愛すれどTigers


2006年キャンプを前に

 いよいよ岡田監督3年目のシーズンに向けたキャンプが始まる。
 昨季はリーグ優勝は果たしたものの、日本シリーズではこれまでにない惨敗をした。いろいろと原因はあったけれども、今振り返ってみると、マリーンズが短期決戦に向いた臨機応変の作戦を取るチームであり、タイガースが長いシーズンを戦い抜き、かつ翌年以降もその強さを持続させていこうというようなチーム作りがなされていた違いだったのかと思わないでもない。
 なぜならば、オフシーズンの補強の仕方にその違いがはっきりと出ているからだ。アジア1という栄冠に輝いたマリーンズは、セラフィニ、イ・スンヨプといった主力選手を契約の不備から手放すという失態をしたのに対し、タイガースはウィリアムス、シーツといった主力の外国人選手だけでなく、スペンサー、ダーウィンといった必ずしも満足できる成績を残したとはいえない選手も、日本野球に慣れてくることを期待してきっちりと残留させているからだ。
 そして、今季のタイガースは昨季のメンバーとほとんど変わらない顔ぶれで臨んでいる。新加入は、大学・社会人ドラフトで関大の岩田稔、大商大の金村大裕、日生の渡辺亮、高校生ドラフトで近大附高の鶴直人、育英高の若竹竜士の5人の投手。野手は樟南高の前田大和内野手だけという徹底した投手補強をした。ここで即戦力と期待できるのは同大から日生を経て入団した渡辺だろう。鶴は超一級の素材だということなので、将来が楽しみである。
 トレードは現在のところ1件のみ。前川投手との交換で下手投げの相木崇投手が移籍してきた。バファローズ時代はサイドハンドに転向していたがもともとはアンダースローということなので、タイガースでは川尻以来のサブマリン投手として活躍してほしいものだ。前川投手にはかつてのチームメイトが多くいるバファローズでもう一花咲かせてほしい。
 新外国人はオーストラリア出身のクリス・オクスプリング投手のみ。オリンピックでは活躍したけれど、米球界での実績はそれほどでもないので、どこまで通用するかはキャンプ、紅白戦を通じて確かめるほかはない。
 したがってキャンプでは現有戦力の底上げが課題となるだろう。昨年大車輪の活躍をした藤川が昨年通りの活躍ができるとは限らないし、今季限りで退団し米球界入りが予想される井川の後継者も育てなくてはならないだろう。一軍キャンプに選抜された伊代野、田村といった実績をこれから積まねばならない投手、そして太陽、三東、金澤ら故障上がりの投手たちの調整が見どころである。
 野手では濱中の肩がどこまで回復してるか、やはりキャンプで調整しながらスタメン起用に耐えるものなのかを見極めていってほしい。赤松、喜田、林ら外野の若手がどこまでベテラン勢に食い込むかも見どころだ。捕手では矢野、野口らベテランを脅かす存在として、浅井、岡崎、狩野らの台頭を期待したい。
 二軍監督的な育成能力には定評のある岡田監督だけに、ベテランと中堅、若手をバランスよく組み合わせたチーム作りが今年も期待できる。連覇を目標に、今年も優勝争いのできるチームに仕上げてくれることを確信している。

(2006年1月30日記)


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