愛すれどTigers


ホッジス初先発勝利で勝ち越しスタート

 甲子園での後半開幕戦は首位を走るドラゴンズ戦。初戦は落としたものの、2勝1敗と勝ち越し、まずまずのスタート。特に第2戦先発のホッジスが来日初登板で好投を見せたことは収穫だろう。これで首位に4.5ゲーム差、勝敗も勝ち越し1。7月は一気に勝ち越しを増やし、長期ロードに出る8月を5割でしのげば、終盤までもつれた展開に持ち込める。そうなると昨年優勝しているという経験も生きてくるだろう。今節がその始まりになることを願っている。

◎ドラゴンズ15回戦……3−4
 先発は必勝を期して井川。しかし、初回、藤本の一塁悪送球の間に1点を失うと、アレックスに右中間スタンドに叩き込まれる2ランでいきなり3点を失った。ドラゴンズはタイガース・キラーの山本昌を先発で起用。しかし、この試合はいつもの緩急とコントロールの冴えはない。1回裏、今岡と片岡の連打でチャンスを作り、金本の当たりはライトの深いところへ。しかし、スタンドには届かず犠牲フライでまず1点を返した。井川は4回表に福留に右中間スタンドにライナーのホームランを打たれ、4点目を失ったが、7回までなんとか抑える。5回裏にはヒットの藤本を井川が送り今岡の三ゴロの間に三塁に進む。赤星は投手前に叩き付ける当たり。これが高々と弾んで山本昌が捕球したときには三塁ランナーは生還。続く6回裏には四球のアリアスが意表をつく盗塁を決め、桧山のセンター前にぽとりと落ちるテキサス性のヒットで生還し、1点差に迫った。タイガースはマイヤーズ、桟原を投入し1点差を守る。ドラゴンズも落合、岩瀬の必勝リレーで臨む。9回裏、元タイガースのバルデスが登板。先頭の桧山がライト前にクリーンヒットで同点への期待がふくらんだが、代走の上坂が、矢野がバントの構えをしているのに単独盗塁を試みて柳沢に刺され、せっかくのチャンスをつぶしてしまった。
◎ドラゴンズ16回戦……15−1
 先発は来日初登板が先発のホッジス。初回、井端のヒットと福留への四球でピンチを招いたが、アレックスをサードゴロに打ち取って無得点に抑えた。ドラゴンズの先発は平井。初回いきなり今岡がレフト前ヒットで出塁すると、赤星もライト前に運んで続く。片岡が四球を選んで満塁に。金本はライトライナーに終ったが、桧山は内角ぎりぎりいっぱいのところを選んで最後には押し出しの四球で先制点を奪った。この日の主審嶋田は内外角に厳しく、投手にとっては辛いところだったかもしれない。これで気落ちしたかアリアスには甘い球。これを逃さずレフト前に運んで2点を追加、大きな3点が初回に入った。2回表には井上のヒット性の当たりを赤星がダイビングキャッチし、ホッジスを助ける。以後のホッジスは速球はさほどではなかったものの変化球を内外角に散らす投球でドラゴンズ打線を手玉にとる。2回裏、先頭のホッジスが来日初安打を放つと、赤星もレフト前に運んでチャンスを広げ、金本の二塁打で2点を奪い、さらに追い討ちの桧山のセンター前へのタイムリーでさらに1点を追加した。この日のタイガース打線に容赦はなかった。3回裏には藤本の甲子園初となるホームランで1点を加え、ヒットの今岡を赤星が三塁打で返して8点差に広げた。平井はこの回で降板。二番手の長峰には金本、桧山、アリアスが三者三振を食らってしまったが、三番手の紀藤からは6回に1死満塁から桧山のライト前への2点タイムリーにアリアスのレフトスタンドに叩き込む3ランで一挙5点を追加。四番手の小笠原からは7回裏に2死二三塁で金本がセンター前ヒットを放ちさらに2点を加えた。8回からはホッジスに代わって牧野、吉野とつないだが、吉野は左打者の井端、立浪に連続四球を出し、やはり左の福留にタイムリーを打たれるなど、まだ自信が戻らない様子。最後は金澤が締めて連敗をストップした。赤星の5打数5安打など、久しぶりの大勝であった。
◎ドラゴンズ17回戦……2−1
 下柳と野口の両ベテラン左腕の投手戦。どちらも持ち味の緩急をつけた投球で相手を寄せつけない。膠着したまま試合は終盤に。この緊張を破ったのは桧山だ。7回裏、スライダーを狙い撃ち、右中間スタンドに入る先制ホームランだ。動揺したか、野口はアリアスにまともにせめて2球目をセンター前に運ばれる。ここで投手交代。二番手は岡本。矢野がバントできっちり送り、藤本のセンター返しの鋭い打球は荒木のダイビングキャッチで内野安打にとどめられたが、代打葛城がライト前に運ぶタイムリーで2点めをたたき出した。8回表は安藤が、9回表はウィリアムスが登板。必勝リレーである。安藤は2三振を含む三者凡退。しかし、ウィリアムスは井端、立浪と先頭2人を歩かせて苦しい投球。福留はライトフライに打ち取ったが、アレックスには三塁線を抜けるかという鋭い当たりを打たれる。しかし、ここで往年の掛布を思わせるダイビングキャッチを見せたのは関本。三塁ランナーは生還させたものの、一塁ランナーを二塁で刺す。最後は英智を三振に打ち取り、なんとか逃げ切った。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……トレイ・ホッジス 新外国人がベールを脱いだ。典型的な打たせてとるタイプ。初先発を7回無失点で切り抜け、みごとな初勝利。今後のローテーションに大きく期待できそうだ。
野手……桧山進次郎 チャンスに弱いといわれ続けて来たが、ここで押し出し四球やタイムリー。そして先制ホームランと場面に応じた大活躍。昨年の4番打者が真価を発揮し始めてきたぞ。

 タイガース久万オーナーが1リーグ制反対の先頭に立った。渡邊恒雄を恐れない果敢な姿勢に、私は初めて鉄道男のど性骨を見せてもらった思いがする。渡邊恒雄に対して「放っておけ」「恐れるな」と言い切ったオーナーは久万さんが初めてなのでは。いやいや、久万オーナーをここまで動かした星野仙一SDの力の凄さに感服いたしまたよ。
 次節は横浜で前半大きく負け越したベイスターズ戦。後半戦はきっちりお返ししてくれるだろう。そして甲子園に戻って再びドラゴンズを迎え撃つ。一気にスパートをかけてほしいカードである。

(2004年7月19日記)


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