愛すれどTigers


G戦連夜の逆転で首位堅持

 神宮球場ののスワローズ戦は1敗して2試合雨で中止、甲子園のジャイアンツ戦は初戦こそ落としたものの2勝1敗。今節は2勝2敗と五分でしのいで首位を堅持。アリアスの負傷欠場のピンチも、雨で2試合休養できたのと代役の関本や鳥谷の活躍などで乗り切った。こういうチャンスを若手選手はつかんでほしい。今年だけではなく、長期的にも大事な時期なのである。幸い、打線はつながりを見せてきた。あとは先発投手陣が固定できればかなり優位に戦いを進められるはずだ。

◎スワローズ7回戦……10−13
 タイガースの先発は久保田。初回にいきなり岩村に2ランを打たれる。しかし、2回表、タイガースもすぐに反撃する。スワローズの先発石川から、ヒットの桧山をおいてアリアスが来日150号となる同点2ランをライトスタンドに。軽く打った感じだったが、打球がよくのびている。しかし、久保田は2回裏にも土橋の内野安打をきっかけに四球などでランナーをためて宮本に勝ち越しのタイムリーを浴びると、続く岩村に2打席連続の3ランホームランを打たれて突き放される。3回表、タイガースは再び反撃。エラーで出塁した藤本を塁におき、赤星がタイムリー二塁打を放つと、四球をはさんで打席に立ったアリアスがライト前に2点タイムリーを放ち1点差と迫る。久保田は4回裏に稲葉にホームランを打たれたものの、5回まではなんとか立ち直りを見せていた。しかし、6回表、セカンド内野安打で出塁したアリアスがベースに駆け込む際に足をつってしまい、葛城に交代。葛城は急造一塁手として守備につく。その6回裏、四球とヒットでピンチを作ると、代打の城石は犠牲バント。ところが、不馴れな葛城はこのゴロに手が出ず打球は二塁ベース付近に転がっていく。記録は内野安打となり、無死満塁。ここで久保田は降板し、二番手は三東。その三東が稲葉にタイムリーを打たれてしまう。二者連続三振となんとか切り抜けるかに思われたが、ラミレス、鈴木と歩かせて、ここで降板した。再び満塁のピンチに牧野が登板したが、古田に2点タイムリーを打たれてこの回一挙5点を失う。7回表、マウンドには二番手の山本が登板、藤本が歩き、赤星もバントヒットで続き、今岡がレフト前にタイムリー。そして金本がセンターバックスクリーンに3ラン、急遽登板した佐藤賢からは桧山がライトスタンドへソロホームランを打ち、またたくまに取られた分だけ取り返す一挙5点の猛攻撃。ただ、8回裏に桟原が宮本からホームランを打たれて点差をひとつ広げられると、最後は川端に抑えられて逆転はならなかった。打線の粘りがあっただけに、負け試合の中継ぎ投手陣が失点を防いでチャンスを待てるような展開にならないといけないのだが
◎ジャイアンツ10回戦……4−9
 ジャイアンツ先発工藤の前になかなか点がとれない。3回裏は三者三振とタイミングがあわない。一方、井川も4回表に連続ヒットを打たれながらもローズ、高橋由、清原を連続三振に取って切り抜けるなど、復調の兆し。先制したのはタイガース。5回裏、先発出場の八木のヒットを皮切りに関本がよくボールを選んで歩き、矢野のライトへの二塁打で2点を奪った。しかし、6回に四球と関本のエラーでピンチを作ると、ローズのタイムリー、高橋由の犠牲フライ、清原のセンター返しのタイムリーとお株を奪われるようなつなぎのバッティングで3点を奪われ逆転される。8回表、井川はローズに2ランをバックスクリーンに運ばれ、高橋由に二塁打を打たれたところで降板。桟原につないだが、期待のルーキーもジャイアンツ打線の餌食に。阿部にタイムリー、工藤にも2点タイムリー、三番手の佐久本も清水にライト前に運ばれて1点を失いこの回打者12人6失点の猛攻で試合は決まった。9回裏,疲れのみえた工藤から関本のタイムリーと野口の犠牲フライで2点を返したが、時既に遅し。41歳の大ベテランに完投を許してしまった。藤本、赤星、今岡の1〜3番打者がノーヒットではチャンスも作れない。アリアス不在が大きく響いた。
