愛すれどTigers


長期ロード11年ぶりの勝ち越し

 長期ロードの締めくくりとなる広島市民球場でのカープ戦は、初戦に勝って11年ぶりの長期ロード勝ち越しを決めたものの、まさかの連敗で1勝2敗。甲子園に帰ったジャイアンツ戦は初戦こそ落したものの連勝して2勝1敗。今節は3勝3敗と五割で乗り切った。しかし、3連敗の間にドラゴンズが連勝して急接近。なんとゲーム差は1.5に縮まった。
 どうも優勝を意識した発言をヒーローインタビューでするたびにプレッシャーがかかるみたいな気がする。逆にドラゴンズは追う者の強みでプレッシャーをばねにしているような感じだ。しかし、急性扁桃炎で2試合欠場した藤川の穴をウィリアムスと久保田の2人でカバーするなど、結束は固まってきた。1985年の優勝時、9月はじめに山本和行がアキレス腱断裂で欠場した穴を福間や中西がみごとに埋めたのを思い出した。まだまだ予断を許さない緊迫したペナントレースは続く。
 タイガースのここまでの今季成績は68勝47敗5分。残り試合は26……。

◎カープ14回戦……7−1
 井川は初回に嶋のライトスタンドへのソロホームランで1点を先制されたものの、そのあとはストライクを先行させて打ち取るピッチングで、わずか97球で完投。打線も制球難の大竹を攻め、2回表に2四球でチャンスを作ると赤星のレフト前ヒットで同点に追いついた。3回表には金本と今岡が連続ヒットで出塁し、桧山の打席で大竹の暴投を捕手の倉が弾いた上に金本を三塁で刺そうとして悪送球。これで金本が一気にホームインして勝ち越した。5回表には2死満塁から井川が叩き付けるようなバッティングで高いバウンドの内野安打を放ち1点を追加、さらに赤星がレフト前に2点タイムリーを放って突き放す。8回表、四番手の広池から代打濱中と矢野が連続タイムリーを放ち2点を追加して大差をつけた。井川がやっとエースらしい落ち着いた投球を見せ、ハーラートップの11勝目をあげた。
◎カープ15回戦……1−8
 プロ入り4年目の22歳左腕大島にやられた。5回表に今岡が打ったレフトスタンドへのホームランがなんとこの試合の初安打。7回表に金本がセンター前にヒットを打ったが、この試合、なんと安打はその2本だけ。福原は相性の悪い広島市民球場ということもあり、2回裏に前田に先制の2ランを打たれ、1点差で迎えた6回裏に前田のタイムリーと栗原のスリーランで4点を奪われノックアウトされた。二番手には久々の一軍登板となる橋本が新井のタイムリーで2点を失い、最後は佐々岡、ベイルに完全に抑えられて逃げ切られた。二軍の選手も打ち込んだ大島にやられてしまうというのは……、これだから野球というのは面白いともいえるが。
◎カープ16回戦……5−7
 下柳が2試合連続の乱調。初回、緒方にヒットを打たれたものの矢野が盗塁を刺して流れを引き寄せたかに見えたが、山崎には内野安打、そして嶋にライトスタンドへのツーラン。3回裏には緒方にソロホームラン、4回裏には前田のライトスタンドにつき刺さるソロホームランと倉のフェンスぎりぎりにすぽっとはいった狭い球場ならではのツーランで3点を失い、なんと6失点KOという今季最悪の結果に終った。タイガース打線はロマノの荒れ球に手こずって5回まで1安打と手も足も出ない。しかし6回表、先頭の赤星がヒットで出塁して今季50個目の盗塁を決めると、不振のシーツの代役片岡が四球でつなぎ、金本も内野安打で満塁に。今岡がレフトスタンドに今季3本目の満塁ホームランを放ち、2点差に迫った。しかし、直後の6回裏に桟原が前田にホームランを打たれて流れを引き戻される。7回表には二番手田中を攻めて無死一二塁のチャンスを作るが、三番手佐竹の前に赤星、鳥谷とも内野ゴロ。その間に1点は入ったが、カープは森、広池、佐々岡と一人一殺の継投でタイガースの流れを断ち切って、ベイルで最終回を締めて逃げ切った。下柳はプロ入り通算1000奪三振を記録したが、狭い球場を意識してランナーをためるのを嫌ったのか、ストライクを揃えにいく傾向が強く、そこを狙い打たれた。次の登板は甲子園なので、持ち味の余裕あるピッチングを再び見せてほしいものだ。
