愛すれどTigers


トンネル脱出か、3連勝で2位に3差

 甲子園の首位攻防戦は、初戦を雨で流し、2連戦となった。1勝1敗と五分で切り抜け、続く札幌ドームでのベイスターズ2連戦を2連勝。通算3連勝とする間にドラゴンズがスワローズに1勝2敗と負け越し、一時0.5差に肉迫されたゲーム差が再び3ゲームに開いた。
 左のエース井川にはここぞというところで持ちこたえられない悪癖がまた出たが、福原をリリーフにまわす総力戦を続けたタイガースの執念が相手に伝わったか。今節は3勝1敗と勝ち越し、通算成績も71勝48敗5分とリーグ70勝一番乗り。金本の不振が気になるが、金本が打てない時はシーツと今岡がカバーするというチームワークが今季の持ち味。そう深刻になることもないだろう。

◎ドラゴンズ16回戦……5−7
 苦手の川上を2回裏に攻略! 二塁打の金本を塁に置き、今岡がレフトスタンドに運ぶ先制2ラン! さらに矢野もレフトスタンドにソロホームランを叩き込んで3点を先制した。ところが、井川が持ちこたえられない。3回表、先頭打者の荒木は今岡へのサードゴロ。これを今岡がこぼして出塁を許した。井端にセンター前ヒットで続かれ、立浪には四球。T・ウッズへの外角への1球はライトスタンドまで運ばれる逆転満塁ホームラン……。さらに福留にもライトスタンドにソロホームラン……。4回表には荒木と井端に連打を食らい、井川はなすすべもなく降板した。急遽登板した橋本は立浪を歩かせて満塁とし、T・ウッズの犠牲フライト福留への押し出し四球で2点を失った。5回裏には金本のタイムリー、6回裏には桧山のソロホームランで2点差と迫っただけに、この2失点は大きかった。四番手で福原をリリーフ登板させるなど、岡田監督も勝とうとする気持ちを全面に出したが、落合監督は石井、鈴木、高橋聡、山井と若手を小刻みに投入して切り抜け、最後は岩瀬が締めくくる。この敗戦で、2位ドラゴンズとの差は0.5ゲームに。なお、桧山のホームランはプロ入り通算150号。
◎ドラゴンズ17回戦……8−1
 岡田監督の来季続投も決まり、あとは今季を優勝で飾ることに専念できるようになった。下柳は初回、1死一三塁からT・ウッズをショートゴロに打ち取る。併殺はならず、三塁ランナーが生還して1点を先制された。しかし、天敵の山本昌を3回裏にとらえる。レフト前ヒットの赤星が盗塁を決めると、シーツが同点のタイムリーをレフト前に。金本が凡退したあとの初球、今岡がレフトスタンドへ逆転の2ランを放つ。5回裏には鳥谷が二塁打、シーツがレフト前ヒットで1死一三塁のチャンス。ここで落合監督は山本昌をあきらめ、若い鈴木にバトンタッチ。今岡は6球ファールで粘り、10球目を片手でレフトスタンドに運ぶ3ラン! 7回裏にはあわや3打席連続ホームランかという大きな当たりの三塁打でシーツを迎え入れ、代打濱中の犠牲フライでこの回2点を加えた。7回には新人石井が、8回にはプロ入り初登板の小林が、金本と桧山にそれぞれ頭の近くを通る危険球を投げ、小林は退場。あわや乱闘というところまでいく。下柳が役目を果たして降板したあと、福原からウィリアムス、藤川、久保田とつないで久々のJFK揃い踏みとなった。ゲーム差を1.5と戻したのである。
◎ベイスターズ19回戦……4−3
 移動日にドラゴンズがスワローズに敗れたため、ゲーム差は2と広がる。
 初回、安藤は佐伯のタイムリーで先制されるが、3回表、門倉の乱調でタイガースも反撃。赤星、鳥谷と連続四球でチャンスを作り、シーツがセンター前に同点タイムリーを放つ。一塁走者の鳥谷は一気に三塁へ。金本の四球の球を捕手の相川が後ろにそらし、鳥谷が生還して勝ち越し、この間にシーツも三塁へ進む。今岡がセンターへ犠牲フライを放ち、点差は2点に開いた。さらに6回表、二塁打の桧山は矢野のライトファールフライで三塁に進み、藤本は敬遠気味の四球。ここで安藤が門倉のグラブを弾く投手強襲タイムリーで1点を追加した。安藤は7回途中まで好投し、ウィリアムスにつなぐ。8回には藤川を投入、ぴしゃりと抑えて9回表には久保田がマウンドへ。ところが、久保田は球道が定まらない。小池、内川、石井とヒットを打たれて1死満塁に。代打の鈴木には押し出しの死球を与え、金城の当たりはあわやライトに抜けるかという強烈なものだったが、シーツが好捕、久保田の一塁ベースカバーが遅れて内野安打となり1点は入れられたもののなんとか1点差までで踏ん張る。佐伯を三振に打ち取り、最後の打者は多村。平凡なショートゴロだったが、鳥谷の送球がそれる。シーツが捕球したままうまいタッチで多村をアウトにし、なんとかゲームセット。薄氷を踏むような勝利ではあったが、最後のシーツの守備にはしびれた。
◎ベイスターズ20回戦……2−1
 杉山と土肥の息詰まるような投手戦。先制したのはタイガース。3回表、杉山が送りバントをしようとして右ヒジに死球を受けるというアクシデントにもめげず熱投するのに、4回表、スペンサーが残留アピールの先制ソロホームランをレフトスタンドに叩き込む。しかし、5回裏、相川のタイムリー二塁打で杉山は同点に追いつかれた。両先発とも7回を投げ切り、リリーフにあとを託す。タイガースはウィリアムス、藤川が1回ずつぴしゃりと抑え、ベイスターズは加藤、川村のリレー。延長10回表、金本が四球で出塁すると、スペンサーはバントの構えをしたりして撹乱、叩き付けるような投手ゴロでランナーを二塁に進めた。矢野のライト前ヒットで一三塁とし、打席には途中出場の藤本が。センター前に弾き返して待望の勝ち越し点を奪った。最後は久保田が昨日のお返しとばかりに三者凡退に抑えて逃げ切り。ドラゴンズか敗れたため、ゲーム差は3に広がった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 前日の敗戦で嫌な雰囲気になったのを、1失点のみにドラゴンズ打線を抑えて今季11勝目。井川は下柳を見習いなさい。
野手……今岡誠 川上から、山本昌から連日のホームラン。この勝負強さ! 暗雲を吹き払う大活躍である。

 台風が近づく中、ナゴヤドームで2連戦が待っている。ここを1勝1敗でしのいだら、相性のいいカープ戦を甲子園で3試合。打線は少し下降気味だが、投手陣の踏ん張りに期待できる。一気に突き放せるのか、再びつばぜり合いになるのか。残り22試合、まだまだ目が離せない。

(2005年9月5日記)


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