マジック5でむかえた1週間のロード。神宮球場のスワローズ戦は2敗1分、ナゴヤドームのドラゴンズ戦は3連敗。なんと1分をはさんで5連敗という成績に終ってしまった。カープの敗戦などもありマジックは2と減ったが、スワローズに連敗した結果、対象チームとして浮上、マジック対象が2チームというややこしいことになった。まだスワローズ戦は互角の戦いという感じだが、ドラゴンズ戦となると勝てないことへの焦りで投手も打者も体が動かない。こういうのをプレッシャーというのだろう。これを乗り越えれば、来年のシーズンにつながる何かをつかんでくれるはず。とはいえ、ここまでじらされるのもファンとしては辛い。
◎スワローズ25回戦……3−10
スワローズ先発高井から2回に桧山が先制の2ラン。3回には死球とヒットのランナーをおいて藤本がセンター返しのタイムリーヒットで3点目。いける! と思わせたが、期待を裏切ったのが伊良部。4回裏、ラミレスにホームランを打たれたまではまだ許容範囲だったが、5回裏には大誤算。2安打と死球で2死満塁にして、岩村にレフトスタンドへの満塁ホームランを浴びて逆転を許した。さらに2四球などでまた満塁にしてから降板。続く金澤は宮出の走者一掃の二塁打で3点を失い、この回一挙7失点。四番手の杉山は7回裏の古田のホームランと8回裏の宮本の犠牲フライで2点を失い、二軍降格。打線も4回以降は佐藤秀、山部、山本、五十嵐亮の継投に沈黙。カープの敗戦でマジックは4に。
◎スワローズ26回戦……2−3
井川と館山の投手戦。先制したのはタイガース。4回表、二塁打の桧山を塁においてアリアスがタイムリー。しかし、6回裏、岩村の2ランで同点にされる。それでも7回表、すぐさま反撃。ライトスタンドに片岡が同点の10号ソロホームランを打ち込む。このあと、試合は膠着状態に。9回裏、井川は1死満塁でラミレスを迎え、サヨナラのピンチを招くが、ラミレスの一打はホームベース前で高く弾むゴロ。これを矢野が好捕、ホームベースを踏むと一塁へ送る落ち着いたプレーで併殺を取る。試合は延長戦に。スワローズの石井、成本、山本、五十嵐亮の継投の前に11回までチャンスらしいチャンスを作れない。一方、タイガースの投手陣は、吉野のあと安藤を投入して対抗する。ところが11回裏、先頭の城石にヒットを打たれてリズムが狂った。真中にもヒットで続かれ、飯田のバントでランナーを進められる。宮本を敬遠し、ウィリアムスへあとを託す。ウィリアムスは期待通り岩村を三振に切ってとった。そしてラミレスに対してはリガン。ラミレスの一打は一二塁間へ。セカンドの秀太がよくおさえ一塁に投げようとしたが、一塁のベースカバーには誰もいない! リガンはラミレスの一打に足が止まってしまっていたのだ。カープが敗れてマジックは3に。しかし、この試合を落としたのが後で響いてくるとは……。
◎スワローズ27回戦……7−7
下柳の足を初回いきなり片岡が引っぱった。志田の当たりを後逸。宮本のヒットでピンチを広げ、ラミレスの二塁打で1点を失う。しかし、石川から2回表、アリアスが逆転2ラン。と、思ったら、2回裏、下柳は城石にホームランを打たれて同点に追いつかれた。4回表、内野安打のアリアスを塁におき、片岡のヒットで一三塁のチャンス。矢野のセカンドゴロ併殺の間にアリアスがホームインして勝ち越す。しかし、5回裏に下柳がつかまった。先頭宮本のヒット、岩村は三塁線にプッシュバントで内野安打。ラミレスは初球を右中間に運び、二塁打で同点に。鈴木のライト線への二塁打で2点の勝ち越しを許した。ここで藪に交代、なんとか抑える。6回表、アリアスのヒット、片岡の四球でチャンスを作り、石川をKO。代わった成本から矢野がタイムリーで1点差。その裏、三番手のリガンが岩村にソロホームランを打たれてまた2点差に開く。さらに7回裏、石毛がベッツにホームランを打たれ、3点差とされた。8回表、五十嵐亮からアリアス、片岡が連続四球、肩に異常を訴えた五十嵐亮はここで降板し、佐藤秀がマウンドに。矢野も四球を選んで満塁。藤本の犠牲フライ、そし沖原の二塁打でとうとう同点に追いついた。しかし、この後は山部、山本、高津のリレーに抑えられる。タイガースも石毛、安藤、ウィリアムスを投入し、互いに譲らず、延長12回、規定により引き分けとなった。この引き分けでマジックが減り、とうとう2に。これは名古屋で胴上げかと期待されたのだが……。
◎ドラゴンズ25回戦……1−2
