愛すれどTigers


明日から日本シリーズ

 いよいよ明日10月22日から日本シリーズが開幕する。優勝を決めてから3週間強、間があき過ぎて実戦勘が鈍っているのではないかという心配はある。ましてやパ・リーグのチームはつい先日まで激しいプレーオフを戦ってきて、試合の感触を残したまま日本シリーズになだれこんできてるのである。ここらあたり、もう少し条件を揃えることはできないものか。
 対戦相手は千葉ロッテマリーンズ。勝率はリーグ2位ながらも、前半戦は独走状態で首位を維持し、交流戦でも1位に輝いたチームである。力量は首位でシーズンを終えたホークスと互角といっていいだろう。
 一昨年よりも有利になれる条件は整っている。第1に、前回は監督退陣のニュースがシリーズ前に広がったが、今年はそれがない。村上ファンドによる電鉄株買収や球団株の上場提起などは選手へ直接響くわけではないので、さほど心配することはないだろう。
 第2に、タイガースは日本シリーズの緊張感を経験している選手が多いのに対し、マリーンズは初めての選手がほとんどであることである。ただ、マリーンズはプレーオフという短期決戦を征して日本シリーズにコマを進めているわけだから、絶対的に有利とまではいえないかもしれないが。
 第3に、今季から導入されたセ・パ交流戦のおかげで6試合、相手と真剣勝負をしていること。これは手探りであった一昨年と大きく違う。ただし、この条件は相手も同じなので、あくまでも一昨年よりは有利というだけに過ぎないけれども。
 さて、マリーンズの場合、試合ごとに先発オーダーが変わる。タイガースは投手の左右で6番と8番の打者は入れ代わるが、あとは不動である。この違いが短期決戦にどう響いてくるかが勝敗の分かれ目になってくるだろう。とにかくタイガースの勝ちパターンは早い回に赤星が出塁して相手バッテリーをかきまわし、シーツ、金本、今岡のいずれかで返して先手をとる。そして先発投手が6回くらいまで踏ん張って、藤川、ウィリアムス、久保田のリリーフトリオ「JFK」につないで逃げ切る。これしかないといっても言い切ってもいいのである。つまり、シリーズの鍵を握るのは打者では赤星だ。そして投手では井川や福原といったシーズン終盤不調だった先発投手である。軸は井川でいくのだろうが、初戦を井川で落した場合のことを考え下柳を2番目の先発投手としてローテーションをまわすのが得策だろう。福原はシーズン中でもあったリリーフ起用をしていってもよい。そうなると先発投手を5回で降板させてもいいのだ。
 どちらにせよ、ホークスのように一発でどかんどかんと試合を決めるという展開にはならないだろう。1点を争う展開になるはず。とすると、マリーンズの薮田や藤田の方がリリーフとしては「JFK」に比べるといささか不安定だといえる。リリーフ投手の出来次第で勝者と敗者の立場が変わると考えるのが順当ではないか。
 よく似たタイプではあるが、監督の野球の進め方がかなり違うというところにこのシリーズのポイントがある。「ボビー・マジック」と呼ばれる変幻自在の采配にも慌てることなくどっしりと構えていけば、タイガースの今年の勝ちパターンに持ち込むことができるだろう。一昨年同様、白熱した試合の連続を期待したい。

(2005年10月21日記)


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