愛すれどTigers


鬼門ナゴヤドームで3タテくらう

 岡田監督が、8連勝の勢いにのってドラゴンズに連勝しようとローテーションを崩した。井川と下柳の順番を入れ替え、ジャイアンツに強い福原をあえてドラゴンズにぶつけた。結果は3連敗。甲子園に戻り、藪をたてたが1敗。最終戦は降雨ノーゲーム。せっかくの8連勝も4連敗してしまったのでは意味がなくなってしまった。先発投手のローテーションをきちっと守らなければ、長生が微妙な投手陣は混乱するだけである。いわばセオリー無視の奇手をさして失敗したといえるだろう。負けるべくして負けた4試合だった。唯一ローテーションを守られた三東が好投の兆しを見せたところでノーゲームというのもこたえた。ローテーションの厳守ということを、岡田監督には来季への教訓としてほしいのである。

◎ドラゴンズ24回戦……3−9
 先発は井川と川上。井川はこの顔合わせでは1勝しかしていない。相性の悪さがそのままでた。初回、立浪のタイムリー二塁打でいきなり先制されると福留に2ランを浴びていきなり3失点。3回にも立浪の二塁打と福留のセンター前ヒットの2本のタイムリーでさらに2点を失った。3回5失点であえなく降板。しかし、タイガース打線はしぶとく川上に立ち向かう。4回表、関本、今岡の連打でチャンスを作ると金本のレフト前ヒットで1点、桧山の左中間フェンス直撃の二塁打で1点、矢野のライトへの犠牲フライで1点と、一気に3点を奪う。押せ押せムードだったがアリアス三振、藤本敬遠、代打片岡三振で、ここで同点に追いつけなかったのが痛かった。二番手の桟原が踏ん張れば試合はわからなかったが、4回裏、なんと川上に2ランをライトスタンドに叩き込まれてしまう。5回裏、三番手の中村泰は押し出し死球で1失点、7回裏、マイヤーズが満塁から暴投で1失点と、リリーフ投手がことごとく失点していたのでは勝機はつかめない。ドラゴンズは川上を7回で降板させて久本、遠藤とつなぐ。5回表には1死一塁で今岡がセカンドゴロ併殺、6回表には1死一二塁のチャンスでアリアスがサードゴロ併殺と、せっかくのチャンスをいかせなかったのが響いた。
◎ドラゴンズ25回戦……1−4
 岡田監督の奇策が空振りに終った。八木を二軍に落としてかわりに上げた的場をいきなり先発一塁に起用。不振のアリアスの代役にはならずノーヒットに終る。
 3回まで快調に投げていた下柳が4回に崩れた。立浪に二塁打を打たれたもののアレックスを三振に打ち取り、打者は福留。2ストライクと追い込んで、内角の厳しい球を投げ込むと、福留は打ちにいって投球を左手に当てた。明らかに振っている。球がストライクならば投球が当たっても死球ではない。にもかかわらず主審の橘高は死球を宣告。福留は骨折退場した。三振であると岡田監督も抗議したが、判定は覆らない。これで下柳は頭に血がのぼったか、続く打者たちにこれでもかと勝負を挑む。英智、山本昌、荒木のタイムリーを浴びて4点を失い、降板。一つの判定が試合を大きく変える。タイガース打線は山本昌に相変わらずのらりくらりと投げられて凡打を繰り返す。7回表、今岡がセンター左のホームランで1点を返して山本昌を降板させたが、岡本、平井、岩瀬の必勝リレーに後続を断たれた。下柳の後を受けた藤川の好投も流れを呼び寄せるところまではいかなかった。この試合からウィリアムスが復帰して無失点で五輪銀メダルの貫禄を見せた。
◎ドラゴンズ26回戦……4−5
 勝ったと思った試合も、1球で暗転した。初回、小笠原から今岡のタイムリーで1点先取した。福原はその裏にアレックスのセンター前タイムリーですぐに同点に追いつかれる。しかし、この日のタイガース打線は雪辱に燃えていた。2回表、矢野が死球を受けて退場。これは前日の福留への1球のお返しではないのか。もしそうだとたら許せない死球である。藤本がレフト前ヒットで続く。2死となってから赤星がライト前ヒットで勝ち越しの1点、さらに関本がライトへの二塁打で2者を返す。一気に3点差をつけた。3回にも先頭の金本が三塁打を放ち押せ押せムード、しかし、桧山、野口と凡退し、的場は三振でチャンスを逸した。これで流れはドラゴンズに向いてくる。5回裏、1死二三塁から立浪のレフト前ヒットで1点を失った福原が、アレックスとまともに勝負。真ん中に入った球をアレックスは逃さずレフトスタンドへの逆転3ラン。ドラゴンズは5回以降、久本、落合、岡本、平井、岩瀬と1イニングずつの継投でタイガース打線を沈黙させた。タイガースも勝ちパターンの久保田、藤川を投入してドラゴンズに追加点を許さなかったが……。一気に差を縮める奇跡を呼ぶ3試合になるはずが、みじめな3連敗となってしまった。結局的場は2試合で二軍落ち、若い捕手の狩野が代わりに昇格したが、これではなんのために的場を昇格させたのかわからない。
◎ジャイアンツ25回戦……1−2
 この試合も1球に泣いた。藪は速球主体の強気の投球、久保も速い球で押してくる。5回まで両チームとも1安打ずつという完全な投手戦。6回表、ローズのレフト前ヒットでランナーを背負いながらも小久保をセンターフライに打ち取って2死に追い込む。ここで高橋由に1−3からストライクを取りにいった球を狙い打ちされ、センターへの2ランで先制された。7回裏、今岡、金本の連打でチャンスを作ると、ここまで不振が続いていたアリアスがセンター前へ打ち返し1点差に詰め寄るタイムリー。しかし、死球の影響が残る矢野は三振、藤本もファーストゴロで追いつくことができない。タイガースはウィリアムス、安藤の五輪組をつぎこんでジャイアンツの追加点を防いだが、ジャイアンツは岡島、中村を投入し、最後は木佐貫が150kmを超える速球をびしびしと投げ込んできてタイガースの反撃を封じた。死球の影響が残る矢野を無理につぎこむ必要があったのか。野口でもよかったのではないか。なお、この試合で金本が通算1000三振を記録した。
◎ジャイアンツ26回戦中止……1−0(降雨のためノーゲーム)
 先発は三東と林の両左腕。三東は初回に2死一二塁のピンチに高橋由を三振に打ち取る好発進。その裏、今岡がレフトスタンドに先制ホームランを叩き込む。しかし、2回表の途中から降雨が激しくなり、降雨ノーゲーム。今岡のホームランは幻と消えた。天の運からも見放されたような気分である。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 負け試合でも常に最善をつくし、ゲームを作っていった。この好投が報われる時がきっとくるはずだ。
野手……該当者なし ここであと1本というところで打線が得点できない。この連敗中はどの選手も好調を維持できずに終り、やむなく該当者なしとした。次節の奮起に期待したい。

 次節は甲子園でのスワローズ戦、横浜でのベイスターズ戦と、ここで今節の連敗を少しでも挽回してほしい。気になるのはローテーションだ。順番を変更したローテーションでそのままいくのだろうが、奇手を使わず、オーソドックスな野球を展開してほしい。8連勝した時の感触を思い出してほしいのだ。なぜ連勝できたのか。それはきっちりと正攻法で試合をしていったからなのだ。

(2004年9月6日記)


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