いよいよ夏恒例の長期ロードが始まった。広島市民球場のカープ戦は雨中止をはさんで2連勝。東京ドームのジャイアンツ戦は初戦をとって1勝1敗1分。ロード発進3連勝と幸先がよい。ジャイアンツ戦はリリーフ陣がしっかりしてたら3連勝できていた展開だっただけに、オリンピックで安藤が抜けた穴は大きいといわざるを得ないが、一時は勝率5割に戻し、なんとか4位でくらいついている。打線は調子が出てきただけに、ここで踏ん張ってほしいところだ。
◎カープ16回戦……4−1
下柳と黒田の投手戦。5回裏、下柳は石原にセンターバックスクリーンへのホームランを許したが、それ以外はランナーを出しながらも要所を締める好投。内外角に投げ分ける投球術はいつ見てもみごと。黒田もオリンピック直前ということで気合いの入った投球。タイガース打線では、ここというところでアリアスが3三振。ブレーキになっていた。9回表、先頭の片岡がライト前ヒットで出塁すると、金本がライトオーバーの二塁打で続く。桧山が歩いて満塁に。ここで矢野がレフトへ犠牲フライを打ち、同点に追いつく。アリアス凡退の後、藤本がライト前ヒットでつなぎ再び満塁。代打で登場したのはスタメンを片岡に譲った関本。ライト前にみごとに運んで勝ち越しの2点を加えた。中継ぎは藤川、安藤、締めくくりはウィリアムスとリリーフも踏ん張ってロードの初戦を飾った。この試合限りで安藤と藤本がオリンピック出場のために抜けることになった。
◎カープ17回戦……4−3
1回表、ベイルの乱調で1死満塁と攻め立てたが桧山、矢野と凡退し得点機を逸した。嫌な予感はしたが、右手裂傷が癒えて1ヶ月半ぶりの先発藪がその裏を三者凡退に抑えたことで流れを引き戻した。2回表、二塁打のアリアスを塁に置き、鳥谷がライト線へ先制のタイムリー二塁打を放つ。藪のバントはフィールダース・チョイスとなり、今岡がレフト前のタイムリーでさらに1点を加えた。さらに4回表、ヒットの今岡を二塁に置いて関本がライト線へのタイムリー二塁打。点差は3点に。藪は5回裏に勝ちを意識したか1死二三塁のピンチを招いた。代打の浅井にレフト前に運ばれ、金本がもたつく間に2者生還して1点差と迫られる。それでも8回表、三番手天野から代打片岡が二塁打を放つと、今岡がバントで送り、関本のレフト前ヒットで突き放す。8回裏に三番手の久保田が嶋にソロホームランを打たれて1点差とされたが、2死一二塁の場面でショートの久慈がゴロを横っ跳びでさばきオーバーランした走者を三塁で刺すファインプレーもあり、ウィリアムスが抑えてなんとか逃げ切った。8回表、桧山に佐竹がヘルメット直撃の死球を与え、あわや乱闘というシーンもあったが、この日桧山は2死球。先日のアリアスもそうだが、命にかかわるような危険球が続くと怒りすら感じる。
◎ジャイアンツ22回戦……9−4
初回、高橋尚から今岡がいきなりセンターバックスクリーンへ先頭打者ホームラン。ヒットの赤星がすかさず盗塁して攪乱すると関本もバックスクリーンへ2ラン。鮮やかな先制攻撃。しかし、井川は立ち上がりが不安定。先頭の仁志にヒットを許すとローズにタイムリー二塁打を打たれ、小久保を歩かせてペタジーニに逆転3ランを浴びた。しかし、この日の高橋尚は立ち直れない。3回表に今岡が2打席連続の同点ホームランをレフトスタンドに叩き込むと、金本がライトスタンドへライナーで飛び込む勝ち越しホームラン。井川はなんとか立ち直り、5回を投げて11奪三振とジャイアンツ打線をなんとか封じた。7回表には3番手前田から前日頭部死球の桧山がタイムリー二塁打で追加点を奪うと、8回表は中村、林から赤星の内野安打、関本の犠牲フライ、桧山のセンター前ヒットでさらに3点を追加。中継ぎでは藤川が好投し、吉野をはさんで締めくくりはマイヤーズ。きっちり抑えてロードの連勝を3にのばした。この勝利で、対ジャイアンツ戦の2年連続勝ち越しが決定した。
◎ジャイアンツ23回戦……5−5
