交流戦が終り、同一リーグとの対戦が再び始まった。3度目の開幕という感じがする。大阪ドームでのドラゴンズ戦は、2勝1敗と勝ち越して首位タイガースに追いすがってくるドラゴンズを払った感じ。続く甲子園でのジャイアンツ戦も2勝1敗と勝ち越した。これで交流戦から続いて5カード連続の勝ち越しとなり、今節は4勝2敗、通算では40勝29敗3分と勝ち越しも11勝と大きく伸びた。2位のスワローズには4ゲーム差。決して圧倒的に強いという感じではないし、優勝チームに感じられる奇跡的な勢いもまだつかみ切ってはいないように思う。しかし、着実に勝ち星を積み重ねる様子は、本当の意味での実力がついてきたということなのかもと思わせる。勢いに乗って突っ走る方が我らがタイガースらしいような気もするんだけれど、今にその勢いもつかむだろう。
◎ドラゴンズ7回戦……4−3
先発は、タイガースは予想通り井川だったが、ドラゴンズは意表をついて野口。2回表、T・ウッズを塁に置き、大西がセンターオーバーの三塁打で返して先制される。さらに3回表、荒木を四球で出し、井端の内野ゴロで二塁に進まれる。立浪にもヒットを許し、ランナーを三塁に置いて福留のライト前ヒットで2点目を入れられた。野口のスライダーに手こずったタイガース打線だったが、4回裏、矢野のセンターバックスクリーンへ叩き込むソロホームランで反撃開始。5回裏、赤星が内角の球をのけぞるようにしてよけたバットにボールがあたり、これが幸運にもサードへの内野安打に。すかさず盗塁すると、谷繁の送球が低くそれて野手の手前でワンバウンドし、センターに転がる。その間に赤星は三塁に進んだ。鳥谷のライト前同点タイムリーが飛び出し、シーツもヒットで続く。金本が歩いて満塁に。ここで投手は昨年の最優秀中継ぎ投手岡本に。さすがにタイトルホルダー、今岡、スペンサーと連続三振で嫌なムードになったが、矢野がレフト前の強烈なライナー性のヒットで2者を返して2点差の勝ち越し打となった。井川は4回以降をノーヒットに抑え、8回に藤川にバトンタッチ。タイガースは川岸、落合の前にランナーを出しながら追加点が取れず、2点差のまま9回表に。抑えの切り札久保田を投入したが、福留に二塁打を打たれ、アレックスのタイムリーで1点差に迫られる。ベテランの代打川相が職人技のバントでランナーを進め、一打同点のピンチに。ここで久保田が踏ん張った。谷繁、森野と連続の空振り三振でゲームセット! 冷や冷やものながら、再開リーグ戦の初戦を勝ち星で飾った。
◎ドラゴンズ8回戦……4−2
安藤のスライダー、川上のシュートが冴え渡る投手戦。ドラゴンズが2回表に井上の二塁打、3回表にアレックスのタイムリーで2点先行するも、4回裏、鳥谷が川上からライトスタンドに痛烈な当たりのホームランを放ち、5回裏には桧山と矢野の連続ヒットでランナーをため、藤本のショートゴロの間に桧山が生還して同点に追いつく。安藤は5回まで投げ、橋本、ウィリアムス、藤川のリレーで得点を許さず9回を抑え切れば、川上も8回まで毎回のようにランナーを出しながら要所を締めてタイガース打線を抑え込む。9回には岩瀬を投入、2死一二塁となり、赤星がレフト前にサヨナラかと思われるヒットを放ったが、中継の返球がよく、中村豊は本塁憤死。試合は延長戦に。タイガースは久保田、江草のリレーで12回を逃げ切り、ドラゴンズも高橋聡、川岸、平井とつないで試合はいよいよ12回裏に。平井から赤星がセンター前ヒットで出塁し、走るぞ走るぞと追い込み、平井が苦し紛れに投げた甘い球を鳥谷は見逃さなかった。レフトポール際に飛び込むプロ入り初のサヨナラホームラン! 9回表の金本の本塁にダイレクトで返しランナーを刺した守備、12回表の鳥谷の好守備など、守備が投手を助けた結果、粘り勝ちという形になった。
◎ドラゴンズ9回戦……3−9
苦手の山本昌から初回に今岡のタイムリー、2回には藤本の二塁打で2点を先取した。5回まで、福原はていねいな投球でこのリードを守っていたが、6回表、1死一三塁から井上にライトフェンス直撃のタイムリー二塁打を打たれて1点差とされ、谷繁を歩かせ満塁とし、代打高橋光にユニフォームをかする押し出し死球で同点に追いつかれる。荒木にはセンター前への2点タイムリーを打たれて福原はここで降板した。二番手橋本はチェンジアップをうまく見送られ、井端に四球で満塁、立浪にも四球で押し出し。T・ウッズの犠牲フライでこの回一挙6点を奪われて逆転された。6回以降は落合、高橋聡、岡本とつながれ、1点も返せない。9回表、吉野が四番手で登板したが、川相のタイムリーなどで3点を失い、7点差で9回裏を迎える。平井からシーツのタイムリーで1点を返し、惨敗ながらも最後には少し活気を取り戻した。これが翌日の試合に結びつけばよいが。とにかく福原の8死四球、これが痛かった。右のエースの看板はまだ少し早かったか。
◎ジャイアンツ7回戦……4−3
初回、上原を一気に攻略した。赤星がレフト前ヒットで出塁し、鳥谷もレフト前に落して続く。シーツが歩いて満塁に。4番の金本がライト線に2点二塁打を放てば、桧山のライトへの犠牲フライで3点目を奪う。しかし、下柳が4回に突如乱れる。ローズにヒットを打たれ、小久保の二塁打で一発同点のピンチ。高橋由のサードゴロの間にローズが本塁に突入するが、これは矢野がよくブロックして得点を許さない。しかし、清原のレフト前タイムリー、阿部のセンター前タイムリー、二岡のライトへの二塁打であっという間に同点に。ただ、ジャイアンツのランナーはなぜか常に自重して先の塁を狙おうとしなかったので、下柳は上原、清水と打ち取ってなんとか同点にとどめた。これが大きかった。6回まではもとの下柳に戻り、ジャイアンツに反撃の隙を与えない。上原も調子を取り戻し、8回を投げ切って追加点を許さなかったのは立派。7回からは、藤川、ウィリアムスがよく投げて9回までを無失点で切り抜けた。9回裏、二番手の林から金本が歩いてチャンスを作るが、今岡は自らの判断で送りバント。これか併殺に終り、チャンスをつぶし延長戦に。久保田は10回表に先頭打者を許したが高橋由を三振に打ち取り難を逃れた。11回表には清原を内角いっぱいでのけぞらせ、速球勝負で三振に打ち取る快投。そして11回裏、久保から赤星がヒットで出塁し、鳥谷が送ってシーツがヒットでランナーを三塁に進めた。金本は敬遠。ここで先ほどの汚名返上に燃える今岡がセンターへ犠牲フライ。赤星が生還し、接戦はみごとなサヨナラ勝ち。消極的な走塁のジャイアンツに対し、鳥谷のバントなどランナーをきっちり前にすすめる野球をしたタイガースに勝利の女神が微笑んだのだ。
◎ジャイアンツ8回戦……6−8
初回、鳥谷が高橋尚からレフトポール際に飛び込む2ランを放って先制した。しかし、直後の2回表、ブラウンは阿部にライトスタンドに飛び込む同点2ランを打たれる。3回裏、ヒットのシーツを置いて金本がライトへの二塁打を放ち、中継がもたつく間にシーツが一気にホームインして再び1点のリードを奪う。ところがブラウンはその直後の4回表、1死一三塁から阿部の犠牲フライで同点に追いつかれ、二岡、高橋尚の連続ヒットで逆転されてしまう。ここでブラウンは降板し、江草に交代。4回裏、二死一三塁から赤星が盗塁して二三塁とし、鳥谷が再逆転のタイムリーを放ち、高橋尚をノックアウトした。江草は好投していたが、6回に乱れた。金本のファインプレイなどで2死をとったが、二岡の内野安打、代打矢野のヒットでピンチを迎え、打者清水のところでワンバウンドの暴投を投げてしまい同点に追いつかれた。3番手藤川は清原を速球でみごと三振に打ち取る好投を見せ、9回のマウンドにはウィリアムス。不運だった。2死から清水、元木に連続内野安打。打ち取ったはずだがバウンドが高く、いずれも一塁に間に合わない。そしてローズを追い込みながら、きわどいところをストライクにとってもらえず甘く入った球をバックスクリーンに叩き込まれるスリーラン。9回裏、木佐貫から金本、今岡の連続ヒットで1点を返し、敗戦の中にも、翌日につながる光明を見せてくれた。先発の谷間には、ブラウンでは心もとない。一度江草を先発で試してみてはどうだろうか。
◎ジャイアンツ9回戦……8−2
先制したのはタイガース。マレンから2回裏、矢野がバックスクリーンへのホームラン。しかし、杉山は3回表にローズの犠牲フライで同点に追いつかれる。マレンを攻略したのは4回裏。まず今岡がレフトポールをまくソロホームランで勝ち越すと、2死満塁として打席には鳥谷。押し出しの四球を選び、2点差に。ここでマレン降板でシコースキーが登板した。するとシーツがレフト前に2点タイムリー、金本がライト前タイムリーでさらに1点。この回11人の猛攻撃で一挙5点を奪った。5回裏には3番手酒井から赤星の犠牲フライで1点。杉山が6回表に3連打を食らい鳥谷の一塁悪送球で1点を失い、なおも2死一三塁のピンチ。阿部の当たりはライトスタンドにはいるかと思われる大飛球だったが、風に押し戻されて桧山が捕球し難を逃れた。6回裏、三塁打のシーツを今岡がレフトへの二塁打で返し、決定的な1点を奪うと、7回から登板した橋本が3イニングを完全に抑え、元木、ローズ、小久保、高橋由と連続三振に打ち取るすばらしい投球内容。みごとなまでの快勝。なお、この試合、脱臼が癒えた関本が首痛の町田にかわり一軍に上がってきてすぐに先発出場した。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……久保田智之 はらはらどきどきさせながら、最後にはなんとか抑えてくれる。抑えの切り札としては発展途上ではあるが、それだけに逃げ切った時の快感は計り知れないのです。
野手……矢野輝弘 センターへのホームラン、ここぞという時のタイムリーと、矢野らしさが戻ってきた。キャンプで出遅れた分をやっと取り返したような感じがする。鳥谷、今岡と候補は多かったが、チームに弾みをつけた矢野の復活が嬉しかったので、選出。
次節は米子でカープ2連戦、移動日をはさみ横浜でベイスターズ3連戦。遠征は続くが、日程的には少し余裕がある。ローテーションの谷間なしで先発投手をまわせる。取りこぼしのないようにしてほしい。それだけの力はあるのだ。
もとタイガースの一塁手で4番の打順にも数多く座った「仏のゴローちゃん」こと、遠井吾郎さんの訃報に接する。なんとなく春風駘蕩という感じながら、その打棒はシャープだった。享年60は早すぎる死といえる。存在感と味のある名脇役であった。酒仙打者に、合掌。
(2005年6月27日記)