誰ですか、ジャイアンツが戦意喪失なんて先週書いたのは。はい、私です。でもね、タイガース戦の前まではほんまにそんな状態やったんですよ。清原がベンチから外れたとたんにやる気爆発。どうなっているのやら。タイガースがまだ万年最下位だったころ、ジャイアンツ戦だけには闘志を燃やしていたものだけれど、今はすっかり逆転したということなのだろう。隔世の感がある。
それはともかく、ナゴヤドームの対ドラゴンズ首位決戦では、初戦こそ両チームエラー連発の大味な試合になったものの、あとは締まった好ゲームで、2勝1敗と勝ち越し。東京ドームのジャイアンツ戦は、2試合連続サヨナラ負けという辛酸をなめたが、最後は力の差を見せつけて連敗を止め、1勝2敗。今節は3勝3敗と五分で乗り切った。通算では61勝43敗4分で2位のドラゴンズとの差は1.5と変わらず。着かず離れずのデッドヒートが今節も続いている。はらはらしつつも、ペナントレースの展開としてはかなり面白い。あと1ヶ月半、集中力を保ち続けられるのはどちらのチームか。目が離せないのである。
◎ドラゴンズ13回戦……7−11
先手をとったのはタイガース。苦手の山本昌から、初回にシーツが先制2ラン! さらに2回表には、二塁打のスペンサーを関本が返して3点目。3回表にはシーツの2打席連続となるソロホームランと、今岡のタイムリーで5点めをたたき出し、山本昌をノックアウトした。3回裏に井川は井端の二塁打で1点を失ったが、5回表、二番手鈴木から相手のエラーなどで満塁のチャンスを作り、赤星のレフトへの犠牲フライを森野が落球するなどして2点を追加、6点差で楽勝と思われた。ところが、5回裏、悪夢のような逆転劇が待っていた。二塁打の荒木を塁におき、井端のピッチャーゴロを、なぜか井川は二塁ランナーが走ってもいないのにサードに送る。これでランナーを全て残し、続く立浪は一塁ゴロ、井川のベースカバーが遅れ、シーツの送球を後ろにそらす。T・ウッズの三塁ゴロは高くバウンドして内野安打。この間に2点を奪われた。それでも岡田監督は動かない。井川に勝ち星をつけてやろうという親心か。それを裏切るのだ、井川は。アレックスの3ランで1点差、森野と谷繁の連打の後、大西に同点タイムリーを打たれたところでとうとう降板。かわいそうなのは、ランナーを残したところで緊急登板の橋本だ。荒木の三塁打、井端のショートゴロを鳥谷が一塁に悪送球……。この回、大量9点を失う。ドラゴンズは久々の山井の起用が当たって、タイガース打線を6回以降無得点に抑える。タイガースのリリーフも、8回にT・ウッズのホームランを桟原が浴びただけでそれなりに抑えただけに、5回裏の井川の独り相撲が与えた影響は大きかった。
◎ドラゴンズ14回戦……5−3
前日の悪夢のような試合の余韻を断ち切る一打が初回に出た。朝倉から金本が放った打球はライトスタンド最前列に飛び込む先制3ラン。福原は2回裏にT・ウッズのホームランで1点を失ったが、3回表、1死満塁から桧山の内野ゴロの間にシーツが生還して1点を加える。その裏には2死から荒木、井端の連打でピンチを作り、立浪のタイムリーで2点差と迫られた。6回までは、両先発と二番手の藤川、チェンの好投で試合は動かず。7回表、ドラゴンズ3番手落合から矢野がタイムリーを放って突き放した。8回裏、ウィリアムスがT・ウッズにこの試合2本目のソロホーマーを打たれたが、最後は久保田できっちり締めて首位決戦をタイに持ち込んだ。
◎ドラゴンズ15回戦……8−4
この日、橋本が一軍登録を抹消、ダーウィンが昇格した。安藤が3回裏につかまる。アレックスのタイムリーと森野の併殺の間に三塁走者を返して2点を先行された。しかし、ドラゴンズのエース川上の自身を打ち砕く一打が4回表、金本のバットから飛び出した。ライトスタンドへの1点差と迫る一撃。続いて連打で追い詰めるが、矢野が凡退して追いつけない。4回裏にはT・ウッズのソロホームランで再び2点差に。しかし、5回表、シーツと金本の連続タイムリーで2点を奪って同点に追いつくと、今岡が内角高めに外したボール球をレフト前に運んで2点勝ち越しタイムリー。7回表にはまたまた金本がライトスタンドに中押しのソロホームラン。これで川上をノックアウトした。2番手のチェンからは8回表、シーツの2点タイムリー二塁打でだめ押し。8回裏、藤川が立浪のタイムリーで1点は失ったものの、最終回は久保田が抑えて逃げ切る。この試合、金本が1000試合連続出場を記録。一時は0.5差に縮められたゲーム差も、再び2.5差に開いた。
◎ジャイアンツ13回戦……4−5
タイガースは工藤から初回に鳥谷の右中間スタンドへのホームランで先制したが、下柳が4回裏、仁志のレフトスタンドへの2ランで追いつかれた。6回裏には阿部のタイムリーで勝ち越され、下柳はマウンドをおりる。二番手の江草が四球と内野安打でピンチを作り、桟原にスイッチ、桟原は二岡をセンター犠牲フライに打ち取ったが、点差は2点に開いてしまった。しかし、抑えの切り札として8回に登板した林から金本がライトスタンドに弾丸ライナーで飛び込む同点2ランを放ち、試合は振り出しに。ジャイアンツは久保に、タイガースは藤川、ウィリアムス、久保田とつないで延長戦に。しかし10回裏、久保田は二岡に痛恨のサヨナラホームランを打たれ、悔しい敗戦。清原、ローズ、高橋由を欠くジャイアンツ打線が、犠打をきっちりと決めるなど、これまでとは違う野球を見せてタイガースに対して闘志むき出しで向かってきたのが印象的だった。
◎ジャイアンツ14回戦……3−4
杉山は立ち上がりから不安定。初回、小久保のタイムリーと仁志への押し出し四球で2点を献上。2回表、上原から金本が4試合連続となるソロホームランをライトスタンドに運んで1点差とするが、3回裏、阿部のホームランで再び2点差とされてしまった。上原の好投に苦しんでいたタイガース打線だったが、5回裏、無死二三塁で代打片岡の高いバウンドで一塁手の頭を越すライト前ヒットで1点を返し、続く赤星もセンター前に落ちるタイムリーで同点に追いついた。その後、タイガースは江草、藤川、ウィリアムス、久保田とつなぎ、ジャイアンツ打線を無失点に抑えれば、ジャイアンツも久保、林、前田、シコースキーとつないでこちらも一歩も譲らない。試合は延長戦に入り、10回から投げ続けてきた久保田が、3イニング目となる12回裏、力つきた。ジャイアンツの矢野がヒットで出塁すると、二岡のバントを一塁への悪送球で生かしてしまい、小久保のヒットで満塁。阿部の打球はライト前に落ち、2試合連続のサヨナラ負けとなった。いくら切り札とはいえ、久保田を引っ張り過ぎた。思い切ってダーウィンあたりを投入しても面白かったのでは。
◎ジャイアンツ15回戦……7−3
嫌なムードを断ち切るように、先発の桑田に襲いかかる。赤星、鳥谷の連打の後、シーツが四球を選んで満塁。金本もボールをよく見て押し出しの四球で先制した。今岡のライト前の2点タイムリーのあと、桧山の犠牲フライで4点差に。桑田は続く矢野の頭部に死球を与えて危険球退場。急遽登板した前田から藤本がレフト前に5点目となるタイムリーを放って試合の主導権を握った。先発の能見は3回まではなんとか無失点でピンチも切り抜けたが、4回裏につかまる。2死満塁から清水にライト前の2点タイムリーで追い上げられた。しかし、このピンチに岡田監督は思い切って桟原にスイッチ。ここで桟原が踏ん張り、持ち前の速球でジャイアンツ打線を抑え込む。6回表、四番手の岡島をマウンドに迎え、1死満塁から今岡がセンター堀田の頭上を抜けるかという当たりを放つが、堀田はフェンスに激突しながらこれを捕球、犠牲フライとなって1点は追加したものの大量点にはつながらなかった。7回裏、桟原は二岡からソロホームランを打たれるが、この回を投げ切って勝利投手の権利を手中に。8回表には条辺からシーツがだめ押しのソロホームランをレフトスタンドに運んだ。こうなると、ウィリアムス、藤川を投入してみごと逃げ切り。連敗を2でストップさせた。桟原は今季初勝利。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……桟原将司 先発の谷間で登板した能見の不調を好リリーフでカバー。敗戦処理などでも黙々と投げ続けた努力が実った。嫌なムードで迎えた試合だけに、好投が光った。
野手……金本知憲 4試合連続のホームランは、試合のムードを一変させる効果的なものばかり。4番打者の役割とはこういうものだと示してくれた。
大阪ドームに帰ってベイスターズ3連戦。長期ロードとはいえ、自宅で過ごす3日間で精神的な疲れを癒してほしい。そのあとは神宮でのスワローズ戦となる。ドラゴンズとのゲーム差はしばらくこのまま動かないだろう。相手を気にせず、目の前の試合を確実につかむこと。ロードもいよいよ後半戦。あとひと踏ん張りである。
(2005年8月15日記)