愛すれどTigers


井川マリーンズを完封、4連勝

 千葉マリンスタジアムで、パ・リーグ首位のマリーンズに挑戦、2連敗したあと、井川の今季初完封で1矢むくい、1勝2敗。甲子園での初めての交流戦はゴールデンイーグルスが相手。パ・リーグ最下位に低迷するイーグルスに3連勝し、今節は4勝2敗と勝ち越した。連敗した時は勝率5割ちょうどまでに落ちたが、そのあとの連勝で「貯金4」とし21勝17敗1分で首位ドラゴンズに1ゲーム差と肉迫している。井川の完封から流れがきた感じであるが、こういう働きをしてこそエースだろう。
 なお、4月の月間MVPに赤星外野手が選出された。赤星は初受賞。盗塁王と首位打者のダブルタイトルをめざしてこのまま駆け抜けてほしい。

◎マリーンズ1回戦……0−3
 先発の福原は初回、サード今岡のエラーで出塁した小坂に盗塁を決められ、堀のファーストゴロで進塁したところを福浦のタイムリーで返され、先制の1点を許した。3回裏には小坂に二塁打を打たれ、堀のセンター前タイムリーで2点目、4回裏には今江のタイムリー二塁打で3点目を奪われた。しかし、5回以降はよく踏ん張り、完投。ただ、打線は小野からヒットは打つが肝心のところであと1本のヒットが出ず、7回途中からは藤田、薮田の中継ぎに封じられ、最後は小林雅から2安打を放つも濱中が併殺打で試合終了。手も足もでないという感じではなかっただけに、ゲームを作った福原を見殺しにしたのは残念。特にスペンサーと矢野がノーヒットに抑えられ、ブレーキとなった。
◎マリーンズ2回戦……1−4
 先発は杉山。2回裏に伏兵里崎の先制ホームランを浴びる。3回裏には2死から西岡にヒットを打たれ盗塁を許し、堀がレフト前ヒット、これを金本が大きくはじいて西岡は楽々ホームイン、2点目を奪われた。6回裏には堀のショートゴロを鳥谷がエラー、福浦を歩かせた後、ベニーにセンター前に弾き返されて3点目を奪われる。7回にも今江にタイムリーを打たれ決定的な45点目を失いこの回限りで降板した。打線は小林宏のストライクをどんどんとってくる積極的な攻めの投球に圧倒され、7回まで7安打を放ちながら無得点。8回表、とうとう反撃がはじまった。赤星を二塁に置き、関本が左中間にタイムリー二塁打。クリーンアップに打順がまわってきた。ここでバレンタイン監督は薮田を投入。シーツ、金本、今岡と三者三振に切って取られた。金本がさんざん粘って三振した後の今岡への初球は真ん中にはいる甘い球だったが、それをなす統べなく見逃した時点で、今岡はどう打つべきか悩んでしまったという感じだ。最後は小林雅に完璧に抑えられ、2連敗。濱中が3安打しても、続く矢野のところでことごとく抑えられたのが痛かった。赤星や関本に走塁ミスがあり、これだけミスを重ねたら敗れるべくして敗れたといっても過言ではないだろう。
◎マリーンズ3回戦……3−0
 井川のチェンジアップが冴え渡る。初回、ルーキー久保から金本の2ランで先制をし、そのうらに連続ヒットでピンチを作るも井川はベニーを併殺に切ってとり、ピンチを脱した。そのあとは井川と久保の投手戦。しかし、この日の井川はよく粘り、マリーンズ打線を手玉にとった。8回途中から登板した三番手山崎から、9回表に鳥谷の二塁打でだめ押しの1点を奪い、勝利を確実なものにする。井川は雨の降る中、今季初完封。この日の捕手は野口で、昨年ノーヒットノーランを達成したバッテリーならばこその完封勝利だった。
◎ゴールデンイーグルス1回戦……9−1
 1979〜81年に着用していた「復刻ユニフォーム」に身をまとっての甲子園初交流戦。イーグルスの先発はルーキー一場。初回、死球の赤星を関本が送り、シーツがレフト線に先制二塁打を放つ。しかし、タイガースの先発安藤は直後の2回表に関川の二塁打ですぐに同点に追いつかれた。3回裏、二塁打の赤星を関本が送り、シーツが再びあと少しでホームランという大きな当たりのレフトオーバーの二塁打で返して再びリードを奪う。5回までは両投手が踏ん張り、投手線の様相。しかし、6回裏、ヒットと2つの四球で2死満塁と一場をせめたて、金本が押し出しの四球を選ぶ。ここでたまらず田尾監督は玉木にスイッチしたが、今岡がセンター前の2点タイムリーを放ち、試合を決定づけた。さらに8回裏、かつての同僚谷中から金本のタイムリーと今岡の3ランで4点を奪い、藤川、ウィリアムス、江草のリレーでイーグルス打線を沈黙させ圧勝。安藤は今季2勝目。
