興奮気味。もちろん、ヒーロー矢野も飛び跳ねながらダイヤモンドを一周だ。マジックは6だ。なんといっていいのか。ああ嬉しい。
◎ベイスターズ27回戦……4−7
 初回、山田から片岡、アリアスが連続タイムリーを放ち、先制。ルーキー杉山も2回目の先発で落ち着いた投球。4回、金城、内川に連打を浴びたが、鈴木尚はセンターフライ。そしてT・ウッズは併殺コースのショートゴロ。藤本から沖原に渡り、一塁ランナーをアウトに取るが、そのランナーの内川が沖原の前で万歳の姿勢。沖原の送球は内川の手に当たり、大きくそれる。その間に金城がホームインして1点差に。守備妨害ではないかと監督は抗議したが、覆らず。そして6回表、小川、内川にヒットを打たれて杉山は降板。鈴木尚を迎えて左キラーの吉野が登板したが、ライト前に運ばれて同点に。多村にも二塁打を打たれ、この回3失点。7回表、村田の当たりはレフトフェンスの上を直撃。ところが三塁塁審小林毅の手はぐるぐるとまわっている。明らかな誤審に星野監督も呆れながらの抗議。金本も信じられないという表情。もっとも、独走している余裕からか、ここは比較的あっさり引っ込んだ。8回には三番手金澤が佐伯にホームランを打たれ、9回にも中村のタイムリーで7点目を奪われる。ベイスターズは山田を4回途中であきらめ、田崎、河原、福盛、加藤、デニー、ギャラードとつないでくる必死のリレー。8回裏、デニーから片岡の2点タイムリー二塁打で反撃したが、時既に遅し。この試合で球団史上最多のシーズン2901000人という観客動員を記録した。マジックは6のまま変わらず。
◎ベイスターズ28回戦……8−3
 福原と吉見の投手戦。福原はていねいにコースをつく投球で6回を2安打完封。一方、4回裏、桧山の先制のホームインを際どいところで小林毅主審にアウトと判定してもらって命拾いした吉見は5回にタイガース打線につかまる。1死から沖原がセンター前ヒットで出塁。赤星が死球を選び、打席には前日左足首をひねって欠場も心配された金本。レフト前にクリーンヒットでまず1点先制。続く片岡は四球で満塁。アリアスのあたりは左中間の一番深いところへのびていき、そのままスタンドへ。みごとな満塁ホームランはホームランダービートップのラミレスに並ぶ32号。7回には三番手の河原から先頭の金本がライトフェンスにあたってセンターまで跳ね返る打球で三塁打。アリアスが歩いて1死一三塁。ここで桧山がライト前ヒットで金本を返してさらに1点追加。矢野も二塁打で続きアリアスが生還してまた1点。藤本のサードゴロは村田が無造作にグラブを出して弾くエラーで桧山が返りこの回3点目。7回からはリガン、安藤、石毛のリレーで逃げ切り体勢。ところが9回に登板した石毛が多村のソロ、村田の2ランで3点を失い少しどきりとさせた。なんとか逃げ切ってマジックは5に。福原は復帰後無失点のまま2連勝。ヒーローインタビューでアリアスが吼えた。「ぜったい、ゆうしょう、するぞーっ」。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 他のリリーフ陣が試合ごとに打たれたり抑えたりという中で、実に安定していた。安藤がいるから、ゲームでの投手リレーも計算できる。
野手……ジョージ・アリアス 今節、6試合で4本塁打と大当り。2打席連続あり、グランドスラムあり。本塁打王争いにも堂々の参戦。甲子園をホームグラウンドにしてのホームラン王はラッキーゾーン廃止後はいないだけに、どこまで打つか楽しみだ。

 いよいよ優勝決定か。神宮のスワローズ3戦目か、ナゴヤドームのドラゴンズ戦か。ジャイアンツに3連勝で意気あがるカープは絶不調のドラゴンズ相手だけに、自力でマジックを減らしていくことだけを考えた方がいいだろう。ということは、ドラゴンズ戦ての胴上げが濃厚か。とにもかくにも、その日はやってくるのだ。もうじき!

(2003年9月8日記)


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