米子でのカープ戦で2連勝。横浜でのベイスターズ戦は初戦は落したもののそのあと2連勝で2勝1敗。今節はなんと4勝1敗で通算44勝30敗3分とし、2位スワローズに5.5差をつけ、いよいよ首位独走体勢に入った。2段モーションをスムースな投球フォームに改めた安藤が好投するなど好材料もあり、先発投手陣がそれぞれそれなりにゲームを作って自慢のリリーフ陣に引き継ぐという形がしっかりとできているのが強い。打線も好調で、5番の今岡がスランプに陥ったというのに、それが目立たないほどである。一昨年のような神がかり的な勢いはないが、着実に勝ち星を積み重ねている。シーズンも折り返し、この調子を続けていけば、ひょっとしてひょっとするかもよ。いやいやまだ口には出さないでおきましょう。うふふふふ。
◎カープ7回戦……14−4
井川は決していい調子とはいえなかった。2回裏、栗原のタイムリーで先制を許してしまう。カープのエース黒田に3回までわずか2安打に抑えられ、4回表、金本の通算32球場目となるバックスクリーンへのソロホームランで同点に追いつき、桧山の投手ゴロを黒田が右手に当てるというアクシデントで5回限りで降板したところから、ツキがめぐってきたようだ。6回表、二番手永川から1死一二塁で今岡のライト前タイムリーが飛び出し、勝ち越し。桧山の四球で満塁とし、矢野のレフト前ヒットでさらに1点追加、永川を降板させた。三番手の左腕仁部に対し、代打は濱中。みごとにライト前に運び、2点タイムリーとなった。この4点差を井川は辛抱できない。6回裏、新井の6試合連続となる2ランで2点差に追いつめられると、さらに2安打を許して降板となった。二番手藤川はさすがにここを抑える。7回表、高橋から桧山の犠牲フライで1点を奪うと、カープもその裏藤川から代打野村のタイムリーで1点を返してくる。緊迫した展開で終るかと思われたが、8回表に登板した天野から中村豊のヒットを皮切りに、赤星が足で稼いだ投手前内野安打で続き、鳥谷の二塁打、金本のライト前タイムリー、今岡のレフト前タイムリー、関本の犠牲フライ、中村豊のタイムリー、代打スペンサーの2点二塁打で一挙に8点を奪う猛攻撃。最後は江草、桟原とつないで圧勝した。リリーフ陣の差がもろに出た試合となった。黒田にアクシデントがなかったら、井川の内容からいっても決して楽に勝てたとは思えない。相手には申し訳ないが、ついているとしかいいようがない。
◎カープ8回戦……7−3
いきなりカープ先発デイビーから赤星が二塁打を放ったが、三盗に失敗。ヒットで出塁したシーツは、金本のレフト前ヒットで三塁を欲張り、タッチアウト。積極的な走塁はいいが、よたよたの相手をこれで立ち直らせてはどうしようもない。福原は2回裏に前田にソロホームランをうたれて先制され、3回裏にも緒方にレフトスタンドへ2ランを運ばれ、3点差。5回表、赤星が三塁への内野安打と新井の悪送球で二塁に進むと、鳥谷がレフト前へタイムリー。しかし、前田が本塁をあきらめ二塁へ送球したら、一塁を蹴っていた鳥谷が二塁でタッチアウト。福原は6回までなんとか無失点で抑え、7回表、代打に片岡が出て降板。この片岡が二番手仁部から四球を選び、鳥谷の内野安打でランナーをためると、三番手梅津からシーツがレフトスタンドへ逆転のスリーラン! これで福原は一転して勝ち投手の権利を得た。こうなるとタイガースの勝ちパターンである。藤川、ウィリアムスがきっちり抑え、9回表には六番手ベイルから金本がだめ押しのスリーランをセンターバックスクリーンに叩き込む。最後は予定通り久保田が締めて2連勝。しかし、暴走気味の走塁に岡田監督は勝ちゲームにもかかわらず怒りの表情を見せていたという。勝って兜の緒を締める。岡田監督がだんだん名将に見えてきた。
◎ベイスターズ7回戦……4−5
下柳は初回いきなり石井琢に先頭打者ホームランを浴び、2回裏にも相川と石井琢のタイムリーで重い3失点。ただ、そのあと5回までは失点をしないのだから、そこらあたりはさすがという感じか。手こずっていた先発土肥を打ち崩したのは5回表。四球の金本と久々の長打となる二塁打のスペンサーを塁に置き、関本がレフト戦に二塁打を放ち1点差に迫ると、下柳が内野安打で続き、赤星のセンター前ヒットで同点に追いつく。ここから一気に逆転できなかったのが流れを作れなかった原因か。6回表には金本のセンターバックスクリーン右へのホームランで1点リードし、スペンサーが歩いたところで土肥は降板、矢野の二塁打と濱中の四球で満塁にしながら、赤星は三塁ライナーでチェンジ。結局流れが断ち切られてしまった。6回裏、勝ちパターンとして登板した橋本が、伏兵相川に逆転2ランを打たれてしまう。ベイスターズは最後にクルーンをもってきて159キロの速球でタイガース打線をねじ伏せ、逃げ切った。
