甲子園のスワローズ戦は杉山のプロ入り初勝利で1勝。大阪ドームでは1勝1敗。この3連戦は2勝1敗と勝ち越した。しかし、東京ドームのジャイアンツ戦では先発投手陣が踏ん張って3試合ともジャイアンツ打線をほぼ完璧に抑え込んだにもかかわらず、打線がふるわず1勝2敗に終り、今節は3勝3敗と結局一進一退を繰り返してしまった。打線のタイムリー欠乏症はどこまで続くかと心配したが、対ジャイアンツ3戦目にしてやっと打棒爆発。それにしても苦しい1週間であった。
◎スワローズ11回戦……8−3
タイガースの先発杉山は、初回ラミレスにタイムリーを打たれて先制されたものの、2回以降は速球がコーナーに決まってスワローズ打線を力で抑え込む。これまでは好投に応え切れなかった打線も、3回に藤井をとらえる。藤本、今岡が連打でチャンスを作ると、金本が走者一掃のタイムリーツーベースをライトオーバーに打つ。さらに、桧山、関本の連続タイムリーが出てこの回4点を奪い逆転に成功。5回には金本のライトフライをマーチンが落球し、チャンスをもらうと矢野がパックスクリーンに飛び込む2ランでさらに追加点を奪う。6回表、杉山は岩村にホームランを打たれてリズムを乱し、二塁打で出塁したラミレスを古田のヒットで返されて2失点で降板。しかし、交代したモレルがきっちりと後続を立ち、ウィリアムス、リガンのリレーで逃げ切る。8回には杉本から鳥谷のヒットを足掛かりに矢野のタイムリーなどでさらに2点を追加、5点の差をつける完勝。杉山はプロ入り初勝利を飾った。
◎スワローズ12回戦……2−0
下柳が7回途中まで4安打無失点のみごとなピッチング。スワローズ打線には生気がなく、来た球をただ打っているというような感じを受けたが、それだけ下柳の投球術がさえていたということだろう。対する川島もタイガース打線をわずか2安打に抑え込む。とにかく速球は走っている、変化球はコーナーにずばりと決まる。ところが、その川島の足をベテランたちが引っ張ってしまった。5回裏には二塁打の矢野が関本のファーストゴロで三塁に進むと、打者下柳の時に古田が鋭い変化球を受けそこねて横に弾いてしまい矢野が先制のホームを踏む。7回裏には金本のセカンドゴロを土橋が悪送球。矢野の敬遠などでランナーをつめると、代打八木は平凡なショートゴロ。宮本が土橋に送球して一塁走者は二塁で封殺、土橋は併殺を狙って一塁に送球したが、これが大きくそれて金本は一気にホームイン。貴重な追加点をもらった。安藤、ウィリアムス、リガンの必勝リレーだったが、9回表1死をとったところでリガンが右肘の痺れを訴えて降板。急遽モレルがマウンドに。緊急登板ではあったがモレルは踏ん張って得点を許さず完封リレーが決まった。二番手安藤が4者連続三振を奪った投球は圧巻であった。
◎スワローズ13回戦……1−4
ここまで安定感抜群の投球を続けていた藪だったが、この試合はコントロールが甘く、初回に岩村の2ランであっさり先制され、3回にも岩村のタイムリーを許し、6回には稲葉の軽く打った打球がレフトスタントに飛び込むだめ押しのソロホームランを浴びた。スワローズのベバリンの荒れ球に苦労したタイガース打線は4回に無死満塁のチャンスを作るも矢野は三振、関本はサードゴロ併殺でチャンスをつぶす。ここで畳み掛けることができないのが今年の打線の弱さか。6回裏に藤本が二塁打で出塁したが、内野ゴロの間に一つずつ進塁してホームインするのがやっと。2試合連続タイムリーヒットが出ていない。最後は五十嵐亮に快速球で抑えられた。この日、リガンはヒジ痛で二軍落ち。必勝リレーの一角が崩れることになった。
◎ジャイアンツ13回戦……0−1
