甲子園でのスワローズ戦は１勝２敗。横浜球場のベイスターズ戦は２連敗のあと雨で中止。交通違反発覚で謹慎していた上坂の復帰や杉山の２試合連続の好投、金澤の復調など明るい要素はあるものの、前節のウィリアムスに続き、安藤、リガンがそれぞれリリーフ失敗。自慢の３人クローザーが機能しなければ、勝利への道は見えてこない。
◎スワローズ８回戦……２−５
藪と石川が先発。３回裏、２死から今岡が二塁で出塁し、金本が四球で続く。ここでアリアスがライト前に運んで今岡を返し、タイガースが先制した。しかし、続く桧山は一塁ゴロで追加点がとれない。藪は５回表に稲葉を二塁において真中にレフトスタンドに運ばれる逆転２ランを浴びる。これが藪の今季初被ホームランとなった。藪は６回表にも鈴木健のタイムリーで点差を広げられ、降板した。タイガースの攻撃はチャンスを作ってもそれを生かせない。４回裏には矢野が三塁打を放つが藪が三振、藤本がセンターフライ。５回裏には先頭の赤星がライト前に弾き返し、今岡が歩いてチャンスを広げたが金本が併殺、アリアスが内野フライ。６回裏には関本がヒットで出塁するも矢野が併殺。８回裏には今岡と金本の連続ヒットで逆転のチャンスとなるが二番手杉本の前に関本がセカンドゴロの併殺。８回表、三番手のリガンが４連打で２点を失い、４点差で９回裏を迎えた。先頭の矢野が五十嵐亮からホームランを打って１点返し、さらに赤星と今岡の連打でチャンスを広げたが、最後は金本がライトフライを打ち上げ、試合終了。なんともちぐはぐなもどかしい試合であった。
◎スワローズ９回戦……６−０
先発の左腕藤井を読んで、ライトに早川を入れた岡田監督の賭けがあたった。初回、３四球で２死満塁となったところで打席には早川。ショートの左を抜けようかという当たりの内野安打で先制点をあげた。関本がセンター前に弾き返して２点、矢野もレフト前のタイムリーでさらに１点と、この回４点を奪う。井川は四球は多かったけれども初回の志田、４回の鈴木健の２安打に抑える。とにかく速球をコントロールを気にせずにぐいぐいと投げ込んでいったのがよかった。スワローズは６回からは小刻みな継投でタイガース打線を抑えていったが、８回に花田からアリアスが２ランをレフトスタンドに叩き込んでとどめを刺した。井川は今季２回目の完封で５勝目。久々に勝利が敗戦を上回った。タイガースは再び５割復帰である。
◎スワローズ１０回戦……２−５
川島から８回を７安打と攻め立てたタイガース打線だが、決定打が出ない。一方、福原は２回には城石のタイムリーで先制を許し、３回には岩村にホームランを打たれ、４回にはピッチャーの川島にタイムリーを浴びという具合に真綿で首を締められるように１点ずつ取られていく。７回、鈴木健のタイムリーで４点目を失い、この回限りで降板。開幕からとばしてきた疲れがそろそろ出始めてきたのか。８回には桟原が稲葉にホームランを打たれて５点目を失う。９回裏、五十嵐亮を攻め立てて藤本と赤星の連続タイムリーで２点を返したけれど、反撃もそこまで。一発出れば同点というところで今岡の打球は平凡なライトフライ。再び勝率５割を割ってしまった。
◎ベイスターズ９回戦……２−３
先発の杉山に勝ち星をやりたいタイガースは、先発門倉から赤星と今岡がヒットで出塁し、その門倉のワイルドピッチで先制点をあげた。しかし、金本を歩かされるとアリアス、桧山と凡退してチャンスを次につなげられない。杉山は２回裏、多村に同点ホームランを浴びたものの、３回表に金本がお返しの勝ち越しソロホームランをライトスタンドへ。杉山はこのあとはスライダーとフォークを駆使してベイスターズ打線を寄せつけない。７回を２安打１点という好投で、プロ入り初勝利をほぼ手中におさめていた。ところが、８回裏にマウンドに上がった安藤が前回と同様に杉山の勝ち星を消してしまう。多村に同点ホームランを、そして種田に勝ち越しホームランを打たれ、土壇場でひっくり返されてしまった。最終回は佐々木に手もなくひねられ、無念の連敗。
◎ベイスターズ１０回戦……５−８
岡田監督は赤星をはずして上坂をトップバッターにすえた。初回、その上坂が吉見からセンター前にフライを打ち深追いした二塁の内川がグラブに当てて落とすというラッキーな出塁。めったにバントを命じない岡田監督が、藤本に送らせる。なとか先取点をという執念だ。それに今岡が応えてレフト前に先制タイムリー。もっとも、そのあと金本を歩かされるとアリアス、関本と凡退して追加点が取れなかったのだが。タイガースの先発下柳は今季一番の不調。２四球を与えて１死満塁。多村のライト前ヒットで同点に追いつかれ、金城のレフト前ヒットでひっくり返され、種田のショートゴロの間に走者を返して突き放され、吉見の２点タイムリーでとどめを刺された。それでも４回まで投げ切って追加点を許さないのは下柳らしい。５回表、上坂と藤本の連打でチャンスを作ると、金本が犠牲フライを放って１点を返す。そして７回表、疲れの見えた吉見から代打の八木が二塁打を打ってチャンスを作る。上坂もライト前ヒットで続き、今岡がみごとレフトスタンドに運ぶ同点３ラン。試合は振り出しに。タイガースは金澤が二番手で好投、無失点で切り抜ける。桟原、リガンとつないで迎えた９回裏、四球などで２人のランナーをおいて代打鈴木尚を迎えたリガンは、ライトスタンドにサヨナラ３ランを運ばれてしまう。打線が驚異的な粘りを見せただけに、残念な敗戦である。これでタイガースは最下位スワローズとのゲーム差なしの５位に転落。首位のジャイアンツとは４．５ゲームと差が開いてしまった。
◎愛すれどTigers週間ＭＶＰ
投手……井川慶 ２０勝投手が、力の投球を思い出した。四球を恐れず投げ込む速球。だからこそチェンジアップに打者はひっかかる。原点回帰した井川の今後に期待大。
野手……上坂太一郎 今はとにかく試合に出られる喜びでいっぱいだろう。自分の責任とはいえどん底に落ちた男が這い上がってのスタメン復帰。そして４出塁。上坂のプレーから学ぶべきものは多いはずだ。
アリアスがふたたびふくらはぎ痛で登録抹消。大砲が一人不在となるのは大きい。昨年のＶ戦士が次々とリタイアしていくのは、前回の優勝の時となにか似ている。おしいところで負け……というのが積み重なってずるずると下位に落ちていくというのは、一昨年までのパターンだ。せっかく黄金時代を迎えようとしていると思われたのに、暗黒時代に逆戻りなどというのはやめてくれよ。かつて「岡田監督待望論」を唱えたのは私であるし、岡田監督の手腕に期待もしている。それだけに、選手は焦らず「自分たちはチャンピオンなんだ」という自信を取り戻してほしい。
（２００４年６月７日記）
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