初回、桑田から今岡がいきなりヒット。関本、金本と歩いて満塁に。桧山は凡退したがアリアスがレフト線へ先制の二塁打でまず2点。そし矢野がライトスタンドへ3ラン! 一気に5点というジャイアンツのお株を奪う打棒だ。福原は仁志にレフトスタンドに先頭打者ホームランを打たれたが、その後は5回まできっちり抑えた。一方の桑田も立ち直り、タイガース打線は追加点を奪えない。6回まで桑田をもたせてしまった。そし6回裏、阿部の3ランがレフトスタンドに。楽勝のはずが1点差になった。福原は8回裏に小久保を抑えたところで降板。万全を期してペタジーニに対してウィリアムスを起用したのが裏目に出た。センタースコアボードのネットまで飛ぶ同点ホームラン。今季、ジャイアンツ打線は福原に対して打てていないのだから、ここは最後まで投げさせた方が相手が嫌がったのではないか。延長12回、タイガースは久保田、吉野、金澤、マイヤーズとつぎこみ、10回裏あわやサヨナラの場面でも桧山が本塁に好返球して小久保を刺すなど必死の攻防。ジャイアンツはシコースキー、岡島、久保、前田、コーリーを投入。12回表には2死満塁のチャンスを作ったが、赤星がコーリーにレフトフライに打ち取られて決勝点を奪えず。楽勝のはずが引き分けに終ってしまった。繰り返すが、福原を信じて最後まで行くべきだった。
◎ジャイアンツ24回戦……9−10
なんだかめちゃくちゃな試合だった。赤星を外して三番に立川を入れた作戦は的中。初回、佐藤宏から今岡が死球を選び、立川と金本のヒットでチャンスを広げ、桧山の犠牲フライで先制したが、後続を断たれる。ホッジスはコントロールが定まらず1回裏、ローズの一塁ゴロを自らベースカバーに入りながらも落球したのをきっかけにピンチを作り、2死満塁。清水のセンター返しの打球は鳥谷が飛びついたが弾いて2者生還し、逆転を許した。さらに2回裏、1死二三塁で鈴木のショートゴロを鳥谷がホームに投げたが間に合わずフィールダース・チョイスで追加点を許した。それでもローズと小久保は緩い球で連続三振に打ち取りなんとか最少失点で抑えたが。4回表、矢野がレフトスタンドへ1点差に迫るホームランを放つも、その裏、小久保の犠牲フライと清水のセンター前ヒットで2点を奪われ3点差に広げられてしまう。タイガース打線は好調。5回表、代打赤星の二塁打を足掛かりに関本四球、そして立川が同点スリーランをレフトスタンドに叩き込む。さらには桧山が勝ち越しホームランをライトスタンドへ! 佐藤宏はこれでノックアウト。7回表には3番手コーリーから金本の2ラン、桧山の2打席連続となるソロホームランがいずれもライトスタンドに。タイガースのリリーフは2番手藤川が好投していたこともあって、これで逃げ切れるかと思われたが、7回裏、吉野がペタジーニ、清水と連続でヒットを許し降板、金澤が急遽マウンドに。二岡をピッチャーゴロに打ち取ったかと思ったがお手玉し満塁に。阿部の右中間を破る二塁打で1点差とされてしまった。そし8回裏、切り札ウィリアムスを投入したが、ローズ、小久保の連打でピンチを作る。それでもペタジーニ、清水と凡打に打ち取り二岡を迎える。二岡の打球はライト前のライナー。桧山がスライディングキャッチを試みるが、手元でわずかにワンバウンドし、2者生還してとうとう逆転を許した。二岡を歩かせて次の阿部で勝負してもよかったのだが……。ジャイアンツは先発要員の木佐貫まで投入して逃げ切る。2試合続けて勝てるゲームを逃したのは痛い。ウィリアムスはこの試合限りでオリンピックに。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藪恵壹 復帰の登板をみごと勝ち星で飾った。よく戻ってきてくれた。先発投手陣でたよれるのは下柳一人という状況なので、この復帰は大きい。
野手……関本健太郎 ホームランあり、決勝タイムリーありとチャンスに強い打撃をいかんなく発揮。右投手でも固定して起用し続けてほしいところだ。
鳥谷に少し覇気が感じられないのが気になる。藤本が戻ってきてもポジションは譲らないという気迫を感じたい。守備の要としての藤本が欠けたのは4番打者が不在となる他チームと同じくらい大きいのだ。安藤のポジションには藤川を起用すべきだろう。吉野と金澤では不安である。抑えはマイヤーズでなんとかいけると思うが。ウィリアムスの代わりにキンケードが昇格するらしいが、これでだめなら解雇ですぞ。長期ロード、不安は残るなあ。
(2004年8月9日記)