あれだけ追い上げてきていたドラゴンズがここにきて失速。タイガースは大阪ドームのベイスターズ戦を2勝1分、神宮球場のスワローズ戦を2勝1敗と続けて勝ち越し、今節は4勝1敗1分。通算でも65勝44敗5分といわゆる「貯金」は21という今季最多の数字に戻し、2位ドラゴンズとのゲーム差は4ゲームに。再び独走体勢に入ったというと言い過ぎかしれないけれど、一時の追いつめられた状況からは脱した。長期ロードも残すところ3試合で、なんとか勝ち越して甲子園に帰ってきてほしい。
◎ベイスターズ16回戦……1−1
井川が前回登板の汚名を返上する好投。しかし、相手も苦手の三浦。予想通り互いに得点できない。唯一の得点は4回。表には金城のソロホームランでベイスターズが先制すると、その裏、金本がセンター前ヒットで出塁し、今岡の三振の時に盗塁に成功。桧山が死球で続き、藤本のライト前のライナー性のタイムリーヒットで金本が生還してすぐに追いついた。しかし、そのあとは両チームともチャンスでヒットが出ない。特に矢野は前節の頭部死球の影響か腰がひけてしまい4打席連続三振を含むノーヒットで完全なブレーキに。井川、三浦とも8回まで投げて1失点ずつという互角の戦いぶりを見せた。その後はベイスターズは川村、木塚、加藤をくり出し、タイガースも藤川、ウィリアムス、久保田のJFKがそれぞれ好投、延長12回を戦って引き分けに終った。しかし、ドラゴンズがジャイアンツに敗れたため、ゲーム差は2と広がった。
◎ベイスターズ17回戦……3−0
ベイスターズの左腕土肥を初回から攻略。赤星、鳥谷がそれぞれヒットで出塁しシーツのレフト前タイムリーと金本の犠牲フライで2点を先制。福原は4回表に2死満塁のピンチを作るが、村田を三振に打ち取って切り抜けた。5回表にも2死四球と苦しんだが、粘りの投球とシーツのファインプレーで無失点。7回表、古木にヒットを許したところでウィリアムスと交代した。ウィリアムスと藤川がきっちり抑えると、8回裏、三番手の吉川から赤星がライトオーバーの三塁打を放ち、鳥谷のレフト前に運ぶタイムリーで生還し、勝利を決定づけた。最後は久保田がきっちり3人で片付けてみごとな完封リレー。矢野にかわって先発マスクをかぶった浅井のていねいなリードが福原の好投を呼んだといってもいいだろう。
◎ベイスターズ18回戦……6−5
プロ入り初先発の新人岸本を初回にとらえた。赤星、シーツ、金本が四球を選んで1死満塁とすると、今岡がセンター前に2点タイムリー、さらに浅井のレフトへの二塁打で1点追加と、いきなり3点を奪う。ところが、この日の安藤は調子が悪く、2回表に村田と相川の連続タイムリーで2点奪われて1点差に詰め寄られる。3回表には佐伯と多村の2者連続ホームランで逆転を許し、この回限りで降板した。3回裏以降は、ベイスターズの二番手加藤、タイガースのリリーフ桟原、江草の好投で1点差のまま試合は膠着状態に。7回裏、その加藤から代打片岡が右中間スタンドに飛び込む片岡らしい弾道の同点ホームランを放った。続く赤星の三塁ゴロは村田が悪送球、鳥谷の二塁打で赤星が返って逆転に成功した。ここから後はJFKで逃げ切るという体勢に入る。しかし、8回表に登板したウィリアムスが内川の二塁打でピンチを招き、ランナーが三塁に進んだあと小池の犠牲フライで追いつかれてしまった。それでも岡田監督は頑固に勝ちパターンのリレーを崩さない。藤川、久保田の好投で試合は延長戦に。10回裏、木塚から関本がレフト前ヒットを打つと、藤本はバントの構えで相手を牽制、木塚はコントロールを乱して四球を出してしまった。打席にはこの試合途中出場の矢野。初球に食らいついてライト前に運ぶ執念のサヨナラヒット! 2試合連続ベンチスタートの悔しさをはらした。ドラゴンズがジャイアンツに敗れ、ゲーム差は3に。
◎スワローズ15回戦……2−12
下柳が誤算。初回、ラミレスの2ランで先制された。しかし、川島から2回表、今岡が久しぶりのソロホームランをバックスクリーンに叩き込み、1点差に盛り返した。ただし、反撃もそこまで。小野の2点タイムリー二塁打、青木、宮本の2者連続タイムリー、宮出のレフト前タイムリーでこの回一挙5点を奪われ、途中で降板した。二番手ダーウィンは3回裏と5回裏、小野に2打席連続のホームランを浴びて3失点。7回表、二番手の河端から赤星がタイムリーを放って1点を返したが、焼け石に水。タイガースの三番手、太陽は7回裏、先頭の城石のライトライナーを濱中がこぼしたのをきっかけに崩れ、畠山のプロ入り第1号2ランで2失点。あまりの大差に、江草、桟原、JFK全てを温存できる展開となったのが救いという試合に終った。
◎スワローズ16回戦……9−3
前回の登板でやられている館山と杉山でスタート。2回表、ヒットで出塁した桧山が牽制で刺される失敗をすると、その裏鳥谷が小野のショートゴロをトンネルして1点を先制された。3回裏にも藤本のエラーなどで無死満塁に。ここで杉山は宮出とリグスを連続で内野フライに打ち取り、城石の一塁ライナーをシーツがファインプレーでさばいて無失点で切り抜けた。岡田監督はその直後円陣を組んで選手に喝を入れる。これに奮起したか、4回表には桧山がライトスタンドに同点のソロホームランを放った。そして5回表、藤本のサードゴロを岩村が握りそこねで送球をそらし、先頭打者が出塁した。バントの構えをしている杉山に対し館山は得意のシュートを投げ込むと、これが胸にあたる死球に。前の回に打球を足に当てていた杉山は、この試合2度目のベンチ治療。笑顔でダグアウトから飛び出し、ファンを安心させた。動揺した館山は赤星のセンター前ヒットで無死満塁とし、鳥谷に押し出しの勝ち越し四球を与える。シーツがライト前にぽとりと落ちるヒットでさらに1点を追加。そして金本がライトスタンドに満塁ホームラン! 打者10人の猛攻撃で6点を一挙に入れた。杉山は5回裏にラミレスにソロホームランを打たれ、この回限りで降板して病院へ。あとは桟原、江草が8かいまできっちり抑えた。7回表には高井から矢野がバックスクリーンへの追い討ちホームランを、8回表には今岡のレフトフライを外野手がお見合いして取りそこねてくれ、だめ押しのタイムリーとなった。9回裏、太陽が小野にソロホームランを打たれたが、スワローズの反撃もそこまで。前日のお返しとなる大勝をおさめた。ドラゴンズがベイスターズに連敗したため、ゲーム差は4と開いた。
◎スワローズ17回戦……3−1
タイガースの先発は中2日の安藤。前回KOされたお返しの機会を岡田監督が与え、安藤がこれに応えた。5回を投げて2安打無失点。その2安打もそれぞれ続く打者を併殺に打ち取る素晴らしい内容。打線は藤井から3回表に1死一三塁から今岡がレフト前に落ちるタイムリーで1点を先制し、最少得点を藤川がしっかりと守る。6回裏、スペンサーの代打2ランがレフトスタンドにつきささり、リードは3点に。8回裏、ウィリアムスは代打畠山のタイムリーで1点を失ったが、9回裏は久保田が3人で切ってとって逃げ切った。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……杉山直久 悪いなりに粘った無死満塁からの好投、そして死球のあとに笑顔で塁に出るという姿勢。かたくなりがちな選手たちだが、こういうファイトが今最も大切なのだ。
野手……片岡篤史 6打席連続の代打安打。しかも重い空気を打ち破る同点ホームランなど、八木に代わる「代打の神様」誕生を思わせる。ベテランがひたむきに自分の与えられた役割をこなす姿が、若手にいい影響を与えるのだ。
次節は広島市民球場でのカープ3連戦でロードを締めくくり、甲子園に帰ってジャイアンツ3連戦となる。6位のチーム、5位のチームと続けて対戦するわけで、ここで取りこぼしのないようにして首位の座を固めていければ、最高の結果にぐっと近づく。逆に苦戦しているようだと、可能性はぐっと低くなる。
甲子園はタイガースの帰りを待っているぞ。
(2005年8月22日記)