愛すれどTigers


2年ぶりの優勝、甲子園で胴上げ!

 マジック3で迎えた甲子園のジャイアンツ2連戦。初戦に勝つと、ドラゴンズはベイスターズに敗れてとうとうマジック1に。そして9月29日(木)、タイガースはジャイアンツを下して自力で優勝を決定させた。岡田監督の胴上げはだんだん横にずれていってけっしてかっこよくなかったけれど、喜びは十分伝わってきた。ビールかけの翌日には神宮球場でスワローズ3連戦。れを2勝1敗と勝ち越し、今節は4勝1敗。86勝53敗5分。ドラゴンズに8ゲーム差をつけ、優勝確定。選手層の厚さと適材適所の配置でつかんだ、堂々の優勝である。
 おめでとう!タイガースナイン! おめでとう!岡田監督!

◎ジャイアンツ21回戦……7−5
 初回、高橋尚を一気に攻め立て試合を決定づけた。赤星がいきなり三塁打でチャンスを作り、鳥谷のセンター前タイムリーで先制。シーツと金本が連打で満塁とし、今岡がレフト前に2点タイムリー。スペンサーが四球を選んで再び満塁とし、矢野のレフトへの犠牲フライで4点目。1死の後、井川がセンター前にタイムリーをうって5点目。さらにこの回2度目の打席の赤星がライト前タイムリーで6点目。井川は楽々完投かと思われたが、直後の2回表、仁志に2ランを打たれ、4回表には1死一二塁から村田にレフトオーバーの2点二塁打を打たれて2点差にまで迫られた。勝ち投手の権利を得る5回を投げ切ったところで交代となったのもやむを得まい。4回裏、二番手シコースキーから鳥谷が二塁打でチャンスを作り、2死三塁としたところで今岡がレフト前にタイムリーを放ち、点差を広げる。こうなると6回は橋本、7回はウィリアムス、8回は藤川と磐石の投手リレーでリードを守る。9回表、久保田はジャイアンツの若い矢野にレフトスタンドへのホームランを打たれ2点差とされたが、村田、川中と凡打に打ち取り逃げ切った。ドラゴンズの敗戦が既にわかっており、この時点でマジック1。理想の展開で翌日の試合を迎えることになった。なお、この試合で藤川はシーズン7試合目の登板を記録、稲尾(L)、菊地原(C)にならぶ日本最多登板となった。
◎ジャイアンツ22回戦……5−1
 優勝を決める試合、硬くなってたのはジャイアンツのナインだった。初回、赤星のショートゴロを二岡がお手玉して悪送球。鳥谷の打席の時に内海がワイルドピッチで赤星を二塁に進める。そして金本がレフト前に先制のタイムリー。2回裏には二塁打のスペンサーを二塁に置き矢野のヒットで一三塁、関本が三遊間を破るレフト前ヒットで2点目を奪う。下柳がバントを決め、赤星の高いバウンドの二塁ゴロの間に矢野が生還して3点目を入れた。こうなると先発下柳は余裕の投球。ジャイアンツは堀田、矢野謙、岩館ら控え選手がスタメンに名を列ねる格下の打線。3回まで一人のランナーも許さず、4回には2安打、5回には先頭の阿部の二塁打とピンチを作るも後続をぴしゃりと断つ。6回を投げ切ったところで藤川に交代。シーズン最多登板新記録の79試合目を優勝決定試合で決めるという巡り合わせは奇跡的ですらある。むろん楽に抑える。ジャイアンツは内海を4回で交代させ、マレンにスイッチ。7回裏、そのマレンから2死満塁のチャンスを作り、桧山のライト前ヒット、矢野のレフト前ヒットと2連続タイムリーで5点目を加えて試合を決定づけた。8回表にはウィリアムスが岩館、三浦、堀田を連続三振に切って取り、いよいよ9回表には久保田が登板。さすがに硬くなったか、矢野謙、高橋由に連打を浴び、小久保は三塁ゴロの併殺に打ち取ったが、矢野謙を三塁に置いて暴投、1点を許す。「あと1球」コールの中、二岡にヒットを打たれてしまう。続く阿部の打球はレフトライナー。満面の笑みを浮かべた金本がこれをキャッチし、今シーズンのリーグ優勝を決めた。マウンド上に選手が駆け寄り喜びの抱擁。ゆっくりと岡田監督がダグアウトから出てきて、下柳らが花道を作る。そして、岡田監督は宙に舞った。
◎スワローズ20回戦……4−8
