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連覇なるか?注目の開幕

 3月31日、神宮球場でのスワローズ戦を皮切りに、岡田監督のリーグ連覇にむけたシーズンが開幕する。
 正直なところ、連覇は難しいだろうと思う。例えば昨年は、岡田監督の打つ手打つ手がみごとにはまった。鳥谷の期待通りの成長、JFKと呼ばれたリリーフトリオの充実、シーツ・金本・今岡のクリーンアップトリオの活躍、下柳の最多勝利……。井川をエースとして固定して失敗したこと以外はほとんど期待以上の結果を生み出した。
 さ、今季であるが、昨年のような勝ちパターンを確立できるかどうか。ウィリアムスと福原が故障で間に合わず、新しい形を作っていかなければなるまい。福原のかわりに先発には江草とオクスプリングが入り、リリーフには能見がまわる。オープン戦で不調だった桟原と橋本に代わって、トレードで加入した相木と故障から復活した金澤が使える。中村泰と吉野の左腕リリーフも今年は機能しそうだ。投手陣に関しては、層の厚さで新しいパターンを作ることは可能だろう。
 課題は打撃である。濱中はまだ守備に不安があり、林もオープン戦当初の勢いを失った。結局ライトは桧山というところに落ち着きそうだ。セカンドも藤本が固定されるだろう。つまり、昨年と野手のメンバーは変わらないのである。ところが、鉄人金本といえどもいつまでも昨年のような活躍ができるということはないだろうし、桧山もシーズン通じて使うとなると、年齢的なことを考慮すると難しい。若手をうまく起用しながら経験を積ませるということがなければならないのだ。
 岡田監督は、勝つためにはメンバーを固定すべしという信念を持っているようであるが、それがあの悪夢の日本シリーズのように裏目に出た場合、修復できる柔軟性があるかどうか。ドラゴンズの落合監督のように主力を固定しつつ若手もうまく起用するという柔軟性があれば、若い選手にも自信がつきチームの底力もつくのだが。
 悲観的なことばかり並べてきたが、それでも今年もタイガースが優勝争いに加わることは確実と見ていいだろう。二軍監督には百戦錬磨の島野監督が就任し、選手が故障しても的確に二軍から調子のいい選手を送りだしてくれるだろう。私としては、昨年余り結果を出せなかった葛城や牧野など、経験豊富な選手もうまく起用してほしいと思う。特に外野は競争できる守備位置がライトだけしかなく、喜田や桜井などにはまず先発出場のチャンスもなかなかまわってこないと思われる。それだけに特定の選手だけの競争という固定したものになってしまうと、二軍の選手もくさってしまう。そこで島野二軍監督の練達の手綱さばきが期待できるのだ。
 優勝争いのライバルは、ドラゴンズとスワローズではないかと見ている。ドラゴンズは昨年の雪辱に燃えているだろうし、スワローズはアメリカ帰りの石井一、高津の復帰とラロッカの加入など、着実な戦力補強をしている。特にスワローズは古田新監督の手腕次第でかなり強敵になると思われる。
 昨年Aクラス入りして自信をつけたベイスターズ、好投手をかき集めたジャイアンツ、ブラウン新監督のもと野球の質を変えようとしているカープも、決して侮れない相手だ。
 個人的には、例年と同じく、9月まで優勝争いに加わってくれていることを望んでいる。とにかくあの悪夢の日本シリーズのせいで冷めてしまった興奮をぜひ復活させてほしいものだ。
 さあ、開幕だ。

(2005年3月27日記)


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