愛すれどTigers


打線低調でライオンズに負け越し

 札幌ドームの屋根から登場したSHINJOの毒気に当てられたわけでもないだろうが、1勝2敗。特に2戦目では満塁の好機を4回もつぶすという打線の悪循環があった。加えて赤星の負傷に今岡の不振と、5連敗した頃より打線の状況は悪い。甲子園でのライオンズ戦も打線がなかなかつながらず、1勝2敗。交流戦でのライオンズとのカード成績は2勝4敗と負け越してしまった。それでも首位に踏みとどまっていられるのは投手陣の踏ん張りだろう。今節を終えて33勝24敗1分、勝率.579。2位ドラゴンズとの差は0.5。

◎ファイターズ3回戦……0−3
 SHINJOがドームの天井から降りてきたのにのまれたというわけではなかろうが、完敗。ダルビッシュの前に6回までノーヒット。7回表、シーツのライト前に落ちるヒットでなんとかノーヒットノーランは免れたものの2安打完封を許す。ストレートにタイミングがあわず、三振の山。初回、赤星が四球で出塁したが盗塁失敗でチャンスをつぶしたことでダルビッシュを乗せてしまったようだ。井川は初回、いきなり森本に三塁打を打たれ、稲葉の二塁打とSHINJOの内野安打で2点を失った。6回裏にはセギノールのホームランで3点目を取られ、完投したものの悔しい敗戦となった。
◎ファイターズ4回戦……2−3
 杉山は相変わらず立ち上がりに制球難。初回、森本を歩かせ田中賢のバントの後セギノールのタイムリーで先取点を許した。2回、3回とランナーを許すもなんとかしのいでいたが、4回裏、金子のライト前タイムリーヒットと田中賢の犠牲フライで2点を追加される。一方のタイガース打線はリーから初回に2四球と内野安打で満塁とするも濱中が二塁ゴロ。2回も2死満塁のチャンスにシーツが一塁ファールフライ。5回の2死満塁は鳥谷が内野フライ。5回にやっと濱中のタイムリーで1点を奪う。8回表にはファイターズ三番手武田久を攻めて2死満塁とするが、抑えのマイケルが登板し、シーツは三振に打ち取られる。最終回、2死一二塁から矢野のタイムリーで1点差とし、藤本の振り逃げで満塁のチャンスを作るがスペンサーがセンターフライに倒れて試合終了。なんと17残塁という効率の悪さ。審判の判定に岡田監督が抗議する場面もあり、重苦しい敗戦となった。
◎ファイターズ5回戦……6−4
 ファイターズの大型新人八木に金本が先制の一発を食らわせ、ここ2試合の重苦しい空気を吹き飛ばした。初回、2死からシーツがヒットを放ち、金本がライトスタンドに先制の2ランを打ち込む。福原は4回裏に稲葉のタイムリーで1点差とされたが、6回表、2死満塁からスペンサーが満塁ホームランをレフトスタンドに力で運んだ。福原は6回裏に小笠原に2ランを打たれてこの回限りで降板したが、ウィリアムス、藤川、久保田の必勝リレーで逃げ切った。
◎ライオンズ4回戦……1−10
 松坂の独り舞台。タイガースは3回裏に鳥谷のタイムリーで先制の1点を奪うが、4回以降、8回までヒットが出ない。速球とスライダーのコンビネーションに完全に惑わされた。下柳は4回まではもちこたえていたが、5回表に中島のタイムリーで同点とされ、7回表、赤田にタイムリーを打たれて片岡を歩かせたところで無念の降板。二番手のダーウィンは中島にレフトスタンドに3ランを打たれて傷口を広げる。さらに8回表には松坂にプロ入り第1号の2ランを献上してしまった。9回表は金沢がマウンドに上がったが、中島、カブレラ、和田のクリーンアップトリオ三連打で3点を失って大敗してしまった。ライオンズの打者の思い切りのよさと、タイガースの打者の低調ぶりが対照的であった。札幌ドームでフェンス際に滑り込んで足を負傷した赤星の欠場が大きかった。ドラゴンズの勝利で首位の座から落ち、0.5差で2位に。
