6連敗のあと2連勝という形で迎えた今節、大阪ドームのベイスターズ戦は今季初めての対ベイスターズ3連勝。そして甲子園に帰ってのカープ戦もみごとに3連勝。今節6勝0敗! しかも8連勝継続中で勝率も5割に復帰。3位ジャイアンツとの差も3.5ゲームに縮まり、Aクラスが見えてきた。長期ロードは9勝9敗1分と5割で終了、先発投手が試合を作れば、打線はそれなりに打っていたのだから、このまま先発が踏ん張りつづければ今後台風の目としてタイガースの戦い方が注目される。エンジンがかかるのが遅かったけれど、そこは昨年のチャンピオン、勝ち方を思い出したら止まらんぞ。
◎ベイスターズ18回戦……5−4
先発は下柳とマレン。下柳は初回2死から3連打を浴びて1点を失った。しかし、この日の打線は苦手のマレンを攻略。2回裏に金本が二塁打で出塁すると、アリアスがライト前に転がす技ありのヒットで返して同点にする。さらに3回裏、下柳が自らの二塁打でチャンスを作り、赤星がセンター前に転がしてつなぐ。関本のライト戦へのヒットで下柳が勝ち越しのホームイン。2死を取られたあと、桧山のセンター前タイムリー、さらに矢野もセンター前に弾き返してさらに2点を加えた。下柳はヒットを打たれながらも要所を締めるいつもの投球術で5回までは反撃を許さなかったが、6回表にT・ウッズにバックスクリーンに飛び込むホームランを打たれてリズムを乱した。二塁打の多村は金城の一塁ゴロで三進し、村田の犠牲フライで1点差に。ここでベンチは下柳に代えて金澤を登板させるが、伏兵鶴岡のプロ入り初ホームランで同点に追いつかれてしまった。そのあとタイガースは藤川を投入するが、四球を連発してピンチを作ってしまう。それでもなんとかT・ウッズ、多村のクリンナップを抑えて無失点で切り抜けた。ベイスターズも川村、山田の継投で勝ち越しを許さない。9回表に登板した久保田のT・ウッズ、多村から奪った連続三振が流れを呼び込んだ。9回裏、山田から矢野がレフトのフェンスに当たる二塁打を放ち、暴投で三塁に進む。アリアスはレフトの深いところに犠牲フライを打ち上げ、矢野がサヨナラ勝ちのホームを踏んだ。この日、アテネではウィリアムスが全日本の強打者を抑え込んで勝ち、日本の決勝進出を阻んだ。帰国してもこの調子でいってくれよ。
◎ベイスターズ19回戦……8−2
井川と吉見の両左腕は、3回まではともに失点を許さず投手戦の様相。ところが、4回表を三者凡退に抑えた井川が試合の流れを作った。4回裏、今岡と桧山のヒット、そして矢野の四球で1死満塁としてアリアスが前日に続く犠牲フライで先制。さらに鳥谷のレフト線への二塁打で2点を追加した。これで井川は楽になったと思われたが、5回表、鶴岡、内川のタイムリーで2点を失い1点差に詰め寄られる。無死一二塁のピンチが続いたが、石井、種田を凡打に打ち取り好調の佐伯も三振に切ってとってピンチを脱した。5回裏、二番手の土居から無死一二塁のチャンスで今岡は三塁ゴロ。ところが、T・ウッズが種田の送球を受けられず赤星が長駆生還して2点差に。6回裏にはヒットで出塁した赤星が今季40個目の盗塁を決め、関本のタイムリーで生還。7回裏は三番手秦からセカンド内川のエラーがらみで1点、8回裏にも桧山と矢野の連続タイムリーで2点と、着々と得点を積み重ねて8点という大量得点を記録した。井川はランナーを出しながらもチェンジアップをなんとか決めて6回以降は無失点。久々の完投で今季10勝目をあげた。
◎ベイスターズ20回戦……5−1
先発は藪と左腕の土肥。先制したのはタイガース。3回裏にヒットの鳥谷と四球の関本を塁に置き、センターオーバーの3ランホームランを放つ。藪は6回まで快調に飛ばしたが、7回表、無死からT・ウッズ、多村の連打でピンチを作った。金城をショートフライに打ち取ったあと、代打鈴木尚の打球は高いバウンドで三塁へ。内野安打かと思われたが、関本がサードベースに足をつけたままの体勢でゴロを捕球してホースアウト。この好守備に助けられ、代打古木を投手ゴロに打ち取って難を逃れた。二番手川村から7回裏に赤星のタイムリー、8回裏にも桧山のタイムリーで着々と点を加えて藪をサポート。完封勝利目前までいった藪だったが、9回表にT・ウッズにライトスタンドにホームランを叩き込まれ、多村にもヒットを打たれたところで久保田にスイッチ、完投も逃してしまった。久保田は速球主体で3者を凡退させ完璧なリリーフ。今季、ベイスターズに初の3連勝で、カードの年間負け越しを阻止した。
◎カープ21回戦……3−2
