愛すれどTigers


ストライキ突入、ゆれる球界

 甲子園でのドラゴンズ戦は1勝1敗。神宮球場でのスワローズ戦は選手会のストで2試合が中止となり、週明けの1試合のみとなったがその試合を落として1敗。今節は1勝2敗と負け越して、勝率5割まであと4勝と一歩後退。それにしても、新聞やテレビの話題はストライキのことばかり。選手だってやりたくてやったストではあるまい。このように球界全体が揺れている状態で行われる公式戦は、なにか痛々しささえ感じさせてしまう。次節もこういう調子が続くとなると、ファンとしても辛いところである。

◎ドラゴンズ27回戦……3−4
 井川と川上のエース対決。2回裏に桧山の二塁打で先制、3回裏には金本のタイムリーで2点目、5回裏には今岡のタイムリーで3点目と着実に得点を重ねていく。井川は8回まで速球が冴える安定感のある投球。このまま完封かと思わせた。ドラゴンズも6回以降は小刻みな継投でタイガース打線をかわしていった。9回表、先頭の立浪に打たれたヒットが井川のペースを乱したか。谷繁にもレフト前に運ばれ、代打に高橋光が起用された。井川の球は魅入られたように真ん中へ。高橋光の打球はレフトスタンドに吸い込まれていった。一瞬にして同点に……。これで井川は降板する。嫌なムードを久保田が断ち切り、延長戦に。10回表から安藤が登板。10回はきっちりと抑え、11回も先頭の立浪にヒットは打たれたがアレックスを併殺に打ち取って一安心。これが逆に安藤にすきを作ったか、谷繁は初球をセンターバックスクリーンに持っていく。よもやの失点である。11回裏には岩瀬が登板。しかし、調子はよくなく、1死一二塁のチャンスを作ったが、気負い過ぎた金本は三振、桧山も一塁ゴロに倒れて悔しい敗戦。まさか、こんな負け方をするとは……。
◎ドラゴンズ28回戦……2−0
 福原が好投。4回表に立浪の打球を足に当てるアクシデントもものかは、低めにていねいに投げる投球で7回までドラゴンズ打線を0点に抑えた。ドラゴンズの先発は苦手の山本昌。しかし、2回にアリアスが先制ホームランを放ち、7回にはヒットの鳥谷を久慈が送って赤星がライトオーバーの三塁打で返し、2点目を奪う。8回からは久保田、ウィリアムスがドラゴンズ打線を寄せつけず、みごとな完封リレー。今季のドラゴンズ最終戦をみごとな白星で飾った。福原は新人の年以来の年間10勝を達成した。
◎スワローズ24回戦……3−4
 先発は最優秀防御率のタイトルを狙う藪。首脳陣も野手もそんな藪の後押しをしようという感じで、初回に高井から今岡がバックスクリーン上に叩き込む先制2ラン。ところが、藪はコントロールが甘く、その裏にすぐ追いつかれてしまう。宮本にレフトポールぎりぎりに運ばれ、ホームランで1点、さらに岩村、古田の連打でランナーをためてラミレスに同点タイムリーを三塁線に打たれてしまう。続く鈴木の外野フライでフルタがホームをつくが、これはタッチアウトで逆転を阻止した。3回表、タイガース打線が高井を攻める。関本、今岡の連打と金本の四球で1死満塁。打者桧山の2球目を古田がはじいて難なく勝ち越しのランナーを迎え入れた。しかし、桧山は内野フライ、アリアスは深い当たりのショートゴロを宮本のファインプレーで打ち取られ、追加点が奪えず。高井をつぶせるチャンスだっただけに、この攻撃は痛かった。藪はランナーを出しても要所は締めていたが、5回表に味方がチャンスをつぶして点が取れないと、そこで打たれるという悪癖をまたみせてしまう。2死から宮本を歩かせ、岩村のレフトフライは風に乗りふらふらとスタンドに。神宮球場ならではのホームランで逆転されてしまった。6回以降は三東、藤川、安藤とつなぎ、なんとか失点を防ぐ。藤川は8回にピンチを招くがラミレスのあわやセンター前タイムリーという当たりを藤本が好捕、バックトスで今岡に送ってみごと併殺に打ち取った。スワローズも6回以降は小刻みな継投で9回表に五十嵐亮をつぎこむ。今岡のヒット、桧山の二塁打でチャンスを作り、アリアスは敬遠。2死満塁で打者は矢野。ここまで150キロの剛球がなかった五十嵐亮が、矢野には158キロの速球を次々と全力で投げ込んできて矢野も振り遅れ空振りの三振……。後一歩で及ばぬ13残塁。気迫のこもった好ゲームだっただけに、勝ちたかったなあ。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 新人の年の10勝はリリーフばかりで勝ち星を拾ったものだったが、今季の10勝はプロ入り初めて年間通じてローテーションを守ってのものだけに、値打ちがある。遅すぎた感はあるが……。
野手……関本健太郎 後少しで規定打席達成というところまできているが、影の首位打者といっていいほどの高打率を維持している。ストの影響を感じさせない好調さである。

 次節は広島市民球場でカープと3連戦。週末の東京ドームの試合は、ストでなくなるかもしれない。なんだかんだいってやっぱりジャイアンツ戦は楽しみなだけに、経営者サイドが柔軟な姿勢を見せて、球界縮小という方向性だけはなくしてほしいところだ。こういう話題だけでさらに1週間もめるのはもうたくさんなのだ。

(2004年9月20日記)


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