愛すれどTigers


金本1500本安打達成、開幕勝ち越しスタート

 大阪ドームでのスワローズとの開幕3連戦、初戦は井川を引っ張り過ぎて大差で敗れたが、そのあとは打線が爆発して連勝。開幕カードは2勝1敗と勝ち越し、まず順調な滑り出しを見せてくれた。4番の金本は第2戦で坂元からプロ通算1500本目のヒットを放ち、早くも3戦で2本のホームラン。オープン戦でなかなか正体を見せなかったスペンサーもタイムリーにホームランと勝利に貢献。シーツにも連勝を決める逆転ホームランが出るなど、この3連戦で先発出場した選手全てがヒットを放った。リリーフ陣も楽な展開の中で開幕最初の登板をさせて馴らし運転という余裕のあるリレーもできた。まず上々の滑り出しである。

◎スワローズ1回戦……1−6
 先発の井川は4年連続の開幕投手。これはタイガースでは小林繁投手以来のことだという。初回、スワローズは鳥谷の早大時代のチームメイトである青木にヒットを許し、盗塁され、また矢野の二塁送球がそれて三塁にまで進まれ、岩村の犠牲フライで先取点を取られてしまった。それでも2回裏、スワローズ先発の石川からスペンサーが来日初安打を放つと、鳥谷がレフト線へ二塁打。スペンサーは一気にホームへ突っ込んだ。しかし、これは暴走となり本塁で憤死。それでも4回裏に金本がライトスタンドへ飛び込む今季第1号のホームランを放って同点とする。しかし、この日の井川は得意のチェンジアップが決まらず、6回表に内野安打と四球でランナーをためると、青木に三塁線にうまくバントを決められ、岩村の2点タイムリーで勝ち越し点を与えてしまった。そろそろ替え時と思われたが、岡田監督は動かず。8回表には宮本を一塁において青木がみごとなプッシュバントを決め、井川はどこにも投げられずオールセーフ。そしてラミレスに決定打となる3ランホームランを打たれ、突き放された。タイガース打線は石川ののらりくらりした投球に幻惑されて5回以降は完全に抑えられ、8回からは石井、五十嵐の必勝リレーで逃げ切られてしまった。井川のプライドを尊重したのかもしれないが、交代が遅かった。せっかくすばらしいリリーフ陣がいるのだから、勝ちにいくリレーを見せてほしかった。井川に代わって登板した新人の橋本が無失点で切り抜けたのが収穫。
◎スワローズ2回戦……9−1
 タイガース打線が初回からスワローズ先発の坂元をとらえた。2死からシーツがレフトのラミレスを襲う飛球。ラミレスはいったんグラブに当てたがこれを弾き二塁打となる。金本が四球を選ぶと、今岡が左中間を破る走者一掃の二塁打で2点先取。続くスペンサーもレフト前に弾き返して今岡を迎え入れ、まず3点。3回裏にはヒットのシーツを金本が通算1500本安打となる三塁打で返し、スペンサーがタイムリー二塁打で続く。鳥谷も右中間を破るタイムリー二塁打、矢野はセンター前にタイムリーと坂元をつるべ打ち。3回でマウンドから引きずりおろした。4回裏には佐藤賢から金本の二塁打、今岡の犠牲フライで2点を奪い、前半で9点差をつける。福原は大量得点に浮かれることなく力のある速球とスライダーでスワローズ打線を翻弄し、7回を投げて5安打無失点の好投を見せた。6回表には1死一二塁のピンチで岩村のセンター返しの打球を鳥谷がスライディングキャッチ、バックトスで二塁ベースカバーの藤本に送ると、藤本もそれを素手で捕球して一塁ランナーを封殺するというファインプレーで福原を助けた。8回表、先発要員の安藤をマウンドに馴らさせるためか登板させた。交代直後に代打ユウイチのバックスクリーンへのホームランを浴びたものの、安藤はそのあとは落ち着いて低めをつき、その失点だけで最後まで投げ切った。一昨年のつなぐ野球を見ることができた。これで弾みがつくとよいが。
◎スワローズ3回戦……9−5
 初回、スワローズ先発の高井からシーツが犠牲フライを打ってまず1点先取。しかし、プロ入り初登板の先発能見は2回をノーヒットに抑えたが、3回表に投手の高井に同点のバックスクリーンへのソロホームランを浴びるとリズムを狂わせ、ストライクを取りにいく投球に変わってしまう。宮本の二塁打、青木のバントヒットでピンチを作り、岩村を歩かせて満塁に。ラミレスの2点タイムリーと鈴木健の犠牲フライでこの回4失点。続く4回表には宮本にソロホームランを打たれ、この回限りで降板した。流れを変えたのはスペンサーだった。4回裏、左中間スタンドに反撃のきっかけとなるソロホームランを放つ。続く鳥谷はピッチャー横へ高いバウンドのゴロを打つが、全力疾走で一塁を駆け抜けて内野安打にした。矢野が四球を選び、代打には久慈。バントを決めようとしたが、これは三塁でランナー封殺。流れが止まったかと危惧したが、赤星がライトへのタイムリーで引き戻す。藤本の左中間を破る二塁打で1点差に迫り、高井はここで降板。つないだ河端から、とどめはシーツのレフトスタンドへの逆転3ラン。5回表は吉野、橋本をつぎこんでリードを保ち、4番手の藤川にスイッチ。2イニングを投げた藤川に勝ち星がついた。6回裏、3番手の山本から金本が自らの誕生日を祝うかのようなライトスタンドへ叩き込む2ランでダメ押しをする。最後はウィリアムス、久保田を1回ずつ投げさせてマウンドに馴らさせる余裕も見せた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 初戦の負けで嫌なムードになっていたのを払拭する好投。速球の威力とスライダーのコントロールが絶妙で、今季のチーム初勝利を呼んだ。井川よりも頼れるエースとなるかもしれない。
野手……金本知憲 初戦の同点ホームラン、2戦目のタイムリー三塁打、3戦目のダメ押しホームランと、4番の貫禄を見せつけてくれた。1500本安打達成にバースデイ・ホームランと縁起もよい。ヒーローインタビューでは「明日は27歳の誕生日で」と、10歳サバを読んで観客をわかせていたが、若々しいプレーは年齢を感じさせない。

 まずはいい形で開幕した。次節は、開幕からジャイアンツに3連勝したカープと広島で対戦し、昨年やられたベイスターズを甲子園に迎える。カープには調子に乗せないようにしたいし、ベイスターズには昨年の借りを返したいところ。下柳、安藤、太陽あたりが先発してくると予想されるが、2勝1敗のペースで着実に勝率をあげていってほしい。
 とにかく序盤でつまずかなければ、最後まで優勝争いに加われるだけの戦力があるのだから。

(2005年4月4日記)


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