愛すれどTigers


金本、打点王への3ラン

 広島市民球場のカープ戦は2連敗のあと、雨中止。新規の球団参入への道が開けたため、週末のストは回避され、東京ドームのジャイアンツ2連戦は1勝1敗。今節は1勝3敗と大きく負け越して勝率5割、そしてAクラス入りの希望がどんどん遠のいていく。残る望みは個人タイトルのみという寂しい状態になってきた。こういう時こそ、来季に向けての岡田監督の采配ぶりが問われるところだ。東京ドームで金本が3ランを打ち、ライバルに3打点差をつけてトップに躍り出た。赤星の盗塁王と井川の奪三振王はほぼ確定的なだけに、金本が初めての打点王を獲得すれば、少しは溜飲が下がる。なんとか楽しみを見つけて応援を続けていきたい。なんだか例年のタイガースに戻ってしまったね。

◎カープ24回戦……5−8
 初回、黒田から桧山の先制二塁打で先手をとる。しかし、井川は2回裏に石原に逆転二塁打を許してしまう。それでも3回表、桧山の2打席連続タイムリー二塁打と、アリアスのセンター前タイムリーで2点を返して再びリード。と、思ったら、その裏シーツに2ランを打たれてあっさりとまた逆転されてしまった。5回裏には新井に3ランを浴びて、井川はノックアウト。初回は速球主体で期待をもたせた井川だったが、チェンジアップを多投し、それを狙われてしまった。速球が決まればこそのチェンジアップだ。二番手のマイヤーズは7回に嶋のソロホームランでだめ押しの8点めを取られた。リードをもらった黒田は回を追うごとにコントロールもよくなり、打たせて取るていねいな投球。9回から登板の大竹から桧山が2ランを放ち、アリアス、片岡の連続四球でチャンスを広げたが、鳥谷三振でゲームセット。こういうところで打てないようだと、来季のレギュラーは難しかろう。
◎カープ25回戦……2−3
 初回、ベイルを2死満塁と攻め立てて、アリアスがセンター前に先制の2点タイムリーを放つ。福原も立ち上がりは上々の投球。ところが、3回裏に森笠のタイムリー三塁打とシーツのライト前タイムリーで同点に追いつかれる。4回には1死満塁から森笠の二塁ゴロの間に勝ち越しの走者を返され、厳しい展開。しかし、福原はそのあとは立ち直り、6回3失点でマウンドをおりた。ベイルは2回以降立ち直り、速球が冴えて6回表には三者三振という投球。2回以降は3安打しか打てず、完投を許してしまった。リードをもらっても吐き出してしまう福原の課題は、1年間通してローテーションを守るためのスタミナか。今年の経験が来季に生きることを期待している。
◎ジャイアンツ26回戦……12−6
 ジャイアンツの先発林にタイガース打線が牙をむいた。初回、関本が先制ホームラン。二塁打の今岡を金本がセンター前ヒットで返して今季100打点目。桧山がレフト前ヒットでつなぎ、アリアスの犠牲フライで金本が生還して3点目。矢野も二塁打で続き、この回一挙4点。2回表には今岡の犠牲フライで5点目を奪い、3回表には矢野のレフトスタンドへの2ランで林をノックアウトした。4回表には二番手の佐藤宏が餌食に。今岡、桧山のタイムリーのあと、矢野の右中間への3ランでこの回一挙5点。なんと12点差と大きなリードとなった。三東は慣れない大量リードで調子を崩したか、4回裏にはローズと小久保のタイムリー、5回裏にはローズのタイムリーと高橋由の3ランで6点を返され、勝ち投手の権利を持ったまま降板した。あとはタイガースの誇るリリーフ陣を投入だ。桟原、藤川、久保田、安藤とつないでジャイアンツ打線を抑え切る。こういう試合で登板感覚のあいているウィリアムスを投入しないでいいのかなとも思ったが。ジャイアンツの投手陣も5回以降はリズムを取り戻したか、タイガース打線を完全に抑え込んだ。こういう展開になると、打者がだんだん大振りになるのが気になる。とはいえ、これで今季ジャイアンツ戦の16勝目。煮え切らない1年だったが、ことジャイアンツ戦に関しては気持ちのいい試合の多いシーズンだった。
◎ジャイアンツ27回戦……4−8
 藪が初回につまらない失点。2死からローズを歩かせ、小久保にレフト前のポテンヒット。打者高橋由を迎え、ローズの離塁が大きく矢野が二塁に牽制球を投げるが、鳥谷が取れずにボールはセンター前へ。これでローズは一気にホームを突いて先制される。高橋由にもタイムリーが出て、やらないでもいい2点を先制されてしまった。ジャイアンツの先発は新人左腕の内海。縦に割れる大きなカーブに幻惑され、なかなか点を取れない。それでも4回に2連続四球でチャンスを作り、桧山のタイムリーで1点差とした。ところが、藪は5回に仁志にレフトスタンドにソロホームランを打ち込まれて再び2点差に広げられる。この失点で防御率1位から大きく離れてしまった藪は、6回まで投げて降板した。内海に手を焼いていたタイガース打線だったが、8回表にとうとうつかまえた。関本、今岡の連打で追い込み、金本の逆転3ランがレフトスタンド最前列に飛び込む。プロの厳しさを教えるかのような3ランだった。これで金本は打点王争いの単独トップにたつ。8回裏、満を持してウィリアムスを登板させたが、高橋由にいきなりセンターバックスクリーン上段への同点ホームランを浴びると、あとはめろめろ。2四死球でピンチを招き、甘く入った球を仁志に痛打されて勝ち越しを許す。清水のショートゴロは鳥谷が少しお手玉をしてしまい、内野安打になる。満塁のピンチでローズに右中間を破る長打を打たれて3人とも生還し、この回5失点。ウィリアムスは誤算だったが、登板間隔があきすぎていたこと、高橋の同点ホームランの時点ですぐに交代させなかったことなど、岡田監督の投手起用の失敗ともいえるのではないか。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 勝ち負けに関係なく、安定したリリーフ登板。たとえ打たれても次の試合に引きずらない切り替えの早さは、抑えの切り札として使いたいところだ。大器がようやく開花しようとしている。
野手……金本知憲 狙え、打点王。めざせ、3割30本100打点。

 ドラゴンズにマジックナンバーがともった。ストの代替試合がないため、マジックナンバーは3。連覇というのはことほど左様に難しい。
 キンケード、モレル、ホッジスの3選手が帰国。解雇は決定的となった。外国人選手の見きわめの難しさを今年は久々に感じた。逆に、明治大のエース一場のタイガース入りがほぼ決定的になったという朗報もある。来季は井川、福原、三東、一場、安藤、杉山、江草、筒井と若い投手たちでローテーションが組めそうだ。藤川はリリーフエースに抜擢してもいいだろう。下柳、桟原、久保田、吉野、ウィリアムスが中継ぎとして機能し、リガンが復活すれば、新外国人投手も不要となろう。藪? メジャーに行きたいのでしょう。快く送りだしてやろうじゃないか。というわけで、次節から11連戦。若手投手たちにとっては大きなチャンスが待っている。

(2004年9月27日記)


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