愛すれどTigers


首位攻防戦で大きな勝ち越し

 甲子園のカープ戦は2勝1敗。3ゲーム差で臨んだ京セラドーム大阪のドラゴンズ戦は3試合とも熱戦で、2勝1敗と勝ち越した。首位との差が2ゲームに縮まったということは、いよいよ射程圏内ということになる。一気にひっくり返すのもよいけれど、しばらくここらあたりのポジションにつけておくと、ドラゴンズに対していい感じでプレッシャーを与えることになるやろう。がぜん面白くなってきたぞ。今節通算4勝2敗。今季通算では48勝35敗。勝率.578。

◎カープ8回戦……2−1
 カープ先発は中継ぎ要員の広池。2回裏2死から鳥谷が二塁打。続く矢野もレフト戦に先制のタイムリー二塁打を放つ。カープは3回表、広池にすぐに代打を出し、小刻みな継投でかわす戦法を取る。これにまんまとひっかかり、濱中、金本、シーツのクリーンアップトリオは好機にことごとく凡退する。4回裏、二番手の林から鳥谷がヒットで出塁し、2つの内野ゴロの間に三塁に進む。福原はレフト前に落すラッキーなタイムリーで2点目をたたき出した。コントロール重視のていねいな投球で、毎回のようにランナーを出しながらも、福原は7回表に緒方の内野ゴロで1点を奪われただけの好投。8回からはウィリアムス、藤川が完璧な投球で逃げ切った。この試合は甲子園で見ていたのだが、どうも打線が湿りっぱなしで、8回裏に満塁のチャンスでも上がったものの矢野は三振。勝ったのは嬉しいが、あまりスカッとする試合ではなかった。この試合、藤川は47回2/3連続無失点の記録を達成、小山正明さんのチーム記録を超え、日本記録でも第5位にランクインした。
◎カープ9回戦……4−2
 プロ入り4年目で初の先発となった中村泰は、2回表に四球をきっかけにランナーをためて緒方のショートゴロの間に1点を先制された。しかし、その後は大きく曲がるスライダーを武器に打たせて取るピッチングで5回を投げ切る。タイガースはカープのベテラン佐々岡から3回裏、金本がセンターバックスクリーンに逆転の2ランを放つ。6回裏にはシーツもバックスクリーンにソロホームランを打ち込み、8回裏には三番手横山から金本が掛布をこえる通算350号ホームランをレフトスタンドに運び、だめ押し。安藤、ウィリアムスがカープ打線を抑えて迎えた9回表、藤川は連続無失点記録のプレッシャーか栗原、前田にヒットを打たれ、自らの暴投で1点を失いとうとう記録はストップした。それでもバックはファインプレーを連発。ライトに入っていた中村豊はフェンスぎわのファールフライを好捕、ショートの鳥谷も抜ければ1点差に詰められるというヒット性の当たりを横っ跳びでつかんで藤川を助けた。
◎カープ10回戦……2−5
 オクスプリングは初回に梵のソロホームランで先制された。しかし、タイガースも黒田から2回裏に矢野のタイムリーで同点とする。オクスプリングは4回表に新井の犠牲フライで再びリードを許すと、5回表には黒田に内野安打を許し、さらにボークで二塁に進ませてしまうと、梵と嶋の連続タイムリーで2点を奪われて降板した。三番手の能見が8回表に栗原の犠牲フライでだめ押しの1点を奪われ、万事窮す。カープは7回まで黒田が投げ、高橋、永川とつないで逃げ切った。
◎ドラゴンズ5回戦……7−2
 ドラゴンズのエース川上から鳥谷が先制ホームランを2回裏に放つと、3回裏には金本の2点タイムリー、5回裏には金本の犠牲フライで4点を奪いノックアウトした。今後の首位争いのことを考えると、この大量得点は大きな意味をもつ。6回裏には2番手小笠原からベテラン町田がセ・リーグ新記録となる通算20本目の代打ホームランを放って5点目。8回裏には3番手マルティネスから四球や失策がらみでさらに2点を奪う。下柳は味方の得点を背景に凡打の山を築き6回投げて無失点の8勝目。8回表には3番手ウィリアムスがT・ウッズの犠牲フライで、9回表には4番手金澤が代打高橋光のソロホームランでそれぞれ1点ずつ失ったが、余裕で逃げ切った。岡田監督はこの勝利で監督通算200勝目となった。
◎ドラゴンズ6回戦……2−1
 井川と山本昌の緊迫した投手戦。井川は4回表には2死満塁のピンチを山本昌のショートゴロで切り抜け、5回表には先頭の森野を内野安打で出塁させたが荒木のバントはキャッチャーへの小フライ、井端三振の間に盗塁のランナーも刺し、ここも相手の拙攻に助けられる。6回表、T・ウッズのホームランで1点を先制されたその裏、ここまでほぼ完璧に抑えられていた山本昌をとうとう打ち崩した。2死から赤星がセーフティバントで塁に出ると、濱中がライト線の二塁打で返し同点。さらに金本がこれもライト線に決勝の勝ち越しタイムリーを放って逆転に成功した。こうなると抑えならタイガースが有利。8回にはウィリアムスが一打同点の場面をなんとか切り抜け、9回には藤川が抑えて逃げ切った。天敵山本昌からの逆転劇だけに、今後に与える影響も大きいだろう。
◎ドラゴンズ7回戦……2−4
 ダーウィンは2回表にT・ウッズに2試合連続となる先制ソロホームランを浴びるが、以後は5回までしっかり抑えて反撃を待つ。苦手の中田に対し、4回裏、2死三塁でシーツはハーフスイングをストライクにとられ三振し、激昂。バットを投げ捨て、ヘルメットを一塁方向に投げると、審判はこれを侮辱行為ととらえて退場を宣告した。6回裏、濱中の二塁打でやっと同点に追いついたと思ったら、7回表に江草が井上の高いバウンドの投手ゴロをヒットにしてしまう。藤井はバントで送ろうとしたが、矢野にぶつかり守備妨害でアウト。しかし、右打者を抑えるために交代させた安藤が谷繁にレフトスタンドに2ランを打たれて再びリードを許す。8回裏、中田から代打町田の二塁打などでチャンスを作り、鳥谷の内野ゴロの間に金本が返って1点差としたが、落合監督は岩瀬を早くも投入して後続を断ち切る。9回表には能見がランナーを三塁において岩瀬に大きな犠牲フライを打たれてしまい、まただめ押し。岩瀬はコントロールがよくなく9回裏は四球などでチャンスを作るが、とらえ切れずに逃げ切られた。

◎愛すれどTigers週間MVP
投手……中村泰広 9連戦の谷間にプロ入り初の先発で起用され、その期待に応えて初勝利をあげた。この試合の内容であれば、今後もローテーションに入ってくることが予想される。これをきっかけに一気にブレイクしてほしいものだ。
野手……町田公二郎 1週間トータルで見れば今節も金本ということになるのだろうが、ここは久々の一軍でセ・リーグ新の代打本塁打20本目を打ったベテラン町田を推す。二軍でも腐らず練習してきたベテランの活躍は、若手のいい手本になるだろう。

 甲子園でのジャイアンツ戦は、初戦は雨で流れた。残る2試合に連勝してオールスターを気持ちよく迎えられたらええのにな。ジャイアンツは抑えの切り札豊田が故障で戦列を離れ、それに代わり得る人材もない。終盤までもつれても勝ち目はある。雨で次々流れることもあり得るが、残り2試合はなんとか行われてほしいものだ。

(2006年7月17日記)


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