愛すれどTigers


仇敵マリーンズにお返しの2連勝

 今年も交流戦が始まった。まずは昨年日本シリーズで完敗した相手、マリーンズを甲子園に迎え撃つ。3連戦の中日を雨で流したが、幸先よい2連勝で溜飲を下げた。続いてはヤフージャパンドームでこれは3年前に日本シリーズで惜しくも敗れたホークスが相手。こちらは苦手意識があるらしく1勝2敗。しかし、交流戦の滑り出しの週は3勝2敗と勝ち越し、上々の発進である。リリーフは整ってきたが、先発が不安定。そこに今岡と金本が少しずつ復調し、打線にもつながりができつつある。今節を終り、今季通算20勝14敗1分。勝率.588。首位ジャイアンツとの差は2.5ゲームと縮まった。

◎マリーンズ1回戦……7−2
 マリーンズ先発のケビン・バーンは、昨年の交流戦ではバファローズの先発として対戦し打ち込んでいる。それだけに苦手意識もない。初回、赤星が内野安打で出塁しいきなり盗塁。藤本のサードゴロで三塁に進み、シーツのライトフライをベニーと塀内が交錯しベニーの膝裏を塀内が踏みつけるというアクシデントの間にタッチアップから先制のホームを踏む。3回裏にはシーツがセンターへソロホームラン、4回裏には今岡がバックスクリーンに飛び込むソロホームラン。5回裏、オクスプリングが二塁打を放ったところでバーンは降板した。二番手の加藤から代打関本がレフト前へタイムリーを放ち、4点差をつけた。オクスプリングは5回までは1安打ピッチング。3回表は三者三振という、変化球の切れのよい投球だった。しかし、6回表、3連打を浴び、今江のタイムリーで1点を失い、なおもピンチ。ここで岡田監督は早めの継投策をとる。能見がフランコを、そして続く金澤が里崎をそれぞれ三振に打ち取り、難を逃れた。四番手のダーウィンは制球が乱れて西岡のタイムリー二塁打で1点を失ったが後続を断つ。8回裏には内から今岡の三塁打で1点、濱中の犠牲フライで2点目、四番手の小宮山から矢野がだめ押しの二塁打でこの回3点目を奪い、勝敗は決した。タイガースは藤川、久保田と磐石のリレーで逃げ切った。
◎マリーンズ2回戦……5−3
 タイガースは2回裏に久保から鳥谷が先制の二塁打を放って先手をとる。3回裏には無死一二塁からシーツの二塁打、金本の犠牲フライ、今岡のセンター前ヒットで3点を追加した。ここらあたりはベテランの読み勝ちか。下柳は毎回ランナーを出すも5回までなんとか無失点で切り抜ける。6回から登板した金澤がいきなり無死満塁のピンチを作り降板すると、能見に交代。能見は西岡を歩かせ押し出しで1点を返された。9回表にはベニーの2点タイムリーで2点差に迫られたが、里崎、パスクチと連続三振でなんとか逃げ切った。
◎ホークス1回戦……1−8
 交流戦用の打順として2番にライト桧山を置き、濱中はDHという選手起用をしたが、斎藤和の絶妙なコントロールの前に初回の1点のみに抑えられた。初回の1点は赤星が盗塁して金本がレフト線のタイムリーで返すという勝ちパターンだったが、2回以降はヒットは出ても要所を締められて残塁の山を築くのみ。それでも井川は3回まではすばらしい投球でこのままいくかと思わせた。しかし、4回裏、川崎に初安打を許したところから崩れた。2死一二塁で柴原に同点タイムリーを打たれると、本間にもタイムリーを打たれ3点を失う。5回裏には松中にライトスタンドに運ばれる3ランを打たれ、6回裏には大村、川崎の連続タイムリーでこの試合8失点という惨敗。二番手の福原が復帰のマウンドで無失点と切り抜けたのが収穫。
◎ホークス2回戦……5−3
 安藤と寺原は両者とも3回まで無失点という投手戦の滑り出し。しかし、4回表、猛虎が牙をむいた。先頭の桧山がライト前ヒットで出ると、金本のライト前ヒットで三塁まで走る。ライトの柴原はダイレクト送球をしたが、三塁手の頭の上を超す悪送球で、その球がカメラマン席に入り、テイク・ワン・ベースのルールで桧山のホームインが認められ先制。続く今岡の犠牲フライで金本も生還し、2点を先取した。安藤は6回裏に連打を浴び、松田の内野ゴロの間に三塁ランナーが返って1点差に迫られた。8回表、三番手藤岡から金本が二塁打を放つと、林のところで四番手三瀬が登板。代打濱中は敬遠で鳥谷は四球と満塁のチャンス。ここで矢野がレフトオーバー、走者一掃の二塁打を放って一気に突き放した。9回裏には久保田がマウンドへ上がったが大村に2ランを打たれて2点差に迫られてしまう。それでも最後は後続を断ってなんとか逃げ切った。
◎ホークス3回戦……3−7
 前日の死球、この試合も頭近くまでコントロール抜群のはずの杉内の内角球が金本を襲う。よけ方がうまいからなんとか当たらずにすんでいるが、フルイニング連続試合出場の記録を更新し続けている大打者に対し、危険球を投げさせて平然としている王監督の神経を疑う。王が現役時代、各チームのエースは王に怪我をさせるのを恥と思い、ブラッシング・ボールは投げなかったのだ。王という監督にはWBCの選手起用も含めて、他チームの選手に対する思いやりが欠落しているとしか思えない。
 それはともかく、江草と浅井のバッテリーは4回裏、まっすぐで勝負しては打たれてしまい、満塁から柴原の三塁打で3点を失う。ここでとどまれば勝機はなくはなかったが、松田に投げた速球は真中に入りレフトスタンドに飛び込む2ランとなる。5回表、浅井のソロホームランで1点を返したが、二番手の金澤は連打のあと松中の犠牲フライですぐに取り返された。6回表、この試合1番に座ったスペンサーがヒットで出、赤星も内野安打で続く。しかし赤星が盗塁死したあとシーツのタイムリーが出るというチグハグな攻め。7回は無死満塁としたがスペンサーの犠牲フライの1点に終る。8回裏にはズレータのホームランでだめ押し点をとられて万事休す。杉内のタイミングをとらえるのに苦労した試合であった。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……下柳剛 今季はすっかり雨男。再びスライド登板となったが、そこはベテラン、マリーンズ打線をはぐらかす投球でキャリアの違いを見せつけた。
野手……今岡誠 マリーンズ戦で見せた豪快な打撃は、一時の不調からの脱出を感じさせた。ホークス戦ではあと1本が出なかったが、今後の期待をこめて1票。

 次節は倉敷と甲子園でファイターズ3連戦。そして甲子園に居座ってバファローズとの3連戦である。首位争いをする好調ファイターズはちょうど裏ローテ。バファローズは開幕からの勢いが落ちてきている。また、交流戦に入り、ジャイアンツがライオンズに3連敗するという失速ぶり。着実に勝ちを拾っていけば、昨年同様この交流戦をきっかけに一気に抜きさることも可能ではないだろうか。楽しみになってきた。

(2006年5月15日記)


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