ローテーションの谷間で金澤がプロ入り2度目の先発。ジャイアンツ打線の内角を思い切ってつく投球で得点を許さない。長打は2回に阿部に打たれた二塁打のみ。しかし、タイガース打線も工藤の盗球術にまんまとはまる。初回、無死満塁のチャンスで矢野がサードゴロ併殺。2回にも2死満塁と攻め立てたが藤本はレフトフライ。3回以降もランナーは出すがここというところでタイムリーが出ない。7回裏、二番手モレルが元木のタイムリーで1点を失う。9回にはシコースキーから2死一二塁と逆転のチャンスをつかむが藤本が三振に終り、投手陣の踏んばりを助けることができなかった。
◎ジャイアンツ14回戦……0−1
福原と上原の息詰まるような投手戦。福原は4回と6回に連打を浴びてピンチを作るが、ペタジーニ、小久保ら強打者に真っ向勝負で打ち取り、ピンチを脱した。8回からはウィリアムスが、ジャイアンツも岡島、林を繰り出して試合は延長戦に。11回表、先頭の沖原は林からよく四球を選ぶ。赤星のバントは打ち上げて捕邪飛。藤本もバントしたがファールとなり強攻策に切り替える。藤本の打球はセカンド前に。仁志と沖原が交錯したが、その時は審判は何もいわずに打者の藤本の一塁アウトを宣告した。ところが、ジャイアンツ側の抗議があるとあっさりと「沖原の守備妨害」に判定を変えてしまう。ビデオで見る限りでは仁志が沖原に当たりにいったようにも見えたのだが。岡田監督の10分をこえる抗議も実らず、せっかくのチャンスも審判の優柔不断な判定でつぶされてしまった。もっとも、その前にバントを確実に決めておけばこのようなことにならなかったのだが。11回裏、安藤が力尽きた。先頭の高橋由に二塁打を打たれると、小久保は捕邪飛に打ち取ったが、ペタジーニは厳しいコースをストライクととってもらえず四球に。阿部はピッチャーゴロで2死まで持っていったが、元木を歩かせ後藤勝負。その後藤にもサヨナラとなる押し出し四球を与え、無念の敗戦。
◎ジャイアンツ15回戦……7−3
ローテーションの谷間かジャイアンツの先発はランデル。岡田監督は久しぶりに今岡を一番にすえ、二番赤星、三番葛城、七番矢野、八番藤本と昨年のオーダーを思い出させる布陣をしいた。これが功を奏したか、初回、今岡がランデルのグラブを弾くライト前ヒットで出塁し、赤星が四球、金本も四球で満塁。桧山はセカンドゴロに終ったが、併殺崩れの間に今岡が先制のホームイン。そして2回、赤星がセンター前タイムリーで藤本を迎え入れて2点目。井川は初回から2回にかけて4者連続奪三振という力でねじ伏せる投球。速球が走っているからチェンジアップも有効になる。3回にはヒットの葛城を塁に置き、金本がライトスタンド上段に運ぶ2ラン。主導権を完全に握った。5回には二番手の柏田から桧山のタイムリーで1点を追加。7回には四番手の佐藤宏から桧山が2点二塁打。井川は6回に元木のタイムリーで1点を失ったが、気迫溢れるピッチングで傷口は広げない。8回にはモレル、9回にはウィリアムスが登板し、1点ずつ失うが最後はウィリアムスが2者連続三振で決着をつけた。タイガースは連敗ストップ。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……杉山直久 3度めの正直で勝ち取った初勝利。内容はこれまでほどではなかったが、こでローテーションの一角を担うことができそうだ。金澤は先発勝利するまでまっておこう。
野手……金本知憲 連敗中は大振りが目立った主砲だが、スワローズの初戦とジャイアンツの3戦目では主砲の実力を見せつけた。
打線の不振は、主砲アリアスの不在も大きかった。伊良部が再び長期戦列離脱という中で、投手陣が苦しい中からも杉山、そして金澤と結果を出している。関本や鳥谷にその役割を期待するのは酷なのだろうか。なにはともあれ打線も金縛り状態から脱した。次節のカープ戦からアリアスの一軍復帰という朗報もある。
また、平下晃司外野手と交換トレードでマリーンズから立川隆史外野手が入団してきた。俊足で馬力もある平下は、タイガースではその本領を十分発揮できたとは言い難いが、マリーンズでの活躍を期待したい。また、立川も手薄な右の代打としてぜひ活躍してほしいものである。
(2004年6月21日記)