愛すれどTigers


「勝てたらいいな」でマジック3に

 甲子園でのドラゴンズ3連戦はドラゴンズが最後の意地を見せて2連敗したものの下柳の好投で連敗をストップさせ1勝2敗。ドラゴンズとの今季対戦成績を五分にして終らせた。倉敷マスカット球場と広島市民球場のカープ戦では勢いもあって3連勝。ドラゴンズがジャイアンツに3連勝したのでマジックは自力で減らした分だけだがそれでも3にまで減った。これで甲子園での胴上げの可能性がでてきた。ドラゴンズ戦のヒーロー下柳は今季2回目のお立ち台で「勝てたらいいなと思って投げていました」と答えて満員の甲子園をわかせたが、そういう気ばらなさが今季のムードを示しているように思う。今節は4勝2敗、今季通算では82勝52敗5分と〈貯金〉を最大30にまでのばし、2位との差は7.5差。優勝決定の日は刻々と近づいている。

◎ドラゴンズ20回戦……2−12
 なんとプロ入り2年目で今季初登板初先発の佐藤に手こずってしまった。5回裏に1死満塁から赤星のセンター前ヒットと鳥谷のレフト犠牲フライで2点取るのがやっと。4回まで1安打に抑えられてしまったのだからどうしようもない。対する杉山は初回に福留の二塁打で先取点を取られると、立浪の二塁打、荒木のレフト前のタイムリーで2点取られ、井端に死球を与えて満塁とし、福留とウッズの連続タイムリーでさらに3点を奪われノックアウト。交代した江草も暴投で1点を失いこの回6失点で試合はほぼ決定した。その後も5回表に投手の佐藤にプロ入り初安打を打たれるなどしてピンチを作り、荒木のタイムリーで1点を失い、江草も降板。江草は指を傷めて次の試合から登録抹消と踏んだり蹴ったりであった。三番手の橋本はきっちり2回を無失点で切り抜けたが、四番手の桟原が8回表に高橋光の犠牲フライ、立浪、英智のタイムリーと荒木の犠牲フライで4失点……。ドラゴンズは6回以降は金剛、山井、鈴木、久本と小刻みなリレーでタイガース打線を無失点に抑えた。若手投手陣の踏ん張りで最後の意地を見せつけられ、マジックは8のまま変わらず。
◎ドラゴンズ21回戦……2−5
 ルーキーの中田に今季3敗目。井川は相変わらずぴりっとせず、2回表に森野の2ランで先制される。その裏、中田は今岡のヒジに死球を与え、これで少しは動揺したか桧山に二塁打を打たれる。2死になり藤本敬遠で満塁。井川への4球目がワイルドピッチとなって1点差に。そして3回裏、先頭の赤星がヒットで塁に出ると、鳥谷がきっちり送り、片岡が歩く。金本の同点のライト前ヒットが飛び出し、一気に逆転といきたかったが、今岡がショートゴロで併殺……。4回裏には桧山と矢野の連続ヒットでチャンスを作り、井川が送ってビッグイニングとなる好機だったが赤星が三振……。5回裏には2死から金本、今岡、桧山と3者連続四球で満塁のチャンスを作るも矢野がショートゴロ……。井川はとうとう6回表に福留に2ランを打たれてこの回限りで降板した。二番手に藤川を投入したが、谷繁にホームランを打たれてしまい、試合は決まった。6回裏、2四球を出して中田は降板したが、石井が鳥谷を三振に、岡本が関本をセカンドゴロに打ち取り、反撃はならず。7回裏には山井から今岡と桧山が連打でチャンスを作るが矢野がセカンドゴロ併殺でチェンジ……。最後は平井、岩瀬の継投でかわされた。タイガースはウィリアムス、久保田とつぎこんで味方の反撃を待ったが、一矢もむくいられずJFKトリオで価値試合というパターンが崩れた。
◎ドラゴンズ22回戦……4−0
 下柳の好投に尽きる。6回を投げて無失点だが、三者凡退は2回表のみ。あとは必ずヒットを許しながらも低めにていねいに投げて凡打の山を築き、ドラゴンズの勢いを止めた。エース川上を得意とする金本が2回裏にライトスタンドへ一直線の先制ソロホームランを放ち、4回裏には鳥谷と片岡の連打でチャンスを作ると、金本の打席で川上が暴投、そして桧山がセンター前にタイムリーを放って2点追加。7回からはウィリアムス、藤川、久保田が1イニングずつしっかり抑え、7回裏、関本のタイムリーでだめ押しの1点を入れて勝利を決定づけた。直接対決に勝ったのでマジックは6に減った。なお、この試合4投手が6奪三振し、年間のチーム奪三振は日本新記録の1128となった。
◎カープ20回戦……8−6