◎ジャイアンツ11回戦……6−4
 福原が2回表に小久保に3ランを打たれたが、その裏すぐに桧山がバックスクリーンに反撃のソロホームランを打ち込む。久々の登板の上原にはこれは応えたことだろう。そのあとも福原はランナーを毎回許しながらも粘りの投球。4回裏には三塁小久保のエラーで先頭の今岡が塁に出ると、金本の二塁打でチャンスを広げ、関本の犠牲フライで1点差に迫った。福原は7回に小久保のタイムリー二塁打でさらに1点を失ったが後続を断ち切る。13安打を許しながらも4点に抑えてゲームを作ったのだから、悪いなりにもよくがんばったと思う。一方、上原は6回まで4安打2失点、球数もまだ81球というところでなぜか降板。7回裏のマウンドには、前回の対戦で福原にホームランを打たれて沈んだ林。タイガース打線に対する恐怖感の方が先に立つような投手をリードした展開で投入する堀内監督の采配には首をひねらざるを得ない。案の定、関本、代打の沖原がヒットでチャンスを作り、代打の神様八木が登場。レフト前に転がして1点差に。赤星三振で2死となったが、藤本がセンター前に弾き返して同点に。悪いイメージを引きずったまま林は降板。今シーズン、最後までタイガース戦では結果は出ないのではないか。三番手はシコースキー。金本の打球はセンター前に。2点勝ち越しのタイムリーである。そのあとは安藤、ウィリアムスがきっちり抑え、前日のお返しをしてくれた。福原はセ・リーグ最多の7勝目を記録した。悪くても粘って最少得点に抑え切る。みごとな投球であった。
◎ジャイアンツ12回戦……5−4
 すさまじい試合であった。久保から初回に金本が先制タイムリー二塁打を放ち、4回には鳥谷が苦手の内角を巻き込むようにして打って二塁打の金本を返して2点差に。先発の下柳は内外角にびしびしと速球を投げ込み、変化球で翻弄するみごとなピッチング。7回に小久保にホームランを打たれて1点差とされたが、ほぼ完璧な内容の投球であった。リガン、ウィリアムスとつなぎ必勝体勢に。ところが、9回2死一塁で小久保に起死回生の逆転2ランをレフトスタンドに叩き込まれる。8回途中から登板していた3番手のシコースキーは、この1点を持ちこたえられない。先頭の代打アリアスがヒットで出塁し、代走に平下。2死をとられたところで今岡が右中間を破る同点二塁打を放ち、試合は延長戦に。10回のマウンドには安藤がのぼる。先頭の代打元木はレフトスタンドに吸い込まれるようなホームランで再びリードを許してしまう。安藤はそのあとも満塁にされる苦しい投球だったが好調の小久保を打ち取って最少失点に抑えた。そして10回裏、河原から先頭の関本が四球を選ぶと、久慈がみごとにバントを決め、平下がショートへの内野安打でつなぐ。ランナーを一三塁において、打席には赤星。左中間を破るヒット。センターの鈴木が俊足をとばしてダイビングキャッチを試みるが、一歩及ばず。一塁走者も一気に生還し、赤星は今季2度目のサヨナラヒット。それにしてもジャイアンツの一発野球はひとつ間違うと怖い。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 勝ち星はつかなかったが、G戦の好投は1勝分の価値はある。今季最高の投球内容だった。
野手……赤星憲広 2週連続のサヨナラヒット。不振は続いているが、このヒットをきっかけにしてほしい。

 打線の粘りは素晴らしい。投手陣に一抹の不安はあるが、次節のベイスターズ戦ではなんとかこの打線の粘りで今季初勝利を飾ってほしいものだ。

(2004年5月24日記)


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