甲子園でのスワローズ戦は、梅雨空の中、中止もなく順調に行われ、みごと3連勝。交流戦直前に食らった3タテのお返しをした。鬼門ナゴヤドームに移動し、2位ドラゴンズと対戦したが、2勝1敗と勝ち越し、今節は5勝1敗! 前節の終りに書いた、ここを大きく勝ち越して折り返すと……という言葉が思い出される。もう宣言してもいいかな。今年は2年ぶりに……いや、待て。まだ8月には長期ロードがある。喉元まで出かかっている言葉は、マジックナンバーが出るまでおいておこう。あ、もう宣言しているのも同じかな。今節終了時点で通算49勝31敗3分、勝率.613、2位ドラゴンズとの差は8.0に広がった。9カード連続勝ち越しは球団新記録らしい。大型連勝もなければ大型連敗もない。これが今年のタイガースの強みだ。いやあ、頭ひとつ抜けましたな。
藤川が6月の月間MVP受賞! 3ヶ月連続受賞者が出たのは優勝した一昨年以来のことだ。中継ぎ投手としては初めての受賞である。また、オールスターファン投票で藤川、藤本、今岡、鳥谷、金本、赤星の6人が選出され、監督推薦で下柳、矢野の出場も決定した。好調タイガースを象徴する吉事であります。
◎スワローズ7回戦……4−1
井川と藤井が初回からランナーを出しながら併殺に切ってとり、3回までは完全な投手戦。しかし、4回裏、先頭の赤星がショート内野安打で出塁すると、鳥谷がきっちりとバントを決めてチャンスを作り、シーツのセンター前ヒットで返して先制。金本が四球を選び、絶不調の今岡が打席に。内角高めのボール球をひっぱたくと、打球はレフトポール際にはいるスリーランに! 井川は5回までエースらしく危なげないピッチング。6回表には無失点で切り抜けたものの2連打を浴び、7回表にラミレスにセンターバックスクリーンへのホームランを打たれる。岡田監督は8回に藤川、9回に久保田を投入して大事な初戦を必勝リレーでものにした。
◎スワローズ8回戦……2−1
前日の試合で本塁でスペンサーと交錯した古田が捻挫で欠場した。それでも慣れない米野のリードに打線は手こずる。苦手の川島からチャンスは作るが得点できない。2回表、福原は1死一三塁で城石に強烈なライトライナーを打たれたが、スペンサーが好捕、本塁に矢のような送球を送り、犠牲フライとなるのを防いだ。しかし、3回表に内野安打やバントでピンチを作り、岩村の犠牲フライで先制されてしまう。そこから踏ん張ったのが、ここまでの福原とは違うところだ。6回まで毎回安打を許しながら後続を断ち、失点を防ぐ。打線も、この粘りの投球に応えた。4回裏、2死満塁のチャンスで、スペンサーがよく選んで押し出し四球で同点に。それでも矢野は投手ゴロでチャンスをつぶし、流れを引き寄せられない。6回裏、嫌な流れを断ち切るように、金本がライトスタンドに弾丸ライナーが突き刺さる勝ち越しソロホームラン! 8回からはウィリアムス、久保田の必勝リレーで虎の子の1点を守り切った。
◎スワローズ9回戦……4−2
タイガースがワンチャンスをものにした。タイガースの先発はブラウン、スワローズは石川。ブラウンは毎回ランナーを許しながら3回まではなんとか打たせて取る投球でしのいでいたが、4回表につかまった。先頭のラミレスにヒットを許し、真中の二塁打で先制される。さらに城石にヒットでつながれ、米野のスクイズで2点目を献上した。嫌なムードで迎えた4回裏、赤星がセンター前にこの試合のチーム初安打を放つと、鳥谷がレフト線へ二塁打を放ち、チャンスを作る。シーツの内野ゴロの間に赤星が生還してまず1点を返した。金本三振で2死となるが、今岡と桧山の連続四球で満塁に。ここで矢野がレフトオーバーの2点二塁打を放つ。藤本は次打者がブラウンということもあり敬遠。ところが、岡田監督はブラウンをあっさりあきらめて濱中を代打に送った。濱中の打球はショートの深いところに飛び、名人宮本をもってしても一塁送球が間に合わない内野安打となって、4点目が入った。5回以降は石川、山部、河端、ゴンザレスの前にノーヒットだったので、なんとヒットを打ったのは4点を奪ったこの回だけということになる。こんなに効率のよい攻めを見せるタイガース打線は珍しい。5回からは江草が2イニングをなんとか抑え、藤川、ウィリアムス、久保田の黄金リレーにあとを託す。最後の久保田は小野、青木、宮本と3者三振に切って取る完璧なリリーフで、今季同一リーグ相手には初めてのカード3連勝を飾った。
