交流戦の予備ゲームはファイターズ、マリーンズに連勝し、交流戦3位という好成績で締めくくった。交流戦の戦績は21勝15敗。マリーンズとバファローズに5勝1敗、ホークス、イーグルス、ファイターズに3勝3敗。ライオンズに2勝4敗という結果である。交流戦優勝は昨年に続きマリーンズ。2位はスワローズ。この間、チームは必ずしも絶好調でなかっただけに、この結果には地力というものを感じさせるものがある。
セ・リーグとの試合が再開されたが、甲子園に好調スワローズを迎え2連敗、それでも3連敗は食い止め1勝2敗にとどめたところはさすがである。
交流戦後の休養期間中に、久保田が右手を骨折した。子どもがベビーカーから落ちるのを助けた弾みで怪我をしたという。クローザーが離脱するとチーム力はがた落ちしそうなものだが、タイガースには球児がいる。打線は相変わらず低調だが、投手力の強さは特筆ものだといえる。今節、3勝2敗。通算では39勝29敗1分、勝率.574。首位ドラゴンズとのゲーム差は2である。
◎ファイターズ6回戦……5−2
井川と金村、両先発の投手戦も、ワンチャンスをものにしたタイガースのものに。5回裏、金本が先制の2ランをバックスクリーン右に打ち込むと、スペンサーと片岡が連打で続き、矢野がライトオーバーの三塁打で2点を加える。さらに藤本もライト線の二塁打で5点目を追加、試合を決めた。速球の力が落ちてきたところを狙い打ちした打線の勝利である。井川は直後の6回表に稲葉とSHINJOの連続タイムリーで2点を失ったが、そのあとはよく踏ん張って田中幸を三振、飯山を内野ゴロに打ち取った。7回以降は藤川、ウィリアムス、久保田が1回ずつをきっちり抑えて逃げ切り。この試合、今岡がバファローズ戦の死球で右手首を傷めて欠場し、結局登録抹消となった。
◎マリーンズ6回戦……2−0
福原と小野の投手戦で始まった試合も、タイガース打線の粘りでなんとかものにした。3回裏、無死一二塁のチャンスにシーツがピッチャーゴロの併殺で三塁にランナーを残したものの嫌なムードに。ここで金本がレフト前に打ち上げたフライがうまくフランコの前に落ちて先制のタイムリーとなる。バレンタイン監督は選手総動員とばかりに5回表の2死一二塁のチャンスに小野に代打平下を送るなど早めに動いたが、福原はない外角をていねいに突く投球で切り抜ける。6回裏には3番手バーンからシーツの送球を背中で受けるという走塁とエラーがらみでチャンスを作り、片岡の犠牲フライで1点を追加。7回以降はまたも藤川、ウィリアムス、久保田が1回ずつをきっちり抑えて逃げ切り。ヒーローインタビューは久々のJFK揃い踏みとなった。が、皮肉にも久保田はこの翌日に骨折して戦列を離れることになってしまった。
◎スワローズ7回戦……4−7
下柳とガトームソンが先発。2回表、先頭のラミレスがショートのエラーで出塁、ラロッカを歩かせ、宮出のバントを下柳が処理をもたついて内野安打にする。無死満塁で大原の打球は一塁ゴロに。シーツは本塁封殺、そして矢野が一塁ベースカバーの藤本に送球し併殺完成かと思われたが、塁審西本は明らかなアウトをセーフと判定。これで冷静な下柳の頭に血が上ったか、投手のガトームソンに2点タイムリー、さらに暴投で1点を献上し、青木に4点目となるタイムリーを打たれてしまった。しかし、下柳はそのあとは冷静さを取り戻した。5回まで投げて無失点に抑えたのだから、塁審の誤審が悔やまれる。二番手金沢も好投したが、三番手の能見がラロッカの二塁打で5点目を奪われた。この失点が響いた。ガトームソンのスライダーに手こずっていたタイガース打線は、投手交代となった8回裏に爆発。二番手高井から1死一二塁、金本のセンター返しの当たりをラロッカがこぼして1点を返す。ここで館山をはさんで四番手松井という継投策。その松井から片岡がライトスタンドにふらりとはいる3ランを放ち、1点差に迫る。しかし、タイガースの四番手安藤が米野のホームランとリグスのタイムリーで2点を失い、点差は3と再び広がる。9回裏、木田から藤本と濱中が連打してチャンスを作ったが、鳥谷がセカンドゴロ併殺。赤星が歩いて最後の望みをシーツに託すもショートゴロに打ち取られ、逆転はならなかった。それにしても明らかなアウトをセーフと判定する西本塁審はどこを見ていたのだろうか。ビデオ判定導入をしないのならば、せめて初歩の初歩であるアウトセーフくらいきっちり判定できる審判を起用してほしい。
◎スワローズ8回戦……3−6
乱打戦はスワローズに軍配。初回、杉山がラミレスの2ランで先制されると、タイガースも石井一からその裏に鳥谷、赤星の連打の後シーツの内野ゴロ併殺の間に鳥谷が生還して1点を返す。3回表、2死から岩村がヒットを打つと、ラミレスがレフトオーバーの二塁打で返して1点追加。4回裏、今度は石井一から関本がライトスタンドに飛び込む同点2ラン。しかし、打線がせっかく助けてくれたのに、杉山は岩村にセンターバックスクリーンに飛び込む2ランを浴びて再びリードを許してしまった。7回表には三番手江草が岩村に2打席連続のソロホームランを打たれて流れを相手に押しやる。石井一の内外角を的確に突く投球に打線は翻弄され、最後は木田で逃げ切られてしまった。
◎スワローズ9回戦……3−1
3回表、井川は青木のレフト前タイムリーで先制され、タイガース打線は苦手の石川相手に手こずる。しかし、岡田監督の組ませた円陣での指示がきいたか、6回裏、二塁打のシーツを金本がセンター前ヒットで返して同点に。続くスペンサーは強い当たりのセカンドゴロ。ラロッカが弾き、その間に金本は三塁に。矢野がセンター前へ勝ち越しのタイムリーを放つと、関本もレフト前にタイムリーを打ってこの回一気に3点を奪う。8回からはウィリアムス、藤川のリレーで逃げ切り、新たな勝ちパターンを作ることができた。
◎愛すれどTigers週間MVP
投手……井川慶 苦手であったはずの中5日登板が2回続いたが、いずれも速球を主体にした切れのある投球で勝ち投手に。1週間の間に5勝目と6勝目をきっちりかせいでチームの勝ち頭となった。エースの頼もしさが復活しつつある。
野手……矢野輝弘 ファイターズ戦の走者一掃の三塁打、スワローズ戦の連敗をとめる勝ち越しタイムリーと、いいところで効果的なバッティングを見せた。久保田不在の投手陣をまとめるリードにもベテランの冴えを見せてくれた。
牧野塁投手とゴールデンイーグルスの坂克彦内野手のトレードが発表された。リリーフの層が厚いタイガースでは出番のなかったベテランも、イーグルスならまだまだ見せ場はあるはず。また、坂内野手は高校時代から逸材として知られた若手。前田大や高橋勇などとともに次世代の主力となる素材だけに、双方に利のあるトレードとなったに違いない。次節は北陸シリーズでカープと2連戦。そして東京ドームでジャイアンツとの3連戦がある。両チームとも決して本調子ではないだけに、確実にものにしたい5試合である。
(2006年6月26日記)