野口と久保田の投げあい。2回表、桧山、八木、矢野が死四球で1死満塁というチャンス。ところが藤本はショートゴロ、久保田は三振で野口を助けてしまった。以降は野口の前に2安打と抑えられる。久保田は5回裏、筒井の打席で右肘を痛め、降板。そのまま登録抹消……。急遽登板の石毛は筒井にヒットを許しバントで二塁に進められたが、野口は三振でしのぎ、吉野にスイッチ。しかし、左の森野にタイムリーを浴び、先制を許してしまった。その後は藪が7回までよく抑えた。8回に登板したウィリアムスは福留にホームランを打たれ、2点差に。野口と岩瀬のリレーで完封負け目前だったタイガース打線だが、9回表、大塚を攻め立てる。野口が二塁打、そして矢野がセンター前のタイムリーで1点差。藤本がバントで送り、広澤がセンター前ヒットで一三塁と勝ち越すチャンス。しかし、代打片岡は三振。赤星は四球で満塁トしたが、頼みの金本が三塁ファールフライに終り、一歩およばず。金本は自分に対するふがいなさにバットをグラウンドに叩き付けて悔しがった。カープ、スワローズともに勝ち、マジック2は変わらず。
◎ドラゴンズ26回戦……7−9
初回、紀藤からアリアスが先制の2点タイムリーと幸先のよいスタート。しかし、久々に一軍に戻ってきた先発のムーアは初回裏、福留の2ランを含む5安打を浴び3失点で降板。逆転を許す。しかし、打線はよくがんばった。3回表、桧山が同点ホームランをライトスタンドに、そしてアリアスが勝ち越しのホームランをレフトスタンドに。これで紀藤もKO。二番手の谷中は渡邊を歩かせた後、筒井にライト線への三塁打を打たれて追いつかれる。4回表、遠藤からアリアスが勝ち越しタイムリー。しかし、5回裏、藪がつかまる。谷繁、渡邊、筒井に三者連続四球。ここで活を入れに星野監督がマウンドに上がるが、代打井上のタイムリー二塁打で逆転を許した。森野を迎えて吉野が登板したがバットを折りながらライト前に運ばれ、さらに2点を失う。大西、立浪と歩かせ2死満塁。ここで交代した石毛はワイルドピッチでさらに1点を失った。6回表、バルデスを1死満塁と攻め、アリアスの打席でバルデスはボーク。労せずして1点が入る。アリスショートゴロの間に走者が帰って2点目。2点差と詰め寄ったが反撃もそこまで。落合、岩瀬、大塚のリレーで逃げ切られた。カープとスワローズが勝ち、マジック2は変わらず。
◎ドラゴンズ27回戦……0−5
福原は初回、四球とヒットで無死一三塁のピンチを招く。打者福留の時に矢野がパスボールで先制される。さらに立浪の内野ゴロの間に走者を返して2点先制された。ドラゴンズ先発の平松は6回途中、足をひねって降板するまでタイガース打線をわずか1安打に抑える。4回裏、ヒットの森野をおいて福原は関川をレフトライナーに打ち取ったかに見えたが、金本がダイレクト捕球できず足に当てて大きく弾く。森野が帰って3点目。関川の記録は三塁打。6回表、二番手谷中は筒井の二塁打でピンチに。ここで三番手は吉野。代打大西にレフト前に運ばれ4点目。福留にもタイムリーを打たれて5失点目。タイガース打線は平松の後を受けて登板した久本を攻めたがあと1本が出ない。バルデス、落合、遠藤の前に完封リレーをくらう。タイガースの光明は、久しぶりに一軍登板した藤川がなんとか無失点で抑えたこと。カープとスワローズが勝って、マジック2はやっぱり変わらず。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……該当者なし 出てくる投手が軒並みがちがちになっている。5連敗の原因はリードを守れない投手陣にある。
野手……桧山進次郎 チャンスを作るヒット、そしてここぞという時のホームラン。復帰後もきっちりと役割を果たしている。さすがは選手会長だ。
打者はチャンスの時に硬くなる。投手は緊張して腕が触れない。優勝へのプレッシャーとはこういうことか。これが独走でよかった。接戦ならば最初に離脱するのはタイガースということになっていただろう。そう思えるほど状態はよくない。最下位に沈んでいた頃のタイガースが戻ってきたようだ。
月曜は甲子園に帰ってカープ戦。こうなったらとことんスワローズにはがんばって連勝してもらい、甲子園2連勝で歓喜の胴上げということにしていただきたい。まあ、あと全部負けてもいつかは優勝します。その日は必ず来るのだから、焦らず待ちましょう。
早稲田大学のスラッガー、鳥谷敬遊撃手が今シーズンのドラフトの目玉商品。自由獲得枠でどこを希望するかか注目されていたが、どうやらタイガースに傾いたようだ。勝つと有望な新人も入りたがる。そしてチームは強くなる。負けがこんでしんどい1週間ではあったが、こういう朗報は嬉しい。さらに、二軍も優勝マジック3! 一二軍同時優勝なんてのもいいではないか。
(2003年9月14日記)