初回、カープ先発の佐々岡からいきなり赤星がライト線へ二塁打。関本のセカンドゴロの間に三塁に進み、今岡のライトへの犠牲フライでホームイン。先制点を奪った。しかし、そのあとは佐々岡のコントロール重視の投球術にはまり、追加点を奪えない。それでも7回裏、二塁打の葛城を福原がセンター方向に打ち返す二塁打で返して2点目をあげ、佐々岡を降板に追いやった。ただ、二番手の林の前に追加点をあげられず、福原を塁上に長く残したのが仇となってしまう。福原は今季最高といっていいできで、7回まで散発3安打無失点とカープ打線を寄せつけない。速球を高めに決めたかと思うと、落ちる球でしとめる。コントロールとテンポがよかった。ところが、自らのタイムリーで追加点をあげた直後の8回表、先頭の野村を内野安打で出塁させ、代打浅井の二塁打で無死二三塁のピンチ。代打東出のセカンドゴロの間に野村が生還して完封を逃す。尾形の打席でなんと暴投。浅井が同点のホームを踏んだ。岡田監督はなんとか福原に10勝目をあげさせたいとそれでも続投させる。その期待に応え、9回以降、延長11回まで投げてランナーを一人も許さなかった。ワトソン、玉木、大竹とつないでタイガースに得点を許さず試合は延長戦に。11回裏、大竹を攻めて2死一二塁のチャンスに赤星がレフト線へのヒットを放つ。二塁ランナーのアリアスは懸命に走ってホームを突くがタッチアウト。それでも試合の流れはタイガースに。12回表に登板した久保田が三者凡退に抑えると、12回裏、今岡がヒットで出塁し、金本のライナーは一塁ラロッカのエラーを誘い、打席には桧山。ライト線へ強烈なライナーのヒットを打つと、代走の野口がホームを駆け抜けてサヨナラ勝ち。久々の甲子園を沸かせた。
◎カープ22回戦……5−2
先制したのはカープ。初回、ホッジスから嶋がライトスタンドへソロホームラン。連勝ストップの不安がよぎる。しかし、打線は好調。河内から1回裏に赤星が四球を選び、すかさず盗塁。関本の一塁ゴロはラロッカが弾いてライト線へ。赤星は一気にホームインしてすぐに同点に追いついた。4回裏、矢野、鳥谷のヒットでチャンスを作り、2死から赤星がセンター前にしぶとく落として勝ち越しのタイムリー。5回裏には二番手佐竹から金本が痛烈なライナーをライトスタンド最前列に叩き込むソロホームランで2点差に。6回裏には、投手への強襲ヒットで赤星が出塁すると、関本との間でエンドランを仕掛ける。ショートシーツの逆を突いたセンター前ヒットで、なんと赤星は一塁から一気にホームイン。3点差に広げた。ホッジスはコントロールがよく、カープ打線の早打ちにも助けられ、7回表にラロッカのホームランで2点差にされるまで、なんとか失点を食い止めた。8回裏には五番手玉木から桧山がだめ押しのホームランをライトスタンドに運び再び3点差にする。最後は久保田が8〜9回を完璧に抑えて逃げ切った。ホッジスは久々の2勝目をあげたが、五輪帰りの安藤、藤本と入れ代わる形で金澤とともに二軍降格。
◎カープ23回戦……17−2
五輪帰りの藤本が先発ショート。2安打1失策とこれからの鳥谷とのポジション争いが楽しみな内容。カープ先発永川から2回裏、桧山の2ランで先制、さらに投手の三東にもタイムリーが出て3点を先取した。3回裏には桧山が前日から数えると3打席連続となる3ランをライトスタンドに運んで6点差として永川をノックアウトした。4回には二番手林からアリアスがセンター前の2点タイムリー、5回には四番手の広池から今岡のタイムリーと桧山のライト嶋のグラブを弾く三塁打性のエラーで3点を奪い、7回には五番手天野から金本の2点タイムリー、矢野の2ラン、藤本のタイムリーで5点を奪い、8回には六番手小林から矢野のタイムリー内野安打で1点を奪って、19安打17得点。いやもう、カープの選手はすっかり戦意喪失の体。三東は4回表に嶋のソロホームラン、5回表に尾形の犠牲フライで2点を失ったものの、味方打線の大量得点に助けられて6回を投げきり2勝目。登板感覚のあいた藤川、中村泰、安藤を1イニングずつ投げさせる余裕の継投で8連勝。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 ピンチにも速球でぐいぐいと攻め、2勝1セーブの荒稼ぎ。安藤とウィリアムスが帰ってきたので、今後は先発ローテーション入りもあり得る。たびたびの故障を乗り越えて剛球トルネードが完全復活だ。
野手……桧山進次郎 サヨナラヒット、3打席連続ホームラン、毎試合のように打点を稼ぐ。勝負強さがここにきて戻ってきた。
連勝が続いて波に乗るタイガースは、ドラゴンズとナゴヤドームで3連戦。前回3連敗したカードであるが、ドラゴンズが調子を落としているだけに、一気に飲み込みたい。また、この勢いが本物かどうかもわかるはずだ。そして週末は甲子園最後のジャイアンツ2連戦。Aクラスに入れるかどうかもここにかかってくる。何やら山場を迎えたという感じになってきたぞ。
(2004年8月30日記)