 歓喜のビールかけと、そのあとのインタビューが午前3時まで続き、明けて東京へ新幹線で。ラストのスタメンには濱中の名前が入る。日本シリーズを見越しての起用だろう。その濱中が2回表、石川から三塁打を放ち、関本のあわやホームランという二塁打で生還。その裏、福原はリグスのソロホームランで同点にされる。5回表、濱中、関本が連打でチャンスを作り、先発マスクの浅井がタイムリー二塁打で1点リード。さらに福原にもタイムリーが出、赤星の併殺の間に浅井が生還して点差を3と広げた。しかし、福原はぴりっとしない。6回裏、岩村のホームランとリグスのタイムリー二塁打で1点差と迫られ、この回限りで降板した。二番手の江草は指の怪我からの復帰登板。その影響か、1死一二塁でラミレスにタイムリーを打たれて追いつかれ、リグスの3ランで勝ち越しを許してしまう。続いて桟原が登板したが、真中、城石に連打を食らい、米野の犠牲フライでこの回5点目を奪われた。スワローズは二番手の吉川が好投、佐藤賢、五十嵐とつないでタイガース打線を封じ込めた。それでも東京のタイガースファンは岡田コール。岡田監督は三塁スタンド前に選手を並べて深々と一礼。声援に応えた。
◎スワローズ21回戦……10−5
 ゴンザレスを初回に攻略。赤星は初回に内野安打で出塁しすかさず盗塁、この試合先発出場の林がセンター前にタイムリー。金本がヒットでつなぎ、今岡がタイムリーを放ってあっという間に2点を先制した。5回表には二塁打の鳥谷と四球の林を置いて金本がライトスタンドに3ランホームラン! 自己最多の39号で40発に王手をかけた。さらに6回表、二番手本間から鳥谷の三塁打などで2点を加え、7点差をつける。夫人の看病で登録を抹消されていた安藤が久しぶりの登板。5回までは無失点で切り抜けてきたが、6回につかまった。岩村にタイムリーを浴びると、死球などで2死満塁。真中の二塁打で2点を、さらに城石のヒットで2点を失い、あっというまに2点差に迫られた。しかし、スワローズの反撃もここまで。7回には能見、9回は橋本が登板してランナーは許しながらもなんとか抑える。9回表、四番手の山部から連打で出塁し、五番手の五十嵐は今岡を敬遠。桧山の二塁打で2点、藤本もタイムリーを放ってこの回3点を追加、結局大差をつけて逃げ切った。この試合、赤星が8回に年間60個目の盗塁を決め、セ・リーグでは初めての3年連続60盗塁となった。
◎スワローズ22回戦……7−0
 杉山と藤井の投手戦かと思われたが、3回表、鳥谷が2ランを放って先制。4回表には今岡の年間打点球団タイ記録の146打点目となるソロホームラン、そして関本のホームラン性の二塁打でさらに2点を加えた。6回表には2死から関本と杉山が連打でチャンスを作り、赤星のレフト前タイムリーでさらに1点を追加。鳥谷がヒットで続き、満塁。そして藤本が三塁後方にヒット、ショートの宮本がまわりこんで追いついたが、本塁へ送球するも二塁ランナーの赤星が俊足を飛ばして一気に生還し、2点内野安打という珍記録となった。藤井はこれで降板、その後は本間、そして新人の丸山貴に抑えられた。しかし、タイガースは杉山を6回で交代させ、調整の意味あいと東京のファンへのサービスもこめて、桟原、藤川、ウィリアムス、久保田と豪華リレーでスワローズを完封した。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……藤川球児 優勝決定試合での年間最多登板新記録達成に価値がある。記録のためだけの登板ではないのだ。胸をはれる新記録なのだ。
野手……今岡誠 こちらはあの藤村富に並ぶ年間最多打点のチーム記録を放った。消化試合とは思わせない集中力に脱帽。

 とうとう次節で今季の前日程が終了する。空模様の関係で10月5日が6日にのびる可能性もあるが、そうなったらそれでなんとか例年のように最終戦をこの目に焼きつけてシーズンを終りたいものである。
 なお、10月3日に高校生のみ対象のドラフト会議が行われ、タイガースは近大附の鶴投手を単独指名した。有望新人が目白押しという今年、果たして鶴は大阪桐蔭の辻内(G)や報徳学園の片山(E)らを超える投手に成長してくれるか。こちらも楽しみでならない。

(2005年10月3日記)


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