愛すれどTigers


下柳延長戦完投と鳥谷サヨナラ弾で閉幕

 甲子園でのベイスターズ最終2連戦は、1勝1敗。しかし、最終戦には2−2のまま延長戦に突入し、下柳が今季最長の10回を投げ抜き最多勝利投手の可能性を残す15勝目を記録、球団史上初めてという鳥谷の最終戦サヨナラホームランで幕を閉じた。まさに優勝チームらしい劇的な勝利であった。試合終了後、今岡選手会長の「今年は日本一をとります!」という力強いあいさつがあり、日本シリーズに向けて選手のモチベーションが高まっていることが感じられた。まだ全日程が終了していないのでタイトルは完全に確定していないが、藤川の最優秀中継ぎ投手賞、今岡の打点王、赤星の5年連続の盗塁王は決定的。残るは下柳の最多勝利だけだが、こちらは黒田(C)が15勝で並んでおり、残り1試合に登板して勝利投手になれなければ、2人同時のタイトルということになる。できれば数少ないチャンスだけにタイトルをとらせてあげたいところである。
 今季のタイガースの戦績は、87勝54敗5分。勝率.617。2位ドラゴンズには10.0ゲーム差をつけ、優勝。

◎ベイスターズ21回戦……4−6
 最多勝利を狙う井川が先発。打線もタイトルをとらせようと4回裏、苦手三浦から林がライトスタンドにプロ入り初ホームランを放つと、続く金本が大台に乗せる40号ホームランをバックスクリーン横に叩き込んで2点を先取した。しかし、井川は期待に応えられない。5回表、多村にソロホームランを浴びると、6回表にはヒットの三浦を塁に置いて金城に逆転の2ランを打たれてしまった。7回表には村田のタイムリー二塁打でさらに1点を追加され、この回限りで降板。監督の期待を裏切った。7回裏、二番手の木塚から赤星がタイムリーを打って1点差としたが、直後の8回表、ウィリアムスが小池にソロホームランを打たれて差は再び2点に。9回表に三番手桟原が万永の二塁打で6点目を失う。それでも最終回、クルーンからスペンサーが四球で出塁すると、代走の赤松が二塁へプロ入り初盗塁。関本がライト前ヒットで返して意地を見せた。
◎ベイスターズ22回戦……3−2
 下柳と門倉の投手戦。下柳は4回表、1死満塁から種田のセンター前ヒットでまず1点を失い、続く村田にもレフト前ヒットを打たれて2失点目。しかし、そこからよく踏ん張り後続を断った。これに打線も応える。4回裏、二塁打のシーツを今岡がライト前にぽとりと落ちるヒットで返して1点差に。この打点で今岡は藤村富のチーム年間最多打点記録を抜く147打点に達し、プロ野球史上でも単独第3位となった。6回裏、鳥谷がセンターバックスクリーンにきれいな放物線を描く同点ホームランを放ち、試合は振り出しに戻った。ここから両投手一歩も譲らず。バックもこれを助ける。8回表、2死一二塁から村田の打った当たりはセンターの頭を超えるかという大飛球。しかし、赤星がこれを倒れこみながらキャッチし、ピンチを逃れた。いつもなら100球程度で降板する下柳だが、この試合は違う。同点のまま迎えた9回裏にも打席に立ち、延長10回を投げ抜いた。10回裏、二番手加藤から鳥谷が左中間スタンドに運ぶサヨナラホームランを放ち、みごとなサヨナラ勝利。下柳の必死の完投に報いた。試合前から強い雨の降る中、私を含めた4万7千人の観衆がこの劇的な勝利に酔い、選手が引き上げた後も六甲颪が甲子園に響いていた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 最後の最後で延長戦完投勝利。プロ入り最高の勝ち星となった。まだ最多勝利のタイトルをとる可能性を残している。まさしく頼りになる投手陣のリーダーであった。
野手……鳥谷敬 同点ホームランとサヨナラホームラン。打撃に力強さが加わり、日本シリーズでの活躍も期待できる。

 日本シリーズは10月22日開始。パ・リーグはプレーオフでホークスとマリーンズが決着をつけるという展開となっていて、相手もまだ決まらない中での調整となった。村上ファンドの阪神電鉄株買い占めという話題はあるが、一昨年の星野監督退任ほど選手に動揺を与えるものではないだろう。私としてはホークスと対戦して一昨年のお返しをしてほしいという気持ちが強いのだが、さてどうなるか。この時期にまだ楽しみがあるということが、嬉しい。

(2005年10月10日記)


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