◎ライオンズ5回戦……1−6
 赤星はこの試合も欠場。2年目の赤松が2番センターで先発出場。しかし、バッティングのもろさを見せてノーヒット。安藤は扁桃炎の影響か体の切れがなく、初回にカブレラのセンター前ヒットで1点を失った。そして4回表、カブレラを四球で歩かせた後、和田中村と連続三振に打ち取るが、細川のタイムリーに続き投手の帆足に2点タイムリー二塁打、片岡の2点タイムリーとめった打ちをくらい、降板した。5回裏、のらりくらりの帆足から金本が完封を免れるバックスクリーンへのホームランを放つが、石井貴の気迫あふれる投球や小野寺の勢いのある速球に押されて完全に抑えられてしまった。安藤の後をつないだ能見、ダーウィン、金澤が無失点で切り抜け、先日のリリーフ失敗を忘れるような投球となったことが救いか。安藤は再調整で二軍落ちとなった。
◎ライオンズ6回戦……5−4
 初回、西口をタイガース打線がとらえた。ヒットの鳥谷を赤松が送り、金本のセンターオーバーの二塁打、そして濱中のライト前タイムリーで2点を先取。2回裏には二塁打の片岡を江草がライト前に落ちるヒットで返して3点目。楽勝かと思われた。ところが、江草は3回表に三連打で1点を返されると4回表には死四球のあと細川のバントを三塁に悪送球して1点差とされた。そして5回表、平尾にレフトポール際に逆転の2ランを打ち込まれ、この回限りで降板。タイガースは6回から藤川、ウィリアムスと勝ちパターンの投手をつぎこみ反撃への意気込みを見せ、ライオンズ打線を封じる。ライオンズは左腕星野の後、ベテラン石井貴を投入する。その石井貴から鳥谷が二塁打で出塁。中村豊のバントは三塁の好守備に押さえられるが鳥谷は状況判断よく二塁にとどまり、シーツのライト前に流し打つタイムリーで同点に追いついた。久保田が9回表に登板、赤田を歩かせ暴投を連発して三塁まで進ませるがなんとか後続を断つ。10回表にもヒットの和田を暴投で進塁させたが高山の鋭いセンターライナーを中村豊がジャンプして取るファインプレーで難を逃れた。11回表は三者三振の快投を見せ、サヨナラの機会を待つ。久保田の大学の同期生小野寺が11回裏に登板。金本、スペンサーは連続四球でチャンスを作り、ここで代打に今岡。不振に苦しんでいた今岡の打球はライトの頭を超すサヨナラタイムリーとなり、タイガースはなんとか3タテを免れた。ドラゴンズが敗れたため、タイガースは3試合ぶりに首位に返り咲いた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……福原忍 連敗で雰囲気が重くなっていたところに、なんとかゲームを作る好投を見せた。今季2勝目と立ち上がりは遅くなってしまったが、先発投手陣の一角として次節も連戦を乗り切ってほしい。
野手……金本知憲 負傷箇所もようやく治ってきて、頼りになる「兄貴」の打棒が帰ってきた。特に札幌ドームでは前日の17残塁という重い空気を吹き飛ばす先制ホームランを放ち、4番打者の存在感を見せつけた。

 次節はフルキャスト宮城球場でイーグルスと3連戦し、準フランチャイズともいえるスカイマーク神戸と大阪ドームに帰ってきてバファローズと3連戦。打線がまだつながってこないのが気がかりだが、これだけ調子が悪くてもなんとか同一カード3連敗をこの交流戦では見せていない。それだけ地力があるということなのだろう。上げ潮のイーグルスは前回も手こずっただけに要注意。とにかく今節の負け越しをなんとかもとに戻してほしいものだ。

(2006年6月12日記)


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