愛すれどTigers


関西ダービー白熱の引き分け

 倉敷マスカット球場で新生オリックスバファローズとのいわゆる「関西ダービー」初戦を落したタイガースは、甲子園に帰り延長12回引き分けの壮烈な試合を経て、1勝1敗1分。フルキャストスタジアム宮城の初戦を雨で流し1日スライドした3連戦は2勝1敗。今節は3勝2敗1分とひとつ勝ち越した。交流戦の通算成績を13勝7敗1分、今季の通算成績を28勝21敗2分とし、首位をキープするとともに「貯金」も今季最多の7としている。金本が学生時代を送った仙台で大活躍。下柳もハーラートップの6勝目。指の故障で万全ではない今岡も活躍と、主力がきっちり自分の役割を果たしている。だから勝てる。反面、能見が目もあてられない不調で再調整を余儀無くされるなど、安閑とはしていられない状況もある。交流戦もいよいよ後半に突入し、山場を迎えたという感じかな。

◎バファローズ1回戦……2−4
 バファローズ先発JPの長身からくり出す変化球に打線が翻弄された。タイガースの先発杉山は初回に集中打を浴びる。先頭の平野に三塁打を打たれ、早川、谷と打ち取ったもののブランボーを警戒し過ぎて四球。後藤の二塁打で先制され、続く北川にもセンター前に弾き返されさらに2点を失った。しかし、2回以降は変化球を低めに集める好投。2回から7回まで後藤の二塁打1本に抑え切っただけに、初回の失点が悔やまれる。1回裏、赤星の内野安打とシーツの二塁打でチャンスを作りながら、金本の内野ゴロの間に赤星が生還しただけの1点に反撃がとどまったのが後に響く。この試合、金本と今岡はノーヒット。クリンナップがブレーキとなった形である。7回裏にスペンサーのタイムリー二塁打で1点差に詰め寄ったが、赤星が倒れて同点機を逸し、9回表、三番手の牧野が北川に決定的となるソロホームランをライトスタンドに運ばれ、試合は決まった。バファローズは最終回大久保を投入し、逃げ切り。関西ダービー初戦は打線の組み替えが功を奏した仰木采配にしてやられた。
◎バファローズ2回戦……6−6
 初回、井川がボコボコに打たれた。谷のレフト前タイムリーに始まり、後藤のタイムリー二塁打、北川のライト前2点打、日高のレフト前タイムリーで一気に5失点。それでも6回まで交代させずに投げさせた監督やコーチの思いを井川はよくわかってほしい。2回以降は毎回のようにランナーを許しても要所を締めて無失点で切り抜け、しかも味方打線が爆発して逆転までしてくれたのだから。1回裏、バファローズ川越から赤星と藤本が連打し、金本の一塁ゴロを北川が二塁へ悪送球する間に赤星がホームインしてまず1点。3回裏には金本がバックスクリーン右へぶち込むソロホームランで1点。そして6回裏、二塁打のシーツをおいて今岡が軽く振った当たりはレフトポール際に入る2ランとなり1点差に。ここで投手が二番手萩原に替わると、スペンサーが同点ソロホームランをレフトスタンドに叩き込んだ。2死から三番手歌藤が登板、鳥谷には死球、矢野には四球でランナーをため、赤星ショートゴロを後藤が悪送球して鳥谷が勝ち越しのホームを踏む。バファローズは香月、吉川を投入し失点を防ぐと、タイガースも藤川、ウィリアムス、久保田の必勝リレー。ところが、久保田が9回表、1死からブランボーにまさかの同点ホームランを浴びてしまう。この後、バファローズは加藤、大久保、菊地原と勝ちパターンのリレーで、タイガースは久保田と江草が延長戦を投げ切り、両者一歩も引かず、12回規定により引き分けとなった。井川の初回5失点をカバーした打線に拍手を送りたい。
◎バファローズ3回戦……10−0
 昨年オフに獲得に動いたケビンが先発。しかし、獲得しないでよかったかもしれない。初回、赤星が歩きすぐに盗塁、藤本がライト前に弾き返して先制のホームを踏む。さらにシーツのヒットと金本の四球で満塁とし、今岡の犠牲フライで2点目を奪った。3回裏にはシーツと金本の連打でチャンスを作ると、今岡が軽く振った打球は左中間スタンドへ入る3ラン。4回裏には満塁から金本が走者一掃の二塁打をレフトの後方へ放つ。ケビンは5回8失点で降板した。二番手歌藤からも代わりっぱなの6回裏、二塁打の赤星と四球のシーツを塁において金本が再び走者一掃のレフト前ヒット。この試合、金本5打点、今岡4打点の荒稼ぎである。タイガースの先発福原は、今季は打線の援護がなく好投していても6連敗と結果が出ていなったが、この試合は大量点をバックに3安打無四球8三振というすばらしい内容で完封勝利。自分の連敗を止めただけではなく、「関西ダービー」をタイに持ち込む価値のある勝利をあげた。