◎ゴールデンイーグルス2回戦……5−1
 先発下柳は初回に伏兵高須にソロホームランを打たれて先制される。しかし、イーグルスの先発ラスを3回裏につかまえた。関本を塁に置き、シーツが二塁打で返して同点、今岡にもタイムリーが出て逆転した。4回には四球の鳥谷が盗塁し、下柳が送り、赤星の浅いセンターフライで鳥谷は本塁につっこむ積極的な走塁で3点目を奪った。7回裏には二番手有銘から四球の赤星、三塁トレーシーのエラーで出塁した金本、四球の今岡を塁に置き、とっておきの代打濱中が登場、期待に応えるレフト前2点タイムリーで勝負を決めた。7回に登板の二番手藤川はトレーシー、川口、酒井を三者三振に切ってとる好リリーフ。橋本がつないで最後は久保田が締めくくった。4勝目の下柳は珍しくお立ち台に登場。チームメイトもダグアウトに残ってヤジをとばす。調子は「ぼちぼちです」。球が低めに集まったのは「たまたまです」。お立ち台に登った感想は「恥ずかしいです」。誕生日を迎えるが「自分の誕生日なんかどうでもいいです」。ファンに対して「御声援ありがとうございました」。実に素っ気無く、それがいい味を出していた。感激の面もちでインタビューを受けた濱中との対照がおもしろかった。
◎ゴールデンイーグルス3回戦……7−4
 初回、イーグルス先発のエース岩隈から金本がライト線にタイムリー二塁打を放ち、先制。しか、能見は3回までイーグルス打線を得意の変化球で手玉にとっていたが、4回表につかまった。礒部のレフトスタンドに飛び込む逆転2ランを浴びてしまう。さらに5回表には先頭の関川を四球で歩かせてしまい、1死二三塁から飯田にレフト前タイムリーを打たれて2点差とされる。岩隈から逆転は難しいと思われたが、6回裏、シーツのレフト前ヒットを皮切りに金本の二塁打でチャンスを広げ、今岡の当たりは一塁手吉岡を襲う。吉岡はミットには当てたものの弾かれてライトへの同点二塁打となった。動揺する岩隈の初球をこの試合久々のスタメン桧山がバックスクリーン横のライトスタンドに運び、2点勝ち越し。矢野の死球と鳥谷の二塁打でまたチャンスを作る。代打町田の初球を中村捕手が受けそこねて矢野が生還。岩隈は赤星を迎えたところで降板し、二番手の吉田豊を送りだしてきた。かつての僚友から赤星は三塁への内野安打でさらに1点。打者12人6得点の猛攻撃で試合を決定づけた。二番手のブラウンが6回表をきっちり抑えて来日2勝目。三番手の藤川は大島、斉藤、飯田と前日に続いて三者三振。ウィリアムスをはさみ、最後は久保田で締めにかかる。しかし、久保田は藤井のタイムリーで1点を失うという少し不安な内容ではある。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 2連敗で暗いムードのチームに勢いを取り戻させる完封試合。こういう時に勝ってこそエースである。やっとエースの仕事をした。
野手……関本健太郎 派手な活躍はなかったが、足を傷めた赤星をよくサポートする送りバントがきっちりと決まり、2番打者の役割を十分に果たしている。

 次節に当たるライオンズは昨年の日本一チーム、続くホークスは一昨年の日本一チーム。ここが踏ん張りどころだろう。特にヤフードームのホークス戦は、一昨年の日本シリーズで1勝もできなかった。その悔しさをはらしてくれるか。

(2005年5月16日記)


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