◎ドラゴンズ10回戦……3−0
下柳と山本昌の両ベテランの技巧を尽くした投げ合いが見られた。4回表、2死から今岡がレフト前のヒットで出塁すると、スペンサーはセンター前に弾き返すヒットでつなぐ。矢野の打球はセンターを越し、もう少しでスタンドインという二塁打となり、2者が生還して先制。下柳は内角低めをていねいにつく投球で6回まで無失点。6回裏には先頭の荒木にセンター前ヒットを打たれたが、執拗に牽制で警戒し、エンドランのサインを見破って大きく外すと井端は空振り、矢野の二塁送球はどんぴしゃりで荒木を刺す。このプレーが大きかった。9回表には平井から矢野と桧山のヒット、濱中の四球で満塁と攻め立てマウンドから降ろし、続く高橋聡から鳥谷がレフト前にタイムリーを放ってだめ押し。7回から藤川、ウィリアムス、久保田の必勝パターンでドラゴンズ打線を抑え込み、4投手のリレーで完封。鬼門ナゴヤドームの初戦、天敵山本昌をたたいての白星発進だ。しかも、赤星を休ませて上坂を先発で使う余裕の選手起用である。
◎ドラゴンズ11回戦……2−3
初回、杉山は福留に先制ホームランを打たれる。2回表、すぐさま反撃。朝倉を攻め、二塁打の金本を桧山がヒットで三塁まで進め、矢野の三塁ゴロの間に返して同点に。ただ、そのあと藤本と杉山が連打し満塁のチャンスを作ったのに、赤星は打ち上げて、勝ち越せずチェンジに。2回裏には先頭の立浪にヒットを打たれながらアレックスを併殺に打ち取りチャンスをつぶしたと思ったら、井上にライトスタンドに運ばれて再びリードを許す。それでもめげないのが今年のタイガース。3回表、金本がライトスタンドに同点22号ホームラン。一時はホームランダービーのトップに並んだ。杉山は6回まで投げきり追加点を許さない。朝倉も立ち直り、8回まで投げ切る。タイガースは橋本を、ドラゴンズは高橋聡、岡本をつぎこんで試合は動かない。9回裏、江草がマウンドに。先頭打者の立浪の打球はライトスタンドに吸い込まれ、サヨナラ負け。初回、ランナーに出た赤星が牽制球につり出されてアウトになるなど、流れを作れないプレーが随所に見られた。
◎ドラゴンズ12回戦……2−0
2回表、野口から金本が四球を選ぶと、打者スペンサーの時に暴投で二塁へ。そしてすかさず三塁に盗塁。前進守備の井端の頭を越すスペンサーの先制タイムリーが出た。それでも野口の前に追加点が取れない。わずか1点のリードを、安藤が守り切る。初回には先頭の荒木に二塁打を打たれるが落ち着いて後続を断つ。6回までを堂々の無失点投球。7回表、金本が二塁打でチャンスを作ると、今岡がライトへ流し打って待望の追加点を入れた。野口はここで降板し、岡本と交代、後続を断った。タイガース打線は結局この連戦でドラゴンズのリリーフ陣をつぶせずに終った。こが今後どのような影響をもたらすか。代打の関係で7回からはウィリアムス、藤川、久保田のリレー。順番の入れ替えはあれど、黄金リリーフトリオは安定感抜群。特にウィリアムスは福留、T・ウッズ、立浪を三者三振と打ち取るすばらしい投球。3試合のうち2試合が完封リレーというみごとな内容で山場となる首位決戦を乗り切ったのは大きい。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児、ジェフ・ウィリアムス、久保田智之 ええい、3人いっぺんにMVPだ。黄金の必勝リレー確立だ。あんまり投げさせ過ぎないように無理せず使ってあげてね、岡田さん。
野手……シェーン・スペンサー ここにきてスランプから脱出した。選球眼のよさで押し出し四球、あるいはここぞというところでタイムリー。守備でも強肩を見せつけたかと思うと、フェンスに体をぶつけながらの好捕と、ファイトあふれるプレーを見せてくれた。
3位で追うスワローズと千葉マリン球場で2連戦し、移動日のあと、調子の乗ってきたカープを甲子園で迎え撃つ。油断は禁物、ここは5割でOKである。とにかくじめじめした季節。故障者を出さないように気をつけることと、連敗をしないようにすることが大切。できたらここらで先発投手が完投勝利を一つでも多くしてくれればいうことなしなのだが。
(2005年7月11日記)