 先制したのはタイガース。レイボーンの立ち上がりをとらえ、初回に赤星と鳥谷の連打でチャンスを作ると片岡がレフトに犠牲フライを放ち、まず1点。2回表には2死から藤本がライト前ヒットで出塁しレイボーンの暴投で二塁に。福原がライト前に弾き返して2点目。3回表には鳥谷と片岡の連打で作ったチャンスに今岡のタイムリーと藤本の二塁打で一挙4点を奪って6点差と試合を決めたかに思われた。ところが、福原がその直後の3回裏に乱調。比嘉のサードゴロを今岡がエラーで生かしたのをきっかけに嶋、新井の2連打で2点を奪われ、四球などで満塁としたところで緒方の打席に暴投、3点目を失って試合はわからなくってきた。4回裏には山崎のタイムリーで2点差に詰め寄られ、5回裏に緒方のライトスタンドへのホームランで1点差とされてこの回限りでマウンドを降りた。1点差を守っていこうと6回裏には桟原、7回裏にはウィリアムスを投入、なんとか逃げ切れそうなムードになったが、8回裏、ウィリアムスが先頭の前田にヒットを打たれ、藤川にスイッチすると、野村への四球などで2死一二塁とし、森笠のレフト前タイムリーでとうとう追いつかれてしまった。カープは4回表から佐竹、横山、永川とつぎこみタイガース打線を沈黙させて打線の反撃を呼んだ。そし9回表、大ベテランの佐々岡が登板。鳥谷と片岡の連打で無死一二塁とするも、頼みの金本と代打の濱中が凡退して万事休す。ところが、桧山の打球はレフトの頭をこえる2点タイムリーとなり、一度はカープにいきかけた流れを引き戻した。最後は久保田が登板し、しっかり抑えて逃げ切り。しかし、最下位ながらカープの粘りはなかなかのもの。それにしても井川と福原が続けてKOされるという状況は、日本シリーズに向けて不安材料ではある。なおマジックは5となった。
◎カープ21回戦……6−3
 能見が好調の滑り出し。3回裏まで無失点で切り抜けたが、4回裏に新井のライトスタントの先制ソロホームランで1点を奪われた。しかし、4回まで1安打に抑えられていた大竹から、5回表、矢野がレフトスタンドに同点ホームランを放つと、続く藤本が今季第1号の勝ち越しホームランをライトスタンド最前列にライナーでぶち込む。6回表には1死一二塁で桧山が差中間を破るタイムリー、矢野の死球で満塁にした後、藤本は押し出しの四球を選ぶ。これで大竹は降板、二番手佐竹から二塁比嘉の悪送球の間に1点を加え、赤星の内野安打でこの試合6点目を奪った。能見は味方の援護もあって8回途中まで好投したが、緒方の犠牲フライと嶋のタイムリーで2点を失い、藤川にスイッチした。藤川が後続を断ち、9回裏には久保田が抑えて連勝。マジックを4とした。
◎カープ22回戦……6−4
 5回までは杉山と大島の投手戦。大島は6回表に2四球などで1死満塁とチャンスをくれたが、スペンサーと矢野が連続三振に倒れ、チャンスをものにできない。6回裏、新井と前田の連打、そして栗原の四球で満塁のチャンスを作ると、森笠のライト線への二塁打で2点を先取。しかしタイガース打線も粘る。藤本、鳥谷のヒットなどで1死満塁のチャンスに桧山が一塁線を破るタイムリー(記録は新井のエラー)で同点に。続く金本は高いバウンドの二塁ゴロだったが、桧山がフェイントをかけるような走塁を見せて内野の送球を遅らせ、併殺崩れとなり、その間に鳥谷が生還して勝ち越しのホームを踏んだ。7回裏にはウィリアムス、8回裏には藤川と必勝パターンで臨んだが、藤川は野村の二塁打などで1死二三塁のピンチを招く。松本高の打席で藤川は痛恨の暴投、三塁ランナーが生還して同点に、バックアップした藤川が本塁悪送球で二塁ランナーまで生還させて逆転を許した。これを救ったのが今岡だ。先頭の赤星は切り札ベイルからファールで粘りに粘って四球を選び、鳥谷がバントで送る。代打濱中も四球でチャンスを作るが、金本が凡退して打席は今岡。2ストライクまで追い込まれながら起死回生の逆転3ランをレフトスタンドにほうりこむ。みごとな逆転ホームランに、やっと優勝チームらしい勢いと幸運を感じることができた。マジックは3に減り、いよいよ胴上げは目の前である。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 ドラゴンズに2連敗していたところへ流れを呼び込む快投。お立ち台での照れた表情がまたいいのだよね。あのお立ち台だけでMVP決定です。この調子で最多勝利のタイトルも、どうですか?
野手……桧山進次郎 ここにきて勝利に貢献する一打がたびたび出るようになった。若手が硬くなってしまうような時に、桧山のような経験豊富な選手が活躍するのがいいのです。頼りにしてまっせ!

 ドラゴンズの結果次第ではあるが、甲子園のジャイアンツ戦では無理でも、その後の神宮でのスワローズ戦で優勝は決まるだろう。ぜいたくはいわない。足踏みなしで優勝を決めてほしい。10月5日の最終戦には観戦にいく予定だけれど、そこまで延びるなんてことは、まあなかろう。岡田監督の胴上げかあ。早く見たいなあ。わくわく。

(2005年9月19日記)


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