◎ゴールデンイーグルス4回戦……1−2
 ドラゴンズに3連勝して意気の上がるイーグルスは、タイガースが苦手とする軟投派の左腕金田が先発。のらりくらりと狙い球を絞らせず、6回まで2安打無四球とタイガース打線を抑える。タイガースの先発安藤は、初回に2死満塁から吉岡にライト前へ先制タイムリーを打たれ、2回裏には無死満塁から高須にセンター前のタイムリーを打たれ、2失点。ただし、ピンチは作ったものの大量失点にはせず、3回以降は1安打に抑えて完投したのだから、よくやったといえるだろう。打線は7回表、関本の死球、シーツのセンター前ヒットでチャンスを作り、今岡のレフト前タイムリーで1点差に詰め寄る。しかし、田尾監督はここで玉木を投入し、後続を断つと、吉田豊、福盛のリレーで1点差を逃げ切った。イーグルスは球団初の4連勝。
◎ゴールデンイーグルス5回戦……9−6
 イーグルスのエース岩隈とは今交流戦2度目の対戦。いきなり初回に攻略する。2死からシーツがレフト前ヒットで出塁すると、金本もライト前ヒットで続き、今岡はレフトフェンス直撃の二塁打で1点先制し、続く桧山もレフト前に流し打って2点を加え、まずは3点のリード。さらに徳元、有銘とつないできた4回表には二死一三塁から赤星のライト線へ運ぶ二塁打で2点を追加。タイガースの先発ブラウンは内野ゴロを打たせて取るていねいなピッチングで3回まで無失点。4回裏には鷹野のセンターバックスクリーンへ運ぶホームランを打たれ、5回裏には高須のタイムリーで2点目を奪われたが、先発で2失点は合格点だ。6回から7回は江草にスイッチ、無失点で切り抜ける。7回表には小山から今岡のタイムリーと鳥谷の犠牲フライで、8回表にはシーツの犠牲フライと金本のライトスタンドへのホームランで2点ずつ奪い、9−3と6点差をつけた楽勝かと思われた。ところが、8回裏に登板した能見はいきなり山崎にソロホームランを打たれ、鷹野にも2ランを浴び、1死も取れないまま降板。急遽藤川がマウンドに上がり、調整不十分でランナーを出しながらも無失点で切り抜けて相手の勢いを断った。9回裏、久保田が登板し、アウトは全て三振で取りながらも連打を浴び、ロペスのタイムリーで1点を失った。それでもなんとか力で吉岡と斉藤をねじ伏せてゲームセット。勝ちはしたが、能見で追い上げられるなど、すっきりしない勝利となった。
◎ゴールデンイーグルス6回戦……4−0
 下柳が持ち味の内外角に投げわける芸術的な投球術でイーグルス打線を6回3安打1四球に抑える。打線はイーグルスのベテラン紀藤から3回表に赤星がライト線へ三塁打。藤本がセンターへ犠牲フライを打って1点を先制。4回表には桧山のセンター前タイムリーで2点目を奪う。8回表には三番手吉田豊から金本が2点タイムリー二塁打で効果的な追加点を奪い、勝利を確定させた。7回からは1イニングずつ藤川、ウィリアムス、久保田と必勝リレーでイーグルス打線を抑え込み、完封リレーでイーグルスとの交流戦を5勝1敗と締めくくった。7回裏には鳥谷が三遊間の当たりをスライディングキャッチし一塁へすぐさま送球しアウトにするファインプレー、9回裏には赤星のダイビングキャッチなど、ファインプレーも続出し、投手陣を助けた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 名前の通り、よく耐え忍んだ。ゲームを作る投球を続けながらも打線の援護がなく6連敗中だったが、打線の大量援護を得ながらも集中力を切らすことなく完封した。これをきっかけとして今度は連勝だ。
野手……金本知憲&今岡誠 4・5番コンビで今節19打点。今岡と金本の2人が打点王を争うという相乗効果がチームに勝利をもたらしている。甲乙つけ難い活躍で、2人MVPだ。

 イーグルス戦が1試合スライドしため、移動日なしで甲子園に戻り、東北遠征に続きホークス、マリーンズと9連戦という強行日程となった。ただ、ありがたいのは6試合とも本拠地甲子園での試合だということ。一昨年この球場の雰囲気を経験しているホークスはともかく、マリーンズの選手にとっては甲子園の4万人をこえるタイガースファンの歓声は初の体験となる。絶好調のマリーンズに対して地の利を生かした野球ができるか。

(2005年5月31日記)


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