◎ベイスターズ8回戦……5−4
杉山が立ち上がりもたつく。初回は無失点ながら2四球を許し、2回裏には村田のタイムリーと石井琢の犠牲フライで2点を先制された。天敵三浦から4回まで1安打に抑えられていた打線が、5回表に意地を見せた。矢野がヒットで出塁し、藤本の進塁打で二塁に進むと、投手の杉山がタイムリーとなる二塁打をライトオーバーに運ぶ。赤星がセンター前ヒットでつなぎ、鳥谷のレフトへの犠牲フライで同点に。さらにシーツの勝ち越しタイムリーでとうとう天敵を攻略した。しかし、6回裏、勝ちを意識したか杉山が相川に同点タイムリーを、そして投手の三浦にお返しの勝ち越しタイムリーを打たれ、再びひっくり返された。これでまた三浦にやられるのかと覚悟したが、7回表、三浦アレルギーのないスペンサーがレフトスタンドに突き刺さる同点ホームランを放ち、ノックアウト。黒星こそつけられなかったが、天敵から4点を奪って降板させたことにおおいに意味がある。試合は延長戦にはいる。藤川、ウィリアムス、久保田の必勝リレーを見せるタイガース。ベイスターズもホルツ、木塚、クルーンと速球派をつぎこんで11回表、やはり速球が持ち味の加藤を登板させた。そこを狙いすましたように桧山がライト線への二塁打で出塁し、矢野がきっちりバントで送る。藤本の当たりはセンター前にふらふらと上がり、小池の前に落ちる勝ち越しタイムリーとなった。この1点差を10回から登板していた久保田が守り切り、粘り勝ちした。今節のリリーフ陣の安定ぶりには目を見張る思いである。なお、最終回、審判がセーフのモーションでアウトを宣告したり、ハーフスイングのストライク判定にもたついたりしたのは、緊迫した試合に水を刺す感じがしたが、審判も人の子、さすがに11回裏となると疲れていたのだろうか。
◎ベイスターズ9回戦……6−3
2回表、若手の秦から矢野がレフトスタンドに2ランを放ち、まず先制。その裏、安藤は村田にセンターバックスクリーンに運ばれ、1点差とされる。この時、審判はいったんはヒットのみの判定を下したが、明らかに一度スタンドに入った打球が跳ね返ってきたもので、牛島監督の抗議でホームランとなったものの、2試合連続の不手際はよくない。3回表、シーツが秦からレフトスタンドにソロホームランを放つと、安藤はその裏から8回裏までテンポよく投げ、パーフェクトに抑える好投。2段モーションを流れるようなフォームに変え、ジャイアンツの上原を参考にして自分のペースでぽんぽん投げ込むスタイルにベイスターズ打線が完全に戸惑っていた。ベイスターズは5回からセドリックを投入し、6回までノーヒットの好投。かなり締まった投手戦になった。7回表に鳥谷のタイムリーで貴重な追加点をあげ、セドリックにも一矢報いたのは次の対戦の時への布石になるかもしれない。9回表、タイガースの勧誘に背を向けてベイスターズに自由枠で入団した染田がプロ入り初登板。藤本が先制ヒットを放つと、安藤がバントを決め、赤星と鳥谷は連続四球で満塁に。タイガースをそでにした報いか、染田はここで降板した。急遽マウンドに上がった龍太郎(ゴールデンイーグルスにいる竜太郎とは別人。ややこしい話だ)からシーツがだめ押しの2点タイムリーを放ち、安藤がプロ入り初完投するお膳立てをしてくれた。ところが、安藤は完投勝利を意識し過ぎてか、古木に代打2ランを浴び、佐伯、種田に連打を浴びて1死一三塁のピンチを作り、一発同点となったところで久保田にマウンドを譲った。久保田は後続をいずれもフライに打ち取って今季10セーブ目。こういうところで抑えてこそリリーフエースなのである。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……安藤優也 プロ入り初完投は逃したもの、軽やかな投球でベイスターズ打線を抑え切った。先発投手陣の不安定さが気がかりなだけに、この投球は今後に期待できる。
野手……アンディ・シーツ 古巣カープ戦になると大爆発。その好調さを横浜でも続けた。ここぞという場面のホームランが今節は印象的だった。
次節は甲子園に2位のスワローズを迎え3連戦。さらにナゴヤドームに乗り込んで3位のドラゴンズと3連戦。5.5ゲーム差をつけているとはいえ、今季の対戦成績ではともに負け越しているだけに、油断のならない相手だ。ここで大きく勝ち越すと、波に乗れるだろう。折り返し点での注目の連戦である。
(2005年7月4日記)