広島市民球場でのカープ戦は初戦を雨で流したあと１勝１敗。倉敷マスカット球場と甲子園でのドラゴンズ戦は倉敷での初戦は落としたものの２勝１敗と勝ち越し。今節は３勝２敗と着実に勝ち越しを決めている。３勝の勝ち越しで２位のジャイアンツに１ゲーム差をつける単独首位に立っている。打線のつながりもよくなり、少しずつ波に乗りつつある。このペースを続けていけば、団子レースから抜け出す日も近いだろう。
◎カープ４回戦……１４−１
先発は久保田。前回の登板とは違い、思い切りのいい投球。内外角にコントロールされ、無四球完投勝ち。２回裏にはシーツと栗原のヒットでピンチを作ったが、後続をきっちりと断つ。結局７回裏に浴びたラロッカのソロホームランの１失点のみに抑え切った。また、２回表には自らのタイムリーで先制点をたたき出す。相手投手は大竹。前回の対戦では苦杯をなめたが、この試合ではコントロールが甘く打ちごろの球がくる。３回には二塁打の藤本をおいてアリアスが２点目となるタイムリーを放つ。そして迎えた４回表、矢野がセンター前ヒットで出塁し、バントは失敗したものの四球を選んだ久保田が続く。赤星がセンター前に落として無死満塁とし、打席には藤本。ライトへのライナーはまさかのスタンドイン！ 生涯初めてという藤本の満塁ホームランで６点差をつけ、大竹を引きずりおろした。４番手の永川から７回に３連打で満塁のチャンスを作り打席には矢野。ところが三塁併殺打でチャンスをつぶしかけた。ここでまた打ったのが久保田。だめ押しとなるライト線への二塁打でさらに２点追加。そして９回表、５番手の沢崎を怒涛のような猛攻が襲う。アリアスがレフトスタンドに２ランを叩き込むと、続くキンケードも左中間に連続打者ホームラン。矢野と藤本がヒットで出塁すれば、今岡がとどめの３ランをレフトスタンドに。なんとこの回一挙６点。甲子園での３タテの鬱憤をはらす試合となった。
◎カープ５回戦……８−１０
壮絶な打ち合いはカープのサヨナラ勝ち。初回、黒田から１死一三塁のチャンスで金本のレフト前への先制タイムリーが出、続く桧山にもセンター前のタイムリーが出た時は、井川ならこの２点で楽勝と思われた。ところが井川は球威もコントロールも今季最悪のでき。その裏すぐにシーツのライトスタンド最前列への２ランで同点に追いつかれる。２回には野村の二塁打で勝ち越され、３回表に桧山の同点タイムリーが出たものの、満塁のチャンスでキンケードは併殺。その裏に藤本のエラーなどで満塁にしたあと石原に押し出しの四球。黒田のタイムリーでさらに１点を追加される。３回５失点という最悪の結果に井川は降板。杉山がマウンドに上がる。しかし、ラロッカのソロ、前田の２ランで一気に３点を奪われ、差は５点と絶望的に。黒田は不安定な投球内容ながら要所を締めてくる。６回にも１死満塁のチャンスを作るが代打濱中の併殺でまたもつぶす。こういう展開ではもう挽回は無理と思われたが、３番手の牧野がきっちりと抑えて流れを少しずつこちらに向ける。７回表、今岡のソロホームランで１点を返し、続く８回に流れがきた。アリアスのポテンヒットなどから２死満塁のチャンスを作ると、赤星がショートへの内野安打で３点差に。藤本はレフト前のヒットで２者を返して１点差。今岡が四球を選んだところで黒田は降板。代わった菊地原の初球は金本の背中を直撃してとうとう同点に追いついた。ここで桧山に１本出ていれば勝ち越せたのだが、三振に終る。同点となったマウンドには安藤と天野が。それぞれ１回ずつ無失点で切り抜け、９回裏の攻撃に。安藤は簡単に２死をとったが代打新井にヒットを打たれる。打席はベテランの緒方。内角の厳しい球だったが、打球は無情にもレフトスタンドに吸い込まれ、苦いサヨナラ負け。それでも一時は同点に追いついた粘りは凄かった。
◎ドラゴンズ７回戦……３−４
先発の福原は初回からランナーを出す不調。３回につかまった。先頭の山本昌を歩かせてピンチを作り、立浪と井上のタイムリーで３点を先制された。３回裏、赤星のセーフティーバントは一塁森野の悪送球を誘い、一気に三塁に進む。今岡のショートゴロの間に赤星が生還してなんとか１点を返した。持ち直したかに見えた福原だったが、６回表に立浪のタイムリーで４点目を奪われ、この回限りで降板。コントロールに難のあるできで連勝が途切れた。６回裏、金本が山本昌から久しぶりのセンターバックスクリーンに飛び込むホームランで２点差にすると、７回には三塁打のキンケードを矢野がライトのフェンスを直撃する二塁打で返して１点差に詰め寄った。このチャンスで代打は関本。せっかく地元倉敷なのだから、この場面は八木だったのではないか。交代した落合から関本はいい当たりのショートゴロに終った。八木は９回に先頭打者の代打で登場し、岩瀬からヒットを打っているだけに、起用の順序が逆だったと悔やまれる。９回裏、八木のヒットもアリアスが併殺。キンケードと矢野が連打でサヨナラのチャンスを作るが、代打野口が三振し、岩瀬を崩し切れずに終った。
◎ドラゴンズ８回戦……１−０
息詰まる投手戦。藪も川上も球威、コントロールともに抜群。川上は四球を出す場面もあったが、初回は今岡を併殺に、６回は桧山を内野フライに打ち取るなど要所を締める投球。藪は３回の三者三振を含めた１０奪三振。７回表、キンケードの三塁守備のまずさなどでアレックス、井上にレフト前に２連打され森野を歩かせて満塁に。ここで谷繁をショートゴロの併殺にしとめてピンチを脱する。８回裏代打が出て惜しくも完投は逃し、勝ち星もつかなかったが、これで防御率リーグ１位に躍り出た。９回表、ウィリアムスは自らのエラーなどで無死一二塁のピンチを招くが、アレックスのサードへの当たりをキンケードがグラブの先ですくいあげるようにノーバウンドで取り、飛び出していた二塁ランナーを刺して併殺に。なんとかピンチを切り抜けた。そし９回裏、金本が川上の甘く入った球をジャストミートし、レフトスタンドに飛び込むみごとなサヨナラホームラン。藪の好投を救った。
◎ドラゴンズ９回戦……１６−５
先発の下柳は初回に立浪とアレックスのタイムリーで２点を失う。タイガース打線も平井からすぐさま今岡のタイムリーで１点を返し、乱打戦の様相。２回表、満塁で仲沢の２点タイムリー、福留のセンター前タイムリーでさらに３点を失った下柳は２回途中で降板。牧野にバトンを渡した。その牧野は後続をみごとに断ち、４回まで粘りの投球で流れを作った。２回裏、矢野のホームランで１点を返したあと、４回にビッグイニングが待っていた。アリアスとキンケードが連打でチャンスを作ると、矢野が二塁打を放ってまず１点。代打の葛城がセンター前に移籍初打点となるタイムリーを打って１点差に。ここで投手はなんと野口に交代。赤星のセカンドゴロで矢野が本塁噴死と、継投が決まったかと思われたが、藤本がライト前に弾き返す二塁打で逆転！ そして今岡がバックスクリーンにホームラン、二塁打の桧山をおいてアリアスも２ラン！ この回一挙８点という猛攻。さらに三番手宮越から５回に今岡がレフトスタンドに運ぶ３ラン。８回には５番手石川からキンケードと沖原がタイムリーを放って３点を追加。大量１６得点で圧勝した。リリーフも、牧野のあとは江草、モレル、桟原、安藤、三東と小刻みなリレーでドラゴンズ打線に反撃の機会を与えず。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……藪恵壹 素晴らしい完封だった。辛口解説の小山正明さんをして「みごとなピッチングやったね」といわしめた。井川、福原がＫＯされてもベテランが踏ん張るのだ。
野手……藤本敦士 カープ戦の満塁本塁打といい、ドラゴンズ戦の逆転二塁打といい、勝負強さがついてきた。なによりライト方向に思い切り引っ張れる力強さが出てきたのがいい。鳥谷にポジションを譲っていた時も腐らず機会を待ったのが生きている。
しかし、なんとかならんかキンケードの三塁守備。アリアスに三塁を守らせたら投手も安心して三塁に打たせてとれると思う。キンケードの一塁守備はもっとひどいのだろうか？打撃は上向いてきたが、まだ及第点には届かない。
次節は東京ドームで２位に浮上してきたジャイアンツを叩きたい。そうすれば、昨年の勢いを思い出すことだろう。リガンも一軍に帰ってくる。楽しみである。
（２００４年５月１０日記）
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