愛すれどTigers


ジャイアンツに開幕戦3連勝!

 東京ドームでの開幕3連戦、「史上最強打線」などと長嶋五輪代表監督に命名されたジャイアンツ打線に対し、井川、福原、下柳の各先発投手陣が踏ん張って試合の形を作ると、打線はつなぐバッティングに徹してジャイアンツの先発投手をことごとく崩し、みごとに3連勝した。これは球団史上初めて。ジャイアンツも46年前に国鉄スワローズに3タテを食らって以来の開幕同一カード3連敗だそうだ。優勝したことにより、選手が自身を持ち余裕のあるプレーをしているのがわかる。逆にジャイアンツは打線を過信し、うまくいかないことへの焦りが見られた。タイガースは変わった。本当に強いチームになった。

◎ジャイアンツ1回戦……8−3
 先発は井川と上原の両エース。1回表、赤星の左中間を抜く二塁打とキンケードの死球、金本の四球で1死満塁と上原を攻め立てる。ここは桧山のセンターへの犠牲フライの1点にとどまった。ジャイアンツも1回表に反撃。四球の仁志を一塁におき、清水との間にエンドランを敢行するが、清水は空振り、仁志は盗塁死、そのあとに清水がヒットというチグハグな攻め。2回裏、ジャイアンツは四球の清原を塁において元木が逆転の2ランをセンターバックスクリーン横に叩き込む。しかし、井川はここから粘る。そして4回表、アリアスがライトスタンドへ流し打ちの同点ホームラン。ジャイアンツも負けてはいない。5回裏に仁志がレフトスタンドへ勝ち越しのホームラン。井川も上原も7回が終るまで1点差のシーソーゲームをもちこたえ、見ごたえのある試合になった。7回表に審判の判定に抗議した際に暴言をはいて退場になったキンケードの打席、続く金本の打席など、一球ごとに息を呑むような展開。しかし、ジャイアンツの弱点であるリリーフ投手が緊張感に押しつぶされた。一番手は前田。1死からアリアスが三塁横を抜くヒットで出ると、鳥谷も同じコースのプロ入り初安打で続く。そして矢野はライトフェスを直撃する二塁打で同点。二番手は三沢。代打の濱中が死球でつなぐと今岡はバットを折りながらセンター前に運び2者が帰って勝ち越す。三番手は柏田。赤星を歩かせ途中からサードに入っていた関本がバットを折りながらレフト前に落とすタイムリー。金本が倒れたあと、この回2度目の打席の桧山はセンター前に弾き返してこの回一挙6点の猛攻撃。タイガースは安藤、そしてウィリアムスをつぎこんで締めくくる。かくして一昨年に続き、井川がジャイアンツを倒して開幕戦を制した。
◎ジャイアンツ2回戦……5−1
 タイガースの先発は予想を裏切りなんと福原。初回からジャイアンツの打者の胸元をつく配球で危なげない内容。2回裏に2死から2四球を許したが阿部をセカンドゴロに打ち取りピンチを脱した。矢野が力投に応える先制ホームランを高橋尚から放ったのは3回表。ライト方向に逆らわずに打つと、打球は吸い込まれるようにスタンドに。続く4回表、赤星がレフト前ヒットで出るとキンケードが2試合連続の死球で続く。金本のライト前ヒットで満塁とすると、前日に続きアリアスが特大の当たりを放った。この試合はレフトスタンド上段にぶち込む満塁ホームランだ。福原は7回まで投げ切り、小久保のホームラン1本に抑え、リガン、安藤、ウィリアムスの必勝リレーで逃げ切った。高橋尚には3回までノーヒットに抑えられ、5回と6回もヒットを打てなかっただけに、5回の集中打はみごとだった。相手がすきを見せると畳み込むという昨年のうねり打線は健在である。
◎ジャイアンツ3回戦……8−5
 苦手の木佐貫に初回から襲いかかる。赤星が四球を選び、キンケードが3試合連続の死球で続く。ここで4番金本が左中間を破る二塁打で2者を帰し先制。動揺した木佐貫は桧山を歩かせる。打者鳥谷のところで金本と桧山がダブルスチール。鳥谷はサードゴロだったが、小久保の送球が低く清原が弾き、さらに2点追加。1安打で4点という効率のよさ。タイガースの先発は下柳。初回は制球に苦しんだ。仁志に先頭打者ホームランを打たれる。しかし、ランナーは出しても点は取られないのが下柳の粘り強さだ。2回は2死球を含む満塁のピンチに木佐貫を三振、仁志をライトフライに切って取り流れを断ち切る。タイガース打線がジャイアンツのお株を奪ったのが4回表。矢野がレフトスタンドに2試合連続ホームランを放つと、四球の赤星を塁におきキンケードが来日初ホームランをライトスタンドに運ぶ。キンケードはこれが初ヒットでもあった。苦しんできただけに全力疾走でダイヤモンドをまわるキンケードの足取りの軽いこと。さらに、主砲金本が2者連続となるホームランをライトスタンドに弾丸ライナーで突き刺し、7点差をつけた。ジャイアンツは5回に清水の2ラン、8回には今季初登板の吉野の初級を高橋由がライトスタンドに打ち込み徐々に点差をつめる。しかし、ホームランのあとが続かないので多少の失点でもあまり怖さを感じられない。最後は安藤が登板し、小久保のタイムリーでさらに1点を失ったものの高橋由をショートゴロに打ち取って試合終了。堂々たる3連勝である

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 みごとな投球だった。昨年途中から2勝して復活の兆しを見せた男が、開幕2戦目の先発で完全復活、いや、故障前よりも安定したピッチングで先発ローテーション入りに名乗りを上げた。
野手……ジョージ・アリアス 2試合連続のホームラン、というだけではない。キャンプから取り組んだ流し打ちの第一号、チャンスで放った第2号満塁と、これまでの2年よりもスケールアップした姿が頼もしい。

 一昨年、開幕2連戦でジャイアンツに2連勝した時は、まだ横綱から金星をあげたという感じがした。しかし、今季の3連勝は相手を見下ろして野球をしているという感じがする。2年でこれだけの違いが出るようになるとは。勝つということで成長するといういい見本である。
 次節はおとくいさんのベイスターズ、そして甲子園に帰ってドラゴンズが相手。今年の4月もスタートダッシュをかけておきたいところである。

(2004年4月5日記)


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