◎ジャイアンツ16回戦……0−4
 プロ入り24年目、42歳の大ベテラン工藤に、力とコントロールをミックスしたみごとな投球をされてしまった。初回、鳥谷のヒットをシーツが併殺で帳消しに。2回裏には金本と矢野のヒットでチャンスを作ったが、関本がショートゴロでつぶす。そして3回以降は、四球のランナーを一人出しただけでノーヒット。7回からはシコースキーが、9回裏には林がマウンドに上がったが、気ばかり焦って三振の山を築いてしまった。先発は谷間のダーウィン。2回表、仁志のホームランで先制され、4回表には村田にタイムリーを打たれて2点目を献上、この回限りでマウンドを降りた。二番手の江草が2四球のあと阿部にタイムリー二塁打を打たれたのも痛かった。
◎ジャイアンツ17回戦……5−2
 沈滞気味の打線に喝を入れたのは金本の一発だった。初回に安藤が阿部のタイムリーで1点を失ったが、桑田からその裏にシーツがレフトスタンドに逆転のツーランホームランを放つ。そして金本がライトスタンドに会心のソロホームラン! 3回裏には今岡のライトオーバーのタイムリーで1点を追加、桧山もヒットで続いて桑田をKOした。安藤は6回表に阿部にうまくレフト前に転がされて2点目を失ったが、7回裏、四番手の岡島から金本がライトスタンドへ突き刺さるこの日2発目のソロホームランをぶち込んで点差を広げ、7回表からウィリアムスが登板、8回途中に久保田にスイッチし、そのまま最後まで投げ切ってジャイアンツの反撃を許さなかった。赤星が3回表に俊足の鈴木を三塁で刺すなど、守備も投手陣をよく助け、急性扁桃炎で欠場した藤川の穴を埋めた。
◎ジャイアンツ18回戦……6−2
2005年4月28日
 この試合は私はライトスタンドで観戦。初回、杉山が課題の立ち上がりを攻められて小久保のタイムリーで先制されたが、続く阿部を一塁併殺に切って取って最少失点にとどめた。ジャイアンツの先発は7月以降勝ち星に見放された上原。1回裏、センター前ヒットのシーツをおいて金本がレフトスタンドに逆転ホームランを放つ。4回裏、二塁打のシーツが金本のヒットで本塁を突くも、ホームでアウトに。しかし、今岡が粘って四球でつなぐと、桧山がセンター前にタイムリーを放ち、3点目を入れる。杉山は6回表に高橋由のタイムリーで1点を奪われたが、その裏に打線が反撃。金本と今岡の二連打でチャンスを作ると、桧山か初球を絶妙のバント。矢野の当たりは前進守備の内野手の間を抜けてセンター前に転がり2点タイムリーとなる。これで上原は降板。7回裏には岡島からバックスクリーンの左にきれいに放り込むソロホームランでだめ押し。7回表からはウィリアムスと久保田の「F抜き」リレーでジャイアンツ打線を抑え込み、みごとに連勝。4回表、金本が本塁にストライク返球をして高橋由を滑り込ませもしないどんぴしゃりのアウトを取るなど、前日に続いて守備の面でも随所に好プレーが見られた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 5安打97球の完投勝利は、一昨年を思い出させる素晴らしい内容。この調子で前回メロメロになってしまったドラゴンズに対しても追撃の出鼻をくじく好投を見せてほしいものだ。
野手……金本知憲 連敗で嫌なムードになっていたのを救ったのが4番打者だ。奇しくも一昨年のロードから帰ってきた甲子園の試合で桑田からホームランを打って沈滞ムードを吹き飛ばした。一昨年の再現がなるか!

 さあ、いよいよ甲子園でドラゴンズと直接対決だ。いい形で9月を迎えるには、この3連戦は勝ち越したいところ。よしんば負け越して首位を奪回されたとしても、今度は好守交代で追う身になれるのだと割り切るくらいの気持ちで応援したい。いやもちろん3連勝してくれればいうことないのですけどね。

(